生理の始まる時期でもないのに出血があり、不安になったことはありませんか?その出血が排卵出血の場合は問題ありませんが、もしかしたら身体の異常からくる不正出血かもしれません。今回は、不正出血について、原因や気づく症状、排卵出血や生理の出血の見分け方をまとめました。
不正出血とは?
不正出血とは、周期的に起きる生理での出血を除いた、性器からの出血を指します。不正性器出血とも言います。
その症状は様々で、大量に鮮血が出ることもあれば、おりものに少量の血が混ざっている程度の場合もあります。女性の体はデリケートなので、不正出血も起きやすく、何の問題もないこともありますが、病気が隠れている可能性もあるので、自己判断は禁物です。
不正出血の原因は?
不正出血の原因は様々ですが、大きくは以下の3つに分類されます。
器質性出血
子宮や卵管に、炎症や腫瘍など、何らかの病気があって起こる不正出血を「器質性出血」といいます。子宮筋腫や子宮体がんが原因で起こる不正出血が代表例です。
機能性出血
子宮の炎症や腫瘍などの病気による器質性出血や、妊娠性の出血、子宮以外からの出血(痔など)を除いた出血を「機能性出血」といいます。「機能性子宮出血」と呼ばれることもあり、不正出血の多くがこれにあたります。
主にホルモンバランスの乱れが原因によって起こり、生理ではないのに子宮内膜が剥がれて出血してしまっている状態です。たとえば、排卵出血や無排卵月経は機能性出血に分類されます。
排卵出血とは、生理予定日の14日ほど前の排卵時期に起こる出血です。生理現象のため、病気ではありません。排卵出血については関連記事を参考にしてください。
ほかにも、経口避妊薬の服用による出血(薬剤性出血)や、血液疾患などによる出血も機能性出血です。
その他の出血
器質性出血と機能性出血以外の原因で不正出血が起きることもあります。たとえば、妊娠性の出血や、性行為によって腟の一部が傷つくことで起こる不正出血などです。
不正出血はどんな症状?腹痛や腰痛、鮮血があるの?
不正出血はその原因によって、腹痛や腰痛など、伴う症状も様々です。出血以外の症状がないこともあります。
出血の内容についても人それぞれで、少量、多量、鮮血であったり、ピンク色のおりものが出る程度だったりする人もいます。
排卵出血や一時的なホルモンバランスの変化による出血であれば、それほど不安になる必要はないのですが、子宮内膜症や子宮筋腫、子宮頸がんなどでも出血することがあります。出血の原因を症状などから自分で判断することは困難なので、不正出血があった場合は、早めの産婦人科受診を検討してください。
ここからは、不正出血があったときに注意したい病気についてご説明します。
不正出血で考えられる病気は?
不正出血があったときに考えられる病気には様々なものがあります。不正出血の症状からどの病気かを判断するのは困難なので、自己判断せずに産婦人科で診断を受けましょう。ここでは、注意が必要な病名をいくつかご紹介します。
1. 子宮がん
子宮がんは子宮にできるがんの総称で、「子宮頸がん」「子宮体がん」の2つに分類されます。子宮頸がんは30代後半での発症が最も多く、近年では20代や30代前半での発症も増加傾向にあります。一方、子宮体がんは40代から発症数が増え、50~60代が最も多くなっています。
2. 卵巣がん
卵巣にできるがんの総称です。卵巣は体の奥にあるので病状が進行してからでないと自覚症状を感じることが少ないため、死亡率も高い病気です。また、手術でしか卵巣にできた腫瘍が良性か悪性かを判断できないため、がんが疑われる場合は、摘出手術が必要になります。
3. 子宮筋腫
子宮筋腫とは子宮筋層にできる良性の腫瘍で、30代以上の女性の4人に1人が発症するメジャーな病気です。
腫瘍自体は良性なので、生命を脅かすことはありませんが、放っておくとメロン大ほどの大きさになり、不正出血以外に経血量の増加や、重い生理痛、腹痛、腰痛、頻尿を引き起こし、不妊の原因となる場合があります。
4. 子宮内膜症
子宮内膜症とは、子宮の内側にしかないはずの子宮内膜が体の別の場所で発生し、炎症や癒着を起こしてしまう病気です。子宮内膜症が発生しやすい場所は腹膜や卵巣で、20代から発症しやすくなります。発症後は、閉経するまで悪化するとされています。
子宮内膜症自体は良性の病気なので、命に関わるものではありませんが、炎症や癒着によって不妊を引き起こす可能性もあります。
5. 子宮頸管ポリープ
子宮頸管ポリープとは、子宮の入り口である子宮頸管部分にできる良性の腫瘍です。通常は3~5ミリほど、増大すると1センチ程度の大きさになります。悪性腫瘍になることは稀ですが、症状がある場合は腫瘍を切除することもあります。
6. 性器クラミジア感染症
性器クラミジア感染症は、性感染症の一つです。クラミジア菌が子宮頸管に感染することで腟炎や卵管炎を引き起こし、子宮外妊娠や不妊、流産の原因となります。
女性は無症状のことが多いため気づきにくく、知らない間にパートナーにも感染させてしまうことがあります。片方の感染が確認された場合は、原則パートナーも合わせての治療が必要です。
不正出血と生理の違いは?排卵出血は見分けられる?
不正出血と生理の一般的な特徴には、下記のようなものがあります。
ただし、出血はそのときどきで違い、続く期間や痛みの度合いも様々です。医師であっても不正出血とそれ以外の出血を区別するのは難しいとされています。
心配な人は普段から基礎体温を測って生理周期を把握し、時期によって不正出血かどうか予想をつけるようにするのがいいでしょう。
生理の特徴
生理は出血が1週間前後くらい続きます。出血量は2〜3日目が多く、それ以降は少なくなっていきます。
不正出血の特徴
一番の特徴は、生理ではない時期に起こることが多いということです。また、不正出血は単発で起こったり、少量の出血がずっと続いたりということもあります。
ただ、生理と不正出血で全く区別できないことも少なくありません。「生理だと思っていた」と、産婦人科の受診が遅れる人もよくいます。生理周期や基礎体温の変化を見ながら、何か気になる点があれば早めに産婦人科を受診してください。
また、不正出血のなかでも「排卵出血」は、排卵期に起こる出血です。起こる人もいれば起こらない人もいますし、同じ人でも排卵期によって起こったり起こらなかったりします。
期間は1~3日と短いことが多いです。なかには、排卵痛と呼ばれる下腹部痛を伴う場合もあります。
不正出血はもしかしたら妊娠のサイン?
妊娠初期に不正出血がみられることがあります。これは、一般的に「着床出血」と呼ばれる着床時の出血や、着床後に起こる出血です。受精卵が子宮内膜に定着して妊娠が始まることで起こり、排卵日から7日後以降に見られます。
ただし、流産でも不正出血が見られることがあります。
また、妊娠していたとしても正常妊娠ではなく、異常妊娠の可能性もあります。子宮以外の場所に受精卵が着床してしまう「子宮外妊娠」や、異常な受精卵が増殖したものである「胞状奇胎」も不正出血の原因として考えられるので、注意が必要です。
生理だと思っていて妊娠性の不正出血だったということもあるので、生理がいつもと違う場合は、妊娠の可能性も考えましょう。
不正出血があったら、産婦人科の受診を
不正出血は、体に重大な異常があることを示すサインかもしれません。「何かがおかしい」「いつもと違う」と少しでも感じたら、放っておかず、すぐに産婦人科の医師に相談してくださいね。できるだけ早く相談することで、不妊や妊娠時のリスクを少しでも軽減することができますよ。