「赤ちゃんのお肌は、いつでもつるつるスベスベ」だと思っていたら、急にカサカサになった、という経験はありませんか?赤ちゃんは肌トラブルを起こしやすく、特にバリア機能が弱い新生児の肌は、ちょっとした刺激に対して変化を見せることがあります。「新生児落屑(しんせいじらくせつ)」もその一つ。今回は新生児落屑について、原因や対処法、病院へ行くべきかなどをご紹介します。
新生児落屑とは?皮膚がカサカサになってむける?
新生児の肌の表面がカサカサになり、剥がれ落ちることを、新生児落屑といいます(上写真)。
まるで脱皮のように古い皮膚がポロポロと落ちて、その下から新しい皮膚が現れます。体のある特定の箇所で起こるというものではなく、腕や足、頭皮など、体の様々な箇所で起こります。
これは、新陳代謝が盛んな新生児の生理現象なので、特に心配する必要はありません。新生児落屑は生後1ヶ月のうちに起こり、剥がれ始めると、2週間~1ヶ月程度ですべて剥がれ落ちるのが一般的です。
新生児落屑の原因は?
新生児落屑の原因は、ママのお腹の中から外の世界に出てきたことによる環境の変化だと考えられています。胎児のときは、ママのお腹の中で羊水に包まれているので、肌は常に潤っている状態ですが、生まれて外の世界に出ると、空気に触れて肌が急激に乾燥していきます。
生まれた当初は、胎脂と呼ばれる白いクリーム状の脂が体の表面を覆っているため、乾燥から皮膚を守ってくれています。しかし、胎脂が剥がれ落ちると皮膚が乾燥していき、新生児落屑が起こるとされています。特に乾燥する冬によく見られます。
ただ、新生児落屑は赤ちゃん全員に起こるというものではありません。
新生児落屑の対処法は?
新生児落屑に特別なケアは必要ありません。肌がカサカサしていて、見た目には辛そうなので、ベビーローションやクリームで保湿したくなりますが、グッとこらえて様子を見ましょう。
赤ちゃんの肌が、ママのお腹の中から外界への環境変化に対応している途中なので、まずは何も塗らないことを心がけてください。
落屑の量が多くて気になるようであれば、沐浴のときにそっと洗い落としてあげます。強くこすると、下に現れる新しい皮膚まで剥がしてしまう恐れがあるので、注意してくださいね。
また、むけそうな皮膚を無理やり引っ張って剥がすと、皮膚が感染や炎症を起こして赤くなってしまう場合があります。新生児落屑が起きているときは、自然に皮膚が剥け切るまで待つことが大切です。
新生児落屑で病院へ行くべき?
新生児落屑は生理的な現象なので、病院へ行って治療してもらう必要はありません。
ただ、新生児落屑を無理にはがしてしまって、炎症を起こしたり、肌がただれたりした場合は、小児科もしくは皮膚科を受診して、医師に診てもらいましょう。
また、新生児期から生後2ヶ月頃までの赤ちゃんは、「乳児脂漏性湿疹」が原因で、頭皮に黄色い塊や、うろこのような塊ができることがあります。新生児落屑と対処法が異なるため、見間違えてしまわないように、頭皮をよく観察してください。
新生児落屑と湿疹の見分け方は?
新生児は、ママからもらったホルモンの影響で皮脂を多く分泌しているため、脂漏性湿疹ができやすい状態です。皮脂や汚れが頭皮で固まって、時間が経って乾燥した後に、ポロポロと取れて頭皮につくため、新生児落屑と見間違えやすいのです。
乳児脂漏性湿疹が起きている場合、頭皮が赤くなったり、黄色や赤に皮膚が変色して臭くなったりします。髪の毛が多いときは、髪をかき分けながら、頭皮を注意深く見てあげましょう。
湿疹が原因であれば、清潔に保ってあげることが大切です。シャンプーで優しく洗った後、肌に優しいベビーオイルなどを浸みこませ、塊が取れやすい状態にしましょう。布団も汚れ、不衛生になるので、頭の下にタオルを敷いて寝かせ、毎日取り替えてあげてくださいね。
赤みがひどく治まらない場合は、さらに悪化してしまう恐れがあるため、病院を受診しましょう。
新生児落屑が長期間続くなら病院へ
新生児落屑は生理的現象なので、基本的には自然に治まっていきますが、長く続くときは、注意が必要です。
本来であれば、新生児落屑は2週間~1ヶ月程度で終わるものなので、1ヶ月以上続くような場合は、何らかの皮膚の疾患を発症している可能性があります。
皮膚の表面がウロコ状になって剥がれ落ちる病気「先天性魚鱗癬」は、発症することは稀ですが、症状が新生児落屑に似ていることがあります。新生児落屑がなかなか治まらないときは、医師に診てもらいましょう。
新生児の肌はまだ発達段階で、様々な変化が起きますが、肌の様子に何か違和感があるときは、小児科や皮膚科の医師に相談するようにしてください。