子宮内膜症とは?原因や症状、治療法は?手術費用はいくら?

「子宮内膜症」は多くの女性に見られる子宮の病気です。不妊の原因になることがあるため、これから妊娠を考えている人は、体に現れる症状を早い段階でキャッチして、治療を開始することが大切です。そこで今回は、子宮内膜症とはどのような病気か、原因や症状、治療法、手術費用についてご説明します。

子宮内膜症とは?

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子宮内膜症とは、本来は子宮の中にしかないはずの子宮内膜の組織が、卵巣や卵管など子宮以外の場所にできる病気です。正常に生殖機能が働いている女性の約7〜10%に見られ、特に20〜40歳代の女性で発症しやすいといわれています(※1)。

子宮内膜症が体外のどこで増殖するかは人それぞれですが、卵巣や子宮を覆っている腹膜などに発生しやすく、特に卵巣に子宮内膜症ができた場合は「チョコレート嚢胞」と呼ばれます。

子宮内膜症の症状は?

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子宮内膜は生理が近づくと剥がれ落ちますが、子宮内膜症で子宮以外の場所にできた場合にも同様の働きをします。子宮内で剥がれ落ちた子宮内膜は膣を通って体外に排出されますが、子宮外にできた子宮内膜は体外に排出されずに体内に溜まり、これが他の臓器との癒着を起こして様々な症状を引き起こします。

基本的な症状は「痛み」です。内膜症のある場所、大きさ、癒着の程度などによって症状はさまざまですが、主に生理痛や下腹部痛、腰痛、性交痛、排便痛、慢性骨盤痛などが現れます。痛み以外では、不正出血が見られたり、経血量が多かったり、レバー状の塊が出ることもあります。

子宮内膜症を発症しても、最初のうちは目立った自覚症状が現れないことがありますが、生理を繰り返す度に痛みは強くなっていくことで異変に気づきます。進行すると日常生活に支障をきたすほどの痛みを感じることもあり、ひどい場合には毎月寝込んだり、痛み止めが効かなくなるほどです。

子宮内膜症の原因は?

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子宮外になぜ子宮内膜ができるのかについて、はっきりした原因は分かっていませんが、有力な説として「移植説」と「化生説」の2つがあります(※3)。

移植説

子宮内膜が剥がれ落ちた際、その血液が体外に排出されるのではなく、卵管の方に逆流して腹部付近に溜まることで発症するという説です。子宮外に付着した子宮内膜組織の一部が逆流した先で増殖し、子宮内膜症を引き起こすと考えられています。

化生説

腹膜上皮と呼ばれる細胞が何らかの影響で子宮内膜へと変化し、増殖してしまうと考えられています。

性行為のしすぎで子宮内膜症になることがあるのではないか?という声もありますが、性行為と子宮内膜症に医学的な関連性は見つかっていません。

子宮内膜症はなぜ20〜40代に多いの?

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子宮内膜症は20〜40代の性成熟期によく見られます。この理由としては、生理の回数や妊娠との関係があるといわれています。

子宮内膜は「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と呼ばれる女性ホルモンの働きで、増殖と剥離を繰り返します。エストロゲンは排卵と子宮内膜の増殖を促すもので、若いときほど活発なため、子宮内膜症が起こりやすくなると考えられています。

逆に、閉経によってエストロゲンの分泌が止まると、子宮内膜症も急激に減少することがわかっています(※1)。また、妊娠中はエストロゲンの分泌は増えるもののプロゲステロン(黄体ホルモン)も増加して、子宮内膜の増殖が抑制されます。そして産後は、胎盤の排出とともにエストロゲンの分泌が一気に減少するため、妊娠中と同様に子宮内膜症の症状が軽減されます。

しかし最近は、初経年齢は早く、閉経の時期は遅くなり、以前よりエストロゲンが分泌される期間が長くなっています。働く女性が増えて妊娠・出産などのライフスタイルが変化していることも重なって、子宮内膜症の発症者数は増加しています(※4)。

子宮内膜症と不妊症の関係は?

