子宮筋腫とは?症状や原因、治療法は?痛みや不正出血はあるの?

記事監修 産婦人科医 丸田 佳奈
丸田 佳奈 日本産婦人科学会認定専門医。千葉県総合周産期母子医療センター勤務。一人でも多くのママと赤ちゃんを救いたいという想いで日々診療しています。また、現役の産婦人科専門医として、医療情報をテレビやラジオ、雑誌... 続きを読む

女性特有の病気として、痛みや不正出血を引き起こすことで知られる子宮筋腫ですが、原因や症状について詳しくは知らない、という方も多いようです。そこで今回は、よく耳にする子宮筋腫とは一体どんな病気なのか、原因や症状、治療法について詳しくまとめました。

子宮筋腫とは?原因は?

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子宮筋腫とは、平滑筋(子宮を形成する筋肉)の細胞が増殖してできる良性の腫瘍です。腫瘍自体に命への危険性はありませんが、放置すると非常に大きく成長してしまい、生理周期が乱れたり、下腹部痛や排尿痛などの症状が現れることも。

詳しい発生原因はまだ解明されていませんが、初潮前の女性には見られず、閉経後には筋腫が小さくなることから、「エストロゲン」という女性ホルモンが子宮筋腫の発生・増大に関わっているのではないか、と考えられています(※1)。

子宮筋腫は、できる場所と発育する方向によって、粘膜下筋腫、筋層内筋腫、漿膜下筋腫の3つに分類されます。現れる症状は、その大きさよりも、できる場所に影響を受けます(※2)。

子宮筋腫の症状は?痛みや腰痛、出血はある?

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子宮筋腫の半数以上が無症状ですが、筋腫の発生する場所によって症状が異なります(※1)。また、症状の重さは筋腫の大きさと相関しないことが多いとされています。

粘膜下筋腫(ねんまくかきんしゅ)で見られる症状

子宮の内側を覆う「子宮内膜」のすぐ下にできる筋腫で、子宮の内部に向かって大きくなります。そのため、体の外側から触れにくいのが特徴です。

子宮筋腫のなかでは発症頻度は低いですが、筋腫が小さくても症状は重くなりやすいのが特徴です。不正出血や月経時の出血量の増加、月経期間が10日以上続く「過長月経」、ひどい月経痛、貧血、動悸や息切れなどを引き起こします。

不妊や早産の原因となりやすく、手術が必要になるケースも多くあります。また、筋腫が大きくなり腟や子宮頸管の中に押し出される「筋腫分娩」になると、不正出血時の血量が多くなります。

筋層内筋腫(きんそうないきんしゅ)で見られる症状

子宮内膜の外側にある「子宮筋層」という筋肉の層に形成される筋腫です。小さいときはほとんど無症状ですが、筋腫が大きくなるにつれて子宮も大きくなり、変形します。

子宮が強く収縮することで、下腹部痛や腰痛のほか、過多月経、頻尿、便秘などを引き起こすことがあります。

筋層内筋腫も、できた場所や大きさによっては不妊や流産の原因にもなります。子宮筋腫のうち約70%と最も多く見られるタイプの筋腫です。

漿膜下筋腫(しょうまくかきんしゅ)で見られる症状

子宮の外側を覆う「漿膜」のすぐ下にできる筋腫で、子宮の外側に向かって大きくなります。無症状の場合がほとんどなので気づきにくく、粘膜下筋腫・筋層内筋腫と比べると過多月経の症状は少ないのが特徴です。

ただし、筋腫がねじれて「茎捻転」を起こしてしまうと急激な腹痛が起こります。中には1~2kgまで大きくなる筋腫もありますが、自覚しづらいため、見過ごされてしまいがちです。

不安なときには、担当医に診断結果を詳しく聞いておきましょう。

子宮筋腫は予防できる?確率は?

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子宮筋腫の原因がはっきりしていないため、予防法も医学的根拠を示すものはありません。筋腫の大きさや増殖するスピードには個人差があり、米粒大から10kgを超えるものまでと様々で、複数個できる場合もあります。

厚生労働省の平成26年患者調査によると、患者数は約10万人ですが、無症状の人も多く、潜在的な数はわかっていません(※3)。日本産科婦人科学会によると、30歳以上の女性の20~30%に子宮筋腫が認められ、顕微鏡的なものも入れると約75%の人に筋腫があると考えられています(※4)。

悪性に変化することはあまりないため、子宮筋腫が小さかったり症状がほとんどなかったりする場合には、手術など外科的な処置をせずに経過観察することもあります。また、更年期に発見された筋腫の多くは、閉経を迎えて自然に縮小していきます。

しかし、子宮筋腫が急速に大きくなっている場合や、症状が強い場合は、治療をすすめます。

また、ごく稀に子宮筋腫との区別がつきにくい悪性腫瘍の「子宮肉腫」が疑われることもあるため、子宮に腫瘍が見つかった際には、できるだけ早い精密検査と、定期的な診察を受けることが大切です。

子宮筋腫の治療法は?どんなときに手術が必要なの?

