男性の育児休業は法律で認められている大事な権利の一つですが、その仕組みについてはよくわからなかったり、収入面が不安で取得をためらったりする人が多いようです。
そこで今回は、育児休業の取得を検討しているパパや、パパに育児休業を取ってほしいと思っているママに向けて、男性の育児休業の取得条件や取得できる期間、休業中の給料などについてご説明します。
男性が育児休業を取得する条件は?
「育児休業(育休)」とは、原則として1歳に満たない子どもを養育するために、労働者が取得できる休業制度です。育児・介護休業法に基づいて定められており、雇用形態や性別関係なく、育児休業を取ることができます。
対象外となる労働者は?
派遣社員や契約社員、パートタイマー、アルバイトなどの有期雇用労働者については、育児休業の申し出時点で、子どもが1歳6ヶ月になるまでの間に契約が満了し、更新されないことが明らかな場合は対象外となります(※1)。
また雇用形態を問わず、労使協定の締結により以下に当てはまる人は対象外となる場合があるので、就業規則などに下記の規定がないか職場に確認しておきましょう。
● 同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年未満
● 1年(1歳以降の休業の場合は6ヶ月)以内に雇用関係が終了する
● 週の所定労働日数が2日以下
育児休業はいつから取れる?男女で違うの?
男性は、子どもが生まれたその日から育児休業を取ることができます(※2)。一方で女性は、産後8週間は産後休業(産休)となるため、育児休業を取る場合は産休終了後からとなります。
なお2022年10月1日以降は、男性は通常の育児休業とは別に、赤ちゃんの出生日から8週間以内に4週間の休業を取得できる「産後パパ育休(出生時育児休業)」という新たな育児休業制度を利用することも可能です。
男性でも取得がしやすいよう、従来の育児休業よりも柔軟な制度になっています。産後パパ育休については以下の記事で詳しくまとめているので、あわせて参考にしてくださいね。
男性の育児休業期間は?どのくらい取れるの?
育児休業は原則として、子どもが満1歳になるまでの間で本人が希望する期間だけ取れます(※3)。
例えば赤ちゃんが11月1日に生まれた場合は、翌年の10月31日までの間で希望する時期に育児休業を取ることができます。
ただし例外として、以下のような場合は育児休業を最長で2歳まで延長することができます。
育児休業を1歳2ヶ月まで延長
パパとママがともに育児休業を取得する場合、「パパ・ママ育休プラス」という特例を利用することで、子どもが1歳2ヶ月になるまで育児休業を延長することができます(※2)。
この特例を利用すると、例えばパパとママがずらして育児休業を取ることで、2人で一緒に赤ちゃんのお世話をする期間を作りつつ、さらに最長で子どもが1歳2ヶ月になるまで切れ目なく育児休業を延長できます。
パパ・ママ育休プラスについては下記の記事に詳しくまとめています。
育児休業を最長2歳まで延長
次のような事情があるときには、育児休業を1歳6ヶ月まで延長することができます。
● 保育所への入所を希望し、申し込みをしているが入所できない場合
● 配偶者の死亡、負傷、疾病などのやむを得ない事情により、子どもの養育が困難になった場合
1歳6ヶ月時点でも上記のような事情がある場合は、最長2歳まで延長することが可能です。
また勤務先によっては、子どもが満3歳になるまで育児休業を取得できるなど法律を上回る制度を定めているところもあるので、勤務先に確認してみてくださいね。
育児休業は分割して取得できるの?
育児休業取得の回数は法改正の関係で時期によって異なるので、育児休業を取得したい時期に合わせて以下を確認してください。
2022年9月30日まで
基本的に1人の子につき育児休業の取得は1回と定められていますが、男性は妻の出産後8週間以内に育児休業を取得し終了した場合に限り、1歳までの間に再び育児休業を取得することができます。
これは「パパ休暇」と呼ばれる特例制度です。
2022年10月1日から
育児・介護休業法の改正により、2022年10月1日から、男女ともに育児休業を2回に分割して取得できるようになります(※1)。
「産後パパ育休」が新設されるため、前述の「パパ休暇」は廃止となります。
なお産後パパ育休も2回に分割できるため、男性の場合は通常の育児休業と合わせると最大4回に分けて取得可能ですよ。
男性の育児休業中の給料は?給付金は出る?
基本的に、育児休業中に勤務先から給料が支払われることはありません。ただし、育児休業中は男女ともに以下のような手当や免除があります。
育児休業給付金が支給される
育児休業給付金とは、原則として1歳に満たない子どもを育てるために育児休業を取得する人に、雇用保険から支給される給付金のことで、「育休手当」と呼ばれることもあります。
支給額は、育児休業の開始から180日目までは給料の67%相当、それ以降は給料の50%相当です。
受給するためには、以下の条件をすべて満たす必要があります(※3)。
● 雇用保険の一般被保険者であること
● 育児休業に入る時点で、休業終了後に退職することが予定されていないこと
● 育児休業に入る前の2年間のうち、11日以上働いた月が12ヶ月以上あること
● 育児休業中に勤務先から賃金の80%以上を支給されていないこと
● 休業している日数が対象期間中毎月20日以上あること(ただし、休業終了月は除く)
ただし有期雇用労働者の場合、上記に加えて、「子どもが1歳6ヶ月になるまでに契約期間が満了することが明らかでない」という条件も満たす必要があるので注意してください。
社会保険料が免除される
育児休業中は、経済的支援として健康保険と厚生年金保険の保険料が免除されます(※3)。
免除期間中は保険料が納付されたものとして取り扱われ、育児休業を取得したからといって将来の年金額が少なくなるなどの不利益は発生しないので、安心してくださいね。
なお産後パパ育休を取得している期間については、通常の育児休業における「育児休業給付金」にあたる「出生時育児休業給付金」が受給できます。また育児休業と同様に、社会保険料も免除されます。
男性の育児休業の取得手続きは?
育児休業を取得するには、育児休業開始の1ヶ月前までに勤め先へ申し出る必要があります。その際に以下の情報が必要になります(※2)。
● 申し出た日の年月日
● 育児休業を取得する人の氏名
● 赤ちゃんの氏名(出産前の場合は妻の名前)
● 赤ちゃんの生年月日(出産前の場合は出産予定日)
● 育児休業を取得する人の赤ちゃんとの続柄
● 育児休業の開始予定日と終了予定日
申し出に必要な書類は会社や事務所で用意されている場合もあるため、まずは勤務先の担当部署などに確認してみてくださいね。
男性も育児休業の取得を検討してみよう
パパが育児休業を取ることで、「産後間もないママをサポートできる」「赤ちゃんの成長を近くで見守れる」など、たくさんのメリットがあります。
しかし一方で、そもそも男性の育児休業取得に理解がない職場もまだ多い状況です。また育児休業が取れる環境であっても、「一時的に収入が減ってしまう」「職場に迷惑をかけてしまうのでは」などと不安に感じる男性も多いようです。
育児休業について不安や不明点があったら、実際に取得した先輩パパの話を聞くのもおすすめです。
男性が育児休業を取得するのは勇気がいることかもしれませんが、家族にとって最良の選択ができるといいですね。