大泉門とは?閉鎖時期は?小泉門との違いや大きさは?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

赤ちゃんの頭には、「大泉門」と呼ばれる柔らかい部分があります。この大泉門は、乳幼児健診での診察ポイントで、その様子を調べることで赤ちゃんが病気を持っている可能性などがわかります。今回は、大泉門とはどのようなものなのか、閉鎖時期はいつなのか、小泉門との違いや大きさなどについてご説明します。

大泉門とは?

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大泉門とは、赤ちゃんのおでこと頭のてっぺんの間にある、骨のない部分のことです。形はひし形で、触るとペコペコ凹みます。

人間の頭蓋骨は複数枚の骨がつながって形作られていますが、赤ちゃんの場合は頭蓋骨の発達が未熟なため、骨と骨のつなぎ目が完全には閉じておらず、骨同士が膜でつながっています。これが大泉門の正体です(※1)。

それでは、なぜ大泉門があるのでしょうか。

それは、赤ちゃんが生まれてくるときに、ママの産道を通りやすくするためです。産道は狭いため、赤ちゃんの頭が通りにくくなっています。しかし、大泉門があるおかげで頭の大きさや形を変えやすく、狭い産道も通り抜けられるようになるのです(※1)。

大泉門の大きさは?

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大泉門の大きさは、成長とともに変化します。

生まれたばかりの赤ちゃんの大泉門は縦横3cmくらいの大きさですが、生後6〜7ヶ月頃になると縦横1〜2cmくらいになり、生後9〜10ヶ月頃には閉じている赤ちゃんもいます。

1歳くらいになると、大泉門は閉じているか、それに近い状態であることが多く、1歳半になると完全に閉じています。

大泉門の大きさが各月齢での標準よりも大きいと、検査が必要になることがあります(※2)。

大泉門の閉鎖時期は?閉じないときは病気?

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上で説明したように、通常、1歳半頃には大泉門は閉鎖しています。

ただし、大泉門が閉鎖する時期には個人差があり、1歳半ごろになっても閉じていない赤ちゃんもいるので、閉じないからといって病気であるとは限りません。大泉門の大きさが大人の指の太さよりも小さく、他に異常が見当たらなければ、2歳くらいまでに閉じる可能性があります(※3)。

2歳を過ぎても大泉門が閉じない場合は、成長や発達に遅れがみられることがあります。もちろん、そうした異常がみられないこともありますが、異常がなかったとしても水頭症の可能性なども考えられるため、病院で詳しい検査を受けた方がいいでしょう(※3,4)。

大泉門の膨隆とは?膨らみがあると病気?

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大泉門は乳幼児健診で検査されますが、特に1歳半での健診では膨隆(ぼうりゅう)しているかどうかを確認されます。膨隆とは、盛り上がったり、膨らんだりしている状態のことです。

健診時に大泉門が膨隆していると診断された場合、病気の可能性があるため、なるべく早く専門の病院で診てもらうように勧められることがあります。また、膨隆の他に、次のような点が認められたときも同様です(※3)。

● 頭蓋骨同士のつなぎ目が離れていたり、盛り上がっていたりする
● 赤ちゃんの顔や頭蓋骨、そのほか発育などに異常がみられる

こうした異常がみられなくても、頭が大きくなっている場合や、転ぶなどして大泉門をぶつけて膨隆してきたときは、脳に異常があるかもしれないので念のため病院で診てもらった方がよいでしょう(※3,5)。

疑われる病気は?

上で説明したような異常がきっかけで疑われる病気には、次のようなものがあります(※3)。

● 頭蓋内の圧力が高まる病気
● 骨の病気
● 先天奇形症候群
● 甲状腺や副甲状腺などの病気

大泉門は陥没することがある?へこみがあるときの対処法は?

点滴

大泉門は膨らむこともあれば、陥没することもあります。どういうときに大泉門が陥没するかというと、主に赤ちゃんが脱水症状になってしまったときです。

赤ちゃんは体の中で水分が占める割合が大きいため、大人よりも脱水症状になりやすくなっています。特に、嘔吐や下痢などをしているときは脱水症状を起こしやすく、大泉門が陥没することもあります。

ただし、大泉門の陥没が脱水症状の目安として使えるようになるのは、おすわりができるようになった頃からです。

赤ちゃんの大泉門がへこんでいた場合は、なるべく早く病院で診てもらいましょう。脱水症状であれば、点滴による治療が行われます(※6)。

大泉門と小泉門の違いは?

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大泉門と似た部位として、小泉門というものがあります。小泉門は大泉門と同じく、赤ちゃんの頭にある骨のない部分のことです(※1)。赤ちゃんの成長とともに小さくなっていき、通常は生後2〜3ヶ月頃に閉じます(※7)。

大泉門との違いはその形や大きさ、位置などです。小泉門は三角形をしており、大泉門が頭の前方にあるのに対して小泉門は後方、頭のてっぺんと後頭部の間あたりに位置しています。

大きさは大泉門よりも小さいのが一般的です。また、大泉門とは違い、触ってもわかりません(※1)。

なお、大泉門と同じく、乳幼児健診で定期的に大きさなどを確認されます(※2)。

大泉門には個人差があります

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大泉門の様子を調べることで、赤ちゃんが病気を持っている可能性や脱水症状になっていないかなどがわかります。そう聞くと、ついつい大きさやいつ閉じるのかといったことが気になってしまうかもしれません。

しかし、大泉門の大きさや閉鎖する時期などには個人差があります。また、赤ちゃんの発育は大泉門だけでなく、他にも様々な観点でチェックを行い、総合的に判断するものです。

大泉門も大事ですが、それだけにとらわれることがないようにしましょう。どうしても心配な場合は、乳幼児健診のときに医師に相談してみてくださいね。

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