新生児の育児をしていると、赤ちゃんの体やお世話について「これって大丈夫かな?」と不安になることがたくさんありますよね。
そこで今回は小児科医の武井先生に、多くのママたちが気になる15の疑問を聞いてみました。
【プロフィール】
武井 智昭(小児科/高座渋谷つばさクリニック)
日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担当しています。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として診療を行っています。
新生児のうんちに関する疑問
Q1. 授乳の後に毎回うんちをします。これって多すぎでしょうか?
武井先生
新生児期なら、特に問題はありません。特に母乳の場合1日10回程度うんちが出ることもありますが、回数が多いからといって心配する必要はありませんよ。
Q2. 時々、うんちが緑色をしています。何かの病気でしょうか?
武井先生
うんちが腸の中で酸化されて、緑色になることがあります。これは新生児期の赤ちゃん特有の現象で、異常なことではありません。うんちが緑色でも、嘔吐がなく体重が増えていれば大丈夫ですよ。
Q3. うんちにヌルヌルした粘液のようなものが混じっているのですが、大丈夫でしょうか?
武井先生
赤ちゃんは腸の機能が未熟なため、うんちに粘液が混ざることがあります。消化機能の発達と考えて、様子をみるので大丈夫ですよ。ただし粘液と一緒に血液が混じっている場合は、病気の可能性もあるので早めに小児科を受診してください。
新生児の授乳に関する疑問
Q4. いま生後15日です。なかなか授乳間隔が定まりません。授乳時間を決めなくてよいのでしょうか?
武井先生
基本的には授乳時間は決めず、お子さんのペースにあわせて大丈夫ですよ。赤ちゃんが欲しがったらあげてください。授乳間隔は長くて3時間程度を目安にし、体重が増えていないようであればもう少し短い間隔で授乳してみましょう。
Q5. 乳首が切れて出血しました。授乳しても平気でしょうか?
武井先生
それはつらいですね。出血していても、乳首を消毒していれば授乳しても大丈夫ですよ。一回の授乳時間が長くなると乳首に大きな負担がかかるので、傷がある方のおっぱいから飲ませる時間を短くしてみるのはいかがでしょうか。つらい時は、ミルクも併用してくださいね。
Q6. いま生後10日ですが、頻回授乳がつらいです…昼夜逆転の生活はいつまで続くのでしょうか?
武井先生
赤ちゃんは生後2〜3ヶ月頃には昼と夜との区別が付いてくるので、だいたいあと2ヶ月くらいの辛抱となります。まとまった時間眠れないのはとても辛いと思います。パートナーを頼るなど、ママ一人で無理をしすぎないようにしてくださいね。
新生児のお世話に関する疑問
Q7. 赤ちゃんが何をしても泣き止みません…何か対処法はありますか?病気の可能性もありますか?
武井先生
赤ちゃんは泣くことで「おなかがすいた」「暑い・寒い」「かゆい」「甘えたい」という感情を伝えています。これらを解消しても泣き止まないときは、赤ちゃんを安全な場所に置いて外の空気を少し吸って気分転換をはかってみてください。一旦ママが落ち着くことで、泣き止んでくれることもありますよ。
激しく泣いてお腹に圧がかかると「そけいヘルニア」や「臍ヘルニア」になることもあります。おむつを外して皮膚を確認し、股やおへそがポッコリと膨らんで色が変わっている場合はすぐに病院を受診しましょう。
Q8. 沐浴は毎日同じ時間にしないとだめなのでしょうか?
武井先生
沐浴の時間を変えても特には問題はありませんよ。新生児は昼夜の区別もついていないので、厳密に沐浴の時間を決める必要はありません。ただ、できれば夏は涼しく、冬は温かい時間帯に行うと良いですよ。
Q9. 出産予定日より1ヶ月早く生まれました。早産の場合、育てるときに何か注意点はありますか?
武井先生
1か月のレベルであれば少し早く生まれただけなので、子育てにおいて特別な配慮はしなくて大丈夫ですよ。退院時に医師から特に注意がなければ、他の赤ちゃんと同じように育ててあげてください。
新生児の体に関する疑問
Q10. 吸引分娩のせいか頭がいびつになっています。自然に治りますか?
武井先生
赤ちゃんの頭はどんどん成長していくので、多くの場合は自然と形が整っていきますよ。また頭の形がいびつでも脳の発達に悪影響を与えるものではないので、安心してください。
Q11. 頭の上のほうに柔らかいところがあります。触っても平気でしょうか?
武井先生
頭のてっぺんの柔らかい部分は、骨と骨の間の「大泉門」というところです。ここの組織は皮膚でしっかりと裏打ちされているので触れても大丈夫ですよ。沐浴時も怖がらずに洗って大丈夫。個人差はありますが、大泉門は1歳半頃には閉鎖しますよ。
Q12. 赤ちゃんの背中や肩にも産毛が。毛深くて気になるのですが、そのうち抜けますか?
武井先生
生まれたばかりの赤ちゃんの産毛は、赤ちゃんを羊水の刺激から守る「胎毛」というものです。背中や肩の産毛は、髪の毛と同じように数ヶ月経つと次第に抜け始め自然と生え変わります。気にせずこのままで大丈夫ですよ。
Q13. 手足が冷たいことがありますが、大丈夫でしょうか?
武井先生
それは気になりますね。ただ赤ちゃんは大人に比べて体の表面から熱が逃げやすく、体温調節機能も未熟なため、室温や気温の影響から体を守るために手足が冷たくなることがよくあります。赤ちゃんの体を触ってみて、発熱あるいは低体温になっていなければ大丈夫ですよ。
Q14. 寝ている時に、時々ピクッと動くことがあります。大丈夫でしょうか?
武井先生
赤ちゃんは脳・筋肉が未熟なため、眠りの浅い時に全身が小刻みにピクッとする「睡眠時ミオクローヌス」と呼ばれる動きがよくみられます。これは生理的な現象なので、特には問題はありませんよ。
わずかな刺激にピクッと反応し両手で何かを掴もうとする動きを「モロー反射」といいますが、こちらも新生児特有の反応なので心配ありませんよ。
Q15. 赤ちゃんが手足をバタバタさせるのは、なぜでしょうか?
武井先生
手足をバタバタさせるのは、赤ちゃんが自分の意思で動かしているわけではなく、脳の機能がまだ発達していないからです。新生児はまだ手足の細かい動きができないため、バタバタと大きな動きになってしまいます。
不安なことは必ず1ヶ月健診で相談を!
新生児の育児に関する気がかりは、いくつか解消されましたか?他にも不安に感じることがあれば、1ヶ月健診の際に小児科医や助産師さん、保健師さんなどに相談してみてくださいね。
1ヶ月健診ではママ自身に関する悩みも相談できるので、些細なことでも質問してみましょう。