「妊娠してすごく太った」という先輩ママの話を聞いて、妊娠初期でも「早めにダイエットを始めようかな」と思う妊婦さんが最近は多いようです。しかし、安定期に入る前の妊娠初期でのダイエットには様々なリスクが潜んでいるので要注意。そこで今回は妊娠初期のダイエットについて、安全な方法や、食事と運動のポイントなどをご説明します。
妊娠初期にダイエットは必要なの?
妊娠して「食べづわり」などで体重が急激に増えていくと、体型が心配になってしまうこともありますよね。
見た目の問題だけでなく、理想体重よりもかなり増加してしまったときには、妊娠高血圧症候群の発症リスクが増えることや、陣痛が弱く、分娩に時間がかかるなどのトラブルを招くこともあります(※1)。
一方で妊娠中の体重増加が不足すると、早産や赤ちゃんの発育不全などのリスクだけでなく、赤ちゃんが大人になった時に循環器疾患や糖尿病を発症するリスクも高まるとされています(※2)。
妊娠前の体型によっては医師から体重に関する指導がされることもありますが、妊娠初期はまだ赤ちゃんが小さく妊婦さんの著しい体重の増加は見られにくいので、妊娠初期にダイエットが必要なことはほとんどありません。
妊娠初期にダイエットを始める目安は?
日本産婦人科学会によると、妊婦さんのもともとの体型によって、出産までに推奨される体重増加量はこちらのとおり異なります(※2)。
ダイエットを開始する前に、理想体重増加量の目安を知っておきましょう。
ただしこの数値はあくまでも目安です。個人差があるものなので、体重の変化が気になる場合は医師に相談してください。
妊娠初期のダイエット!食事のポイントは?
「食べづわり」による過度な体重増加や、もともと体重が多く妊娠時に体重に関して指導されたときには、お腹の赤ちゃんの成長を妨げないよう、安全な方法でダイエットをしていきたいですよね。
妊娠初期のダイエット方法としておすすめなのは「食事管理」です。無理な食事制限ではなく、必要な栄養素を必要なだけ正しくとる食事管理を行っていきましょう。
塩分を控えて、適正カロリーを摂る
塩分を控え、摂取カロリーは妊娠前と同じくらいに抑えることが大切です。薄めの味つけを心がけ、調理方法に「蒸す」「ゆでる」という方法を取り入れると、効率良くカロリーカットができますよ。
また、油分が多い揚げ物や、脂肪分が多い肉の脂身は、思い切って食べないのも一つの手です。肉の赤身は、タンパク質などの妊婦さんに必要な栄養素を多く含んでいるので、適量であれば食べてかまいませんが、脂身はできるだけ避けるようにしたいですね。
炭水化物は、食べる時間や回数を見直す
炭水化物を摂りすぎると太りやすいですが、赤ちゃんの成長に必要不可欠な栄養素なので、摂り方を工夫しましょう。
夜20時を過ぎたら炭水化物は摂らないなど、食事の時間帯を意識したり、食べすぎを防ぐため、少量ずつ複数回に分けて食べたりするのがおすすめです。また、朝食をパンから白米に変えるだけでも、塩分や脂質のカットにつながりますよ。
主食の量を制限しすぎると、間食が増えて逆効果…ということにもなりかねないので、適量を摂るよう心がけましょう。
妊娠初期のダイエットで避けるべき運動は?
妊娠経過が順調であれば、妊娠初期であっても、妊娠前と同じように運動してよいとされています(※3)。
ただし、ダイエット目的で激しい運動をするのは避けたいところ。走ったり、ジャンプしたり、人とぶつかったりするようなスポーツは、転倒やお腹をぶつけるリスクがあるので、やらないようにしましょう。また、ラケットスポーツなど、過度に関節に負荷を与えるスポーツもおすすめできません。
ウォーキングやヨガなどの軽い運動であれば、ストレス解消になるうえに、お産に向けた筋力や体力を養うことにもつながるので、少しずつ習慣にできるといいですね。
ただし、つわりで気持ち悪いときや、お腹の張りを感じるときなど、体調が悪い日は無理をしないようにしましょう。
妊娠初期のダイエットの注意点は?
妊娠初期のダイエットは、赤ちゃんに発育不全などの悪影響を与えないよう、次のことに注意して行いましょう。
無理な食事制限はしない
妊娠初期の赤ちゃんは、つわりなどで妊婦さんがあまり食事をとれなくても成長することができます(※1)。ただし、妊婦さん自身の健康のために、食べられるときに食べられる範囲で栄養を摂るように心がけ、つわりによる脱水症状を防ぐためこまめに水分を摂りましょう。
また、妊娠中期以降は、赤ちゃんが正常に育つための栄養素もしっかり摂る必要があります。無理なダイエットによってカロリーが不足していたり、必要な栄養素が得られなかったりすると、赤ちゃんが低出生体重児になるリスクもあります。
適切な体重は意識しつつ、無理な食事制限は避けるようにしましょう。
体に異変があれば運動をやめる
妊娠初期も適度な運動を続けることが望ましいですが、体を動かしているときに気分が悪くなったり体調不良を感じたりしたときは、すぐに運動をやめて休みましょう。
お腹の張りや腹痛、不正出血、めまいなどの症状がある場合、切迫流産など、赤ちゃんの命に関わる異常が起きている可能性もあります。
切迫流産は運動が原因で起こるわけではありませんが、少し休んでも症状が良くならない場合は、すぐかかりつけの産婦人科を受診してください。
妊娠初期のダイエットでサプリメントは飲んでもいいの?
「妊娠前にダイエットサプリメントを飲んでいた」という妊婦さんもいるかと思いますが、妊娠が判明したら、妊娠中も飲んでいいサプリメントかどうかを確認するようにしましょう。
妊娠中に飲んでもいいかは、商品パッケージやホームページに書かれていることが多いですが、調べてみても判断がつかない場合は、かかりつけの医師や薬剤師に相談してくださいね。
なお、妊娠初期に葉酸の摂取量が不足すると、神経管閉鎖障害という赤ちゃんの先天性の病気リスクが高まります。そのため厚生労働省は、通常の食事に加えてサプリメントなどの栄養補助食品から1日400μgの葉酸を摂るよう勧めています(※2)。
生まれてくる赤ちゃんの健康のために、適切なサプリメントを飲むようにしたいですね。
妊娠初期にダイエットしなくても、産後は体重が減るの?
産後の体重が気になってダイエットの開始を考える妊婦さんも多いと思いますが、出産後は、赤ちゃんや胎盤、羊水などが体の外に出るので、約5.5kgは体重が落ちます(※1)。
また母乳育児の場合、1日に約500kcalを消費するといわれ、より体重が落ちやすくなります。
妊娠中に増えた体重が、産後もそのまま上乗せになるわけではないので、妊娠初期に焦ってダイエットしないように気をつけてくださいね。
妊娠初期のダイエットは無理しないで
妊娠初期のうちから体重を意識するのは良いことですが、あくまでも赤ちゃんが無事に育ち、無事に出産をするために適切な体重をキープすることを忘れないようにしましょう。
また、妊娠初期に体重が増えすぎていて心配なときは、自己流でダイエットを始める前にかかりつけの産婦人科医に相談をして、アドバイスをもらってくださいね。