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子宮内膜症の症状の一つとして、不妊症が挙げられます。これは、子宮外で剥がれ落ちた子宮内膜が癒着を引き起こして、卵管などを塞いでしまい受精を妨げることが原因と考えられています。

子宮内膜症に気づかないまま、不妊症に悩んでいる人も多く、不妊症で婦人科を受診して初めて子宮内膜症を発症していることに気づくケースもあります。必ずしも子宮内膜症があると不妊症になるというわけではありませんが、妊娠しづらくなる要因の一つといえます。

軽度の子宮内膜症であれば自然妊娠を目指すこともできますが、病状が進むと不妊治療が不可欠になる可能性もあります。今後の妊娠を望む人は子宮内膜症のリスクを認識した上で、定期的に検査を受けることをおすすめします。

子宮内膜症の治療法は?

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子宮内膜症の治療法は、大きく「薬物療法」と「手術療法」の2つに分けられます。どの治療が行われるかは、年齢や症状の度合い、発生箇所、今後の妊娠希望などを検討した上で決められます。

薬物療法

1. 偽閉経療法

卵巣の働きを抑制する薬を服用することで、擬似的に閉経状態をつくる方法です。エストロゲンの分泌が抑えられて月経が止まり、閉経した状態にします。子宮内膜症の症状は軽くなりますが、閉経と同じようなホルモン状態にするため、副作用として更年期障害と似た症状が出ることもあります。

2. 偽妊娠療法

擬似的に妊娠状態をつくる方法で、プロゲステロンを服用することで妊娠中と同じようなホルモン状態にして、子宮内膜の増殖を抑制します。偽閉経療法と比較すると、副作用が少なく長期間に渡って服用することが可能です。治療効果が薄いため、長期間の治療を必要とします。

偽妊娠療法にはプロゲステロンだけでなくエストロゲンも含んだ薬、いわゆるピルを使って偽妊娠状態を作り出す方法もあります。それぞれ副作用が出ることもあるため、担当医と相談した上で、使用を開始するようにしましょう。

手術療法

1. 腹腔鏡手術

お腹を切開せず、小さな穴を複数開けて腹腔鏡を挿入し、内視鏡をみながら処置する手術方法です。癒着の範囲が広くなく、開腹するほどではないと判断された場合や、将来妊娠や不妊治療を目的とする場合に採用されます。

出血も傷も小さいので体への負担が小さく、回復が早いことが利点です。

2. 開腹手術

腹部を開腹して手術を行う方法です。病巣が大きい場合や、卵巣や子宮の摘出が必要な場合は開腹手術が選択されます。下半身への麻酔か全身麻酔で治療を行い、下腹部に約10〜15cm程度切開して手術を行います。

子宮内膜症の手術費用は?

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子宮内膜症の治療にかかる費用としては、偽閉経療法で使用する薬には保険が適用されるものの、注射薬だと1ヶ月で10,000円程度、点鼻薬だと半月で4,000円前後になります。偽妊娠療法で低用量ピルを使用するときには、1ヶ月分で2,000〜3,000円程度になります。

手術費用としては、腹腔鏡手術であれば入院費用と合わせて20万円程度になります。それに対して、開腹手術だと入院期間が2〜3週間と長くなるため、保険が適用されても手術費用と入院費を合わせて30万円ほどかかります。

子宮内膜症は漢方薬や鎮痛剤で治療できる?

漢方薬

子宮内膜症に対して漢方薬や鎮痛剤を使う場合は、一時的に痛みなどの症状を和らげるのが目的で、子宮内膜症そのものを治療できるわけではありません。

症状が軽く、月経痛や性交痛、排便痛などを軽減させたい場合にはまず婦人科に相談しましょう。症状に合わせて漢方薬や鎮痛剤を処方してもらえます。

子宮内膜症を予防するには?

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子宮内膜症は一度発症すると再発しやすくなります。ただ、子宮内膜症の原因は明確ではないため、確実な予防法がないのが現実です。しかし、基本的には生活習慣を整えて、ホルモンバランスの乱れを起こさないようにすることが大切です。

● 栄養バランスのよい食事
● 睡眠をしっかりとる
● ストレスを発散する
● 適度な運動で体の冷えを正す
● 禁煙
● 過度なアルコールを避ける

子宮内膜症の症状に気づいたら、早めに婦人科の受診を

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子宮内膜症は完治が難しい病気のため、長期的に付き合っていくことが重要です。不妊にもつながることもあり、子宮内膜症の症状に気づいたら、早めに婦人科を受診して、治療を開始するようにしましょう。

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