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症状がない場合は、筋腫の発育度合いや症状を経過観察して様子を見ます。子宮筋腫が大きく、症状がひどい場合は薬物療法によって症状を軽減したり、筋腫の成長を抑えたりします。

薬物療法によって症状が抑えきれない場合や、妊娠を希望する場合、急速に大きくなっている場合などには、手術が行われることもあります。症状によって手術が必要かどうか異なるため、定期的に診察を受けましょう。

治療1. 薬物療法

女性ホルモンの「エストロゲン」が子宮筋腫の発生・発育に関係していると考えられています。そこで、「GnRHアゴニスト」などの薬剤でエストロゲンの分泌量を抑え、子宮筋腫を小さくする方法が取られることもあります。

ただし、薬物療法で完治はできません。薬剤を長期間投与することで骨密度が低下してしまう、治療を中止すると子宮筋腫が元の大きさに戻ってしまう、といったデメリットがあるため、最近では手術を行う前の待機治療として行われることが多くなっています。

また、筋腫自体の治療というわけではありませんが、漢方薬によってホルモンバランスを整え、根本的な体質改善をめざす方法もあります。

治療2. 子宮全摘術・筋腫核出術

薬物療法でも症状が緩和されなかったときには、子宮そのものを取り除く「子宮全摘術」や、腫瘍のある部分のみを切り取る「筋腫核出術」が検討されます。

特に妊娠を希望する女性にとっては、子宮を摘出するかどうかはとても大きな悩みになります。医師やパートナーと十分話し合った上で決断するようにしましょう。

治療3. その他手術

ほかに、子宮に栄養を供給する血管を薬で閉じて、筋腫への栄養を断つ「子宮動脈塞栓術(UAE)」と、超音波の力で筋腫を小さくする「集束超音波治療(FUS)」などの新しい治療法があります。

ただし、子宮機能を低下させる恐れがあるため、手術の前に医師とよく話し合うことが大切です。

子宮筋腫でも妊娠できる?不妊の原因になるの?

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子宮筋腫ができてしまうと、受精卵が着床するスペースが減ってしまうだけでなく、子宮の内壁が硬くなったり、凸凹に変形したりと受精卵が着床しづらい状態が作り出されてしまい、初期流産を引き起こすリスクが高まります。

また、卵管付近の筋腫は、卵管が精子や受精卵を運ぶ機能を低下させ、卵管自体を閉塞させて受精卵の移動を妨げてしまいます。

明らかな不妊原因になっているときには、子宮筋腫の摘出手術を行うこともあります。

ただし、子宮筋腫があっても100%自然妊娠できないわけではなく、大きさや場所によるため、産婦人科の医師と相談して治療法を選択してください。

子宮筋腫が赤ちゃんや母体に及ぼす影響は?

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子宮筋腫の大きさや場所によっては妊娠・出産に様々な影響が出る恐れもあるため、治療の必要性について医師とよく相談することが必要です。

子宮筋腫が妊娠・出産に与える主な影響は、次のとおりです(※5)。

妊娠中

妊娠中は筋腫の状態が変化することがあります。これを「筋腫の変性」といい、ときに強い痛みを伴うことがあります。原因ははっきりしていませんが、妊娠による子宮の血流の変化が原因の一つと考えられます。子宮に炎症が起きるので、流産や早産のリスクにもなります。

胎盤が子宮筋腫を覆うようについている場合は、胎盤への血流が妨げられてしまうことがあります。これが原因で、流産や早産、常位胎盤早期剥離などにつながるリスクもあります。

また、子宮筋腫が複数個あると、子宮腔が変形してしまい、前期破水や前置胎盤を引き起こす恐れがあります。

分娩時

子宮筋腫の大きさや場所によっては、赤ちゃんが産道を通るときの妨げとなり、帝王切開での出産となる可能性もあります。

また、筋腫によって子宮収縮が妨げられることで微弱陣痛を引き起こしたり、分娩時に出血が多く見られたりすることもあります。

子宮筋腫の出産は?帝王切開になるの?

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先ほどもご説明したとおり、筋腫が、赤ちゃんが産道を通過するときの妨げになる場合には、帝王切開となります。

また、出産後は、「胎盤が出た後の出血が多くなる」「子宮がうまく収縮せず悪露が長く続く」といった影響が母体に出る可能性があるため、産婦人科での対応は必須になります。

子宮筋腫への対応は、自分の体調と向き合いながら

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子宮筋腫は基本的には良性腫瘍なので、見つかったからといって過剰に反応する必要はありません。ただし妊娠への影響や、月経や貧血などの日常生活への影響が出ることもあるため、産婦人科医と相談しながら、自分のライフスタイルに合った付き合い方をしていきましょう。

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