予定帝王切開で出産することになっていたり、「もしかしたら帝王切開になるかも」と医師から言われたりした妊婦さんは、どれくらい入院することになるのか気になっているのではないでしょうか。入院中の上の子のお世話のことなどを考えると、あらかじめ目安を知っておきたいですよね。そこで今回は、帝王切開となった場合の入院日数や、退院後の注意点などについてご説明します。
どんなときに帝王切開になるの?
帝王切開は、母体のお腹と子宮を切開して、赤ちゃんをそこから取り出す分娩方法のことをいいます。
帝王切開には2種類あり、妊娠中にあらかじめ経腟分娩(自然分娩)によるリスクが想定される場合は「予定帝王切開」、妊娠中や分娩中に母体や胎児の状態が悪くなった場合は「緊急帝王切開」が行われます。
双子や三つ子を出産予定だったり、赤ちゃんの頭や体が大きかったりする場合は、経腟分娩だと時間がかかってしまい、母体や胎児が弱ってしまう可能性があるので、妊娠中の段階で予定帝王切開が選択されることがよくあります(※1)。
また、一般的に妊娠36週までに逆子の状態から戻らない場合は、分娩時に頭が出にくく、へその緒が圧迫されて赤ちゃんが苦しくなることが多いため、母子の安全を優先して、医師から帝王切開を提案されることもあります(※1)。
帝王切開は痛い?傷跡は残る?
予定帝王切開の場合は、分娩前日から入院し、手術について医師から説明を受けたうえで同意書を提出します。緊急帝王切開となった場合は、分娩室で妊婦さん本人や家族から口頭のみで同意を受け、手術を進めることもあります。
手術は、下半身だけの局所麻酔(場合によっては全身麻酔)をかけて行い、約1時間で終わります。局所麻酔であれば、手術中も意識があり、赤ちゃんの産声を聞いたり対面したりすることもできます。
麻酔が効いているあいだは痛みを感じませんが、術後は経腟分娩の場合と同じく「後陣痛」があります。また、退院前に抜糸を行うときや、傷口が癒えるまでのあいだは痛みを感じるママもいます。
術後、しばらくは帝王切開で切開した傷跡が赤く残りますが、時間が経つにつれて白っぽくなり、だんだん目立たなくなっていきます。
帝王切開の入院期間や日数は?
経腟分娩の場合、産後の入院期間は初産婦で5日前後、経産婦で4日前後ですが、帝王切開の場合は手術の前日・当日も入れて6〜10日間ほどが目安です。
ただし、産後のママや赤ちゃんの体調によっては術後2週間以上入院することもあり、個人差があると考えておきましょう。
また赤ちゃんの状態によっては、ママだけが先に退院する場合もあります。例えば、目や肌が黄色くなる「黄疸」が強いときなどは、赤ちゃんだけしばらく病院に残って経過を観察し、ママは母乳を届けるために通院しながら赤ちゃんの様子を見守る、というケースもあります。
帝王切開で退院後、生活の注意点は?
帝王切開は、お腹を切り開く手術をするので、傷口が癒えるまでに少し時間が必要です。退院後は、次のようなことに気をつけてできるだけ穏やかに過ごしましょう。
日常生活
退院後1ヶ月くらいは、しゃがんだり、お腹に力を入れたりすると傷口が痛むことがあるので、重いものを持ったりするのは控えましょう。
車の運転も体に負荷がかかるので、できるだけ家族を頼ってくださいね。
服薬と授乳
術後、痛み止めの薬を飲んでいる場合、赤ちゃんに母乳をあげてもいいのか迷う人もいるかもしれませんが、産院で処方される薬は適切に飲めば赤ちゃんへの影響はほとんどありません。
ただし、病院で出された以外の市販薬などを自己判断で飲むことは避けてくださいね。
夫婦生活
一般的に、産後の夫婦生活は1ヶ月健診で医師のOKが出てからとされていますが、帝王切開の場合は、術後2ヶ月以上控えるよう、医師から指示されることもあります。
傷口が治る早さは人それぞれで、見た目は綺麗になってきていても、内側は完全に治っていないこともあります。パートナーにも状況を理解してもらい、体に負担のない範囲でスキンシップを楽しむようにしましょう。
なお、帝王切開によって切開した子宮に大きな負荷をかけないために、次の妊娠までは1~2年空けるよう医師から勧められることも。夫婦生活を再開したあとも、母体に負担がかからない時期が来るまでは避妊を心がけてくださいね。
帝王切開の入院期間は長くなることも
上の子の保育園・幼稚園の送り迎えや、パートナーの仕事のスケジュールなどを考えると、帝王切開になった場合の入院期間は気になるところ。目安として6日前後ですが、産後の経過によっては長引くこともあるので、家族の理解と協力を得ておきましょう。
術後に痛みも残るなか、生まれたばかりの赤ちゃんや上の子のお世話をするのは大変かもしれません。授乳以外の家事・育児は家族にできるだけ頼るなど、退院後もひとりで無理しすぎず、少しずつ体力を回復させていってくださいね。