「ミルメシア」という病気を聞いたことがあるでしょうか?体重をかけると痛みがあるため、足の裏にできた子供は歩くたびに痛がることがあります。そこで今回は、子供にできるミルメシアとはどのような病気なのか、治療法にはどのようなものがあるのか、自然治癒することがあるのかなどについてご説明します。
ミルメシアとは?
ミルメシアとはイボの一種で、ヒト乳頭種ウイルスが皮膚に感染することで発症します。手のひらや足の裏にできることが多く、発症すると中央が少し陥没したアリ塚のような盛り上がりが皮膚にできます。
体重をかけると痛みがあるため、ミルメシアが足の裏にできた場合は歩くたびに痛みを感じることになります(※1)。
子供にミルメシアはできるの?
ミルメシアは、見た目が魚の目にそっくりなこと、圧迫すると痛みを伴うことなどから、魚の目と間違えられることがあります。
しかし、子供が魚の目になることは少ないので子供の足の裏に魚の目のようなものを見つけたら、ミルメシアと考えてまず間違いないでしょう(※2)。
ミルメシアは自然治癒する?
ミルメシアに限らず、ウイルス性のイボは自然治癒することがあります。ただし、割合としてはあまり多くないと考えられます。
例えば、徳島県医師会の報告によれば、約600人のウイルス性イボの患者のうち、自然治癒した人や自然治癒に近い形で治った人は合計で約7%ほどだったとのことです(※1)。
もし自然治癒するとしても、ミルメシアやその他のイボが治るまでの期間は、子供の持つ免疫力によって変わると考えられます。
ミルメシアの治療法は?
ミルメシアを含め、イボの治療法はいろいろあります。以下でその一例をご紹介します。
● 液体窒素で凍らせて取る
● 電気で焼いて取る
● グルタルアルデヒドという塗り薬を使う
● ヨクイニンという漢方薬を内服する
ただし、いずれの治療法も効き目には個人差があります。例えば、ある子供にはよく効いた治療法が、別の子供には効かないといったことがありえます。
ミルメシアに限らず、イボの治療には特効薬や特攻的治療法がまだないため、治療に関しては主治医とよく相談してください。また、治りにくく再発しやすい病気なので、神経質になりすぎず、根気よく治療することが大切です(※3)。
ミルメシアの予防法は?
ミルメシアはウイルスによる感染症のため、ほかのウイルス性感染症のようにワクチンで予防できれば理想的です。しかし、残念ながら今のところ、ミルメシアに対する予防ワクチンはありません。
ミルメシアを完全に防ぐことはできませんが、なりにくくする予防法はあります。ミルメシアのウイルスは健康な皮膚には感染できず、指の逆剥けや手足の肌荒れ、靴擦れなどで起きる皮剥けの跡などを介して皮膚に感染します。
そのため、ミルメシアになりにくくするには、手足やひじ、膝などの肌荒れに対して保湿などのスキンケアを行い、ミルメシアができにくい皮膚の環境づくりをすることが大切です。
特に、免疫が低下する病気を持っている子供や、治療のために免疫抑制剤・ステロイド薬を飲んでいる子供は、これらを念入りに行った方がいいでしょう(※4)。
ミルメシアに似ている病気は?
ミルメシアのように皮膚にできる病気は他にもあります。そこで、ここではミルメシアと似ている皮膚病の一例をご紹介します。
水イボ
水イボとは、未就学児や小学校低学年くらいの子供にできやすいウイルス性のイボです。大きさは直径1〜5mm程度で、柔らかく、痛みやかゆみはありません。夏にできることが多く、触ることで数が増えたり、人にうつったりします。
水イボは放置しておいても半年くらいで自然に治ることがありますが、その間にも人にうつることや、見た目の悪さから治療をした方がよいとされています。
治療法としては、治療用のピンセットで水イボをつまみ取る方法があります。かなりの痛みを伴うため、麻酔用のテープを貼ってから取ることもあります。また、液体窒素で凍らして取ったり、サルチル酸を使って角質を柔らかくして取ることもあります。
ただし、水イボの予防に有効な薬はまだありません(※5)。
魚の目
魚の目は、足の裏や足の指にできる直径5〜7mmくらいの硬い皮膚病です。歩いたり、圧迫したりすると激しい痛みを伴うことが多く、中心に魚の目のような芯が見えるので「魚の目」と呼ばれています。
魚の目の原因は、サイズの小さい靴を履いていたり、長時間歩いたりすることで、足の1箇所に繰り返し圧迫刺激が加わることです。繰り返し圧迫刺激が加わると、角質が厚く芯のようになり、角質の下にある真皮に向かって食い込んでいき、魚の目となります(※2)。
ただし大人がかかることがほとんどで、子供が魚の目になることはあまりありません。
タコ
タコは、魚の目と同じく、皮膚の一部が慢性的に刺激を受けて角質層が厚く硬くなる病気です。
ただし外見は魚の目とは違い、刺激を受けたあたりの皮膚が少し黄色くなって盛り上がります。通常は痛みはなく、むしろ厚くなった角質のせいで感覚が鈍くなることがあります。
魚の目が足の裏にできることが多いのに比べ、タコは足の裏だけでなく、子供が持つ生活習慣や癖などに応じて、体のどこにでもできます。子供の体表的なタコには、手の甲などにできる「吸いダコ」があります(※7)。
タコの治療では、硬くなった角質を軟膏で柔らかくしたり、魚の目と同じようにスピール膏やメス、ハサミなどを使って切り取ったりします(※6)。
ミルメシアは予防が大事です
ミルメシアは一度発症すると治りにくく、再発もしやすい病気です。特効薬やワクチンもないため、何度も通院して根気よく治療していく必要があります。
そのため、ミルメシアは予防がとても大切です。スキンケアをこまめに行ったり、他に皮膚病などがある場合はちゃんと治療して、少しでもミルメシアになりにくい肌を作りましょう。
子供が痛い思いをしないですむように、日頃から子供の肌には気を配っておきたいですね。