児頭骨盤不均衡とは?リスクや診断方法は?帝王切開になるの?

監修医師 産婦人科医 永瀬 絵里
永瀬 絵里 産婦人科専門医。2001年、東海大学医学部卒業。神奈川県内の病院で産婦人科医としての経験を積み、現在は厚木市の塩塚産婦人科勤務。3児の母。「なんでも気軽に相談できる地元の医師」を目指して日々診療を行っ... 監修記事一覧へ

医学が発達した現代においても、出産は命がけです。スムーズに生まれれば問題はありませんが、難産になる可能性は誰にでもあります。その難産の原因の一つに、胎児の頭の大きさやママの骨盤の形などが関係する「児頭骨盤不均衡」があります。今回は、児頭骨盤不均衡について、原因や症状、診断・治療方法のほか、帝王切開が必要になるのかなどをご説明します。

児頭骨盤不均衡(CPD)とは?

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児頭骨盤不均衡とは、「赤ちゃんの頭(児頭)と、ママの骨盤の大きさが釣り合っておらず、スムーズな分娩が妨げられる状態」のことをいいます。

「お腹の赤ちゃんが大きくなりすぎると難産になる」という話を聞いたことがあるかもしれません。

しかし、赤ちゃんの体が大きく、頭も大きくなったからといって、必ず児頭骨盤不均衡になるわけではなく、たとえ体重が4,000g近い胎児でも、ママの骨盤が大きければ問題なく出産できることはあります。

つまり、児頭骨盤不均衡になるのは、胎児の頭の大きさが正常なのにママの骨盤が狭い場合か、ママの骨盤が正常なのに胎児の頭が大きすぎる場合、もしくはその両方の場合があります。

児頭骨盤不均衡の原因は?

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児頭骨盤不均衡になりやすいケースとしては以下のようなものが考えられます。

母体側の原因:狭骨盤

ママの身長が150cm以下で小柄だったり、代謝性疾患があったりすると、骨盤が小さい「狭骨盤」になっている可能性があります。

ただし、ママが狭骨盤でも、赤ちゃんの頭が小さければ、問題なく経腟分娩できます。

胎児側の問題:巨大児や水頭症

ママの骨盤が正常でも、お腹の赤ちゃんが4,000g以上の巨大児であったり、水頭症だったりする場合、骨盤を通り抜けにくくなります。

児頭骨盤不均衡の診断方法は?

エコー検査

通常、妊娠37週以降~分娩直前になると、胎児の頭は母体の骨盤にぴったり固定され、動きません。

しかし、触診してみて赤ちゃんの頭が動くことがわかった場合、「ザイツ法(Seitz法)」という方法によって、頭の位置を確認します(※1)。

ザイツ法で見た結果、胎児の頭が母体の恥骨結合(骨盤前部の接合部分)よりも位置が高い場合、児頭骨盤不均衡の可能性が高いと考えられます。

児頭骨盤不均衡と考えられる妊婦さんの場合、エックス線による骨盤測定と、胎児超音波計測が行われます。

ただし、最近ではこのエックス線骨盤計測を行わない病院も増えてきているようです(※2)。

エックス線骨盤計測と胎児超音波計測の結果、骨盤入り口と胎児の頭の大きさを比較したうえで、児頭骨盤不均衡の診断がされます。

児頭骨盤不均衡のリスクは?

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児頭骨盤不均衡だと、お産が始まってもなかなか赤ちゃんの頭が産道を降りてこず、分娩を続けることが難しくなります。赤ちゃんが産道で詰まるほど陣痛は強くなり、妊婦さんが苦しい思いをします。

それが続くと、子宮の筋肉が強く収縮することで、子宮下部が伸びすぎてしまい、切迫子宮破裂を引き起こすリスクがあります。時間が経つにつれて子宮筋は疲労していき、陣痛が弱くなる「微弱陣痛」の状態になります。

この微弱陣痛が起こると、お産が進まなくなってしまい、母体にも赤ちゃんにも危険が及びます。そのため、児頭骨盤不均衡の疑いがある場合は、特に赤ちゃんの心音に注意を払いながら分娩を進める必要があります。

児頭骨盤不均衡の対処法は?帝王切開になる?

病院 手術

計測の結果、児頭骨盤不均衡であることが明らかな場合は、「予定帝王切開(選択的帝王切開)」の処置が取られます。

児頭骨盤不均衡と確定できないものの、可能性が疑われる場合は、医師による監視を厳重にした「試験分娩」で経膣分娩に挑みます。

ただし、陣痛が始まっても赤ちゃんの頭がなかなか降りてこなかったり、切迫子宮破裂が見られたりするときには、「緊急帝王切開」に切り替えることになります(※2,3)。

確実に児頭骨盤不均衡である、と分娩前に診断をすることは難しく、実際にお産が始まってみないとわからないことも多くあります。

しかし、分娩前に「疑いあり」とわかっていれば、母体と赤ちゃんの安全を考えて帝王切開になると医師から説明されるので、ある程度覚悟をしたうえで分娩に臨むことになります。

児頭骨盤不均衡の可能性があっても心配しすぎないで

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「児頭骨盤不均衡の疑いがある」と診断されると、妊婦さんは難産を想像して怖くなってしまうかもしれません。

しかし、産科医はママと赤ちゃんの安全を一番に考えて、いつでも帝王切開ができるよう準備されたうえで分娩を進めてくれるので、過度に不安を抱かないでください。

「帝王切開になるかもしれない」と、頭の片隅に置きつつも、落ち着いてお産に臨めるようにリラックスした日々を過ごしましょう。

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