女性が月に一度悩まされる痛みといえば、「生理痛」を思い浮かべる人は多いと思いますが、なかには「排卵痛」がひどくて困っている人もいます。排卵痛はなぜ起こるのでしょうか?また、生理痛とはどう違うのでしょうか?今回は排卵痛の原因や症状、期間、痛みをやわらげる方法をご説明します。
排卵痛とは?期間は?
排卵痛とは、排卵日やその前後数日間(排卵期)に、卵巣付近に感じるチクチクとした痛みを指します。
排卵痛の症状や程度には個人差があり、痛みをまったく感じない人もいれば、治療が必要なほどの痛みに襲われる人もいます。
排卵が起こるのは「次回生理開始予定日の約14日前」なので、生理が27日周期で起こる人であれば、前回の生理が始まってから13日前後で排卵痛が現れることがあります。
排卵痛は生理痛とは違うの?
排卵痛と生理痛を同じものだと考えている人もいるかもしれませんが、まったく別物です。
生理痛
生理痛は、剥がれ落ちた子宮内膜を体外に押し出すために起こる、子宮収縮による痛みで、生理(月経)の期間に現れます。
この痛みは、子宮収縮を促す「プロスタグランジン」というホルモンの分泌量が増えることが原因です(※1)。
プロスタグランジンの合成は、女性ホルモンのひとつ「プロゲステロン」によって調節されているため、ストレスなどでホルモンバランスが崩れると痛みがひどくなることもあります。
排卵痛
排卵痛は、先述のとおり排卵期に現れるものなので、生理痛の時期と重なることはありません。
生理が終わってから1〜2週間ほどした頃にお腹の痛みがあったら、排卵痛の可能性があります。
排卵痛の原因は?
排卵痛を引き起こす原因としては、排卵に伴う次のような体の変化が関係していると考えられます。
卵巣の腫れ
卵子が入っている卵胞は卵巣のなかで大きく発育していき、成熟卵胞になったものが排卵に至ります。
卵胞が成熟するにつれて、卵巣は少し腫れたような状態になります。人によってはその腫れが原因で下腹部にチクチクとした痛みを感じることがあります。
排卵が終わると卵巣の腫れは引いていくので、痛みも次第に治まります。
排卵時の痛み
卵胞が成熟したあと、卵子が卵巣の表面を突き破って飛び出すときに痛みを感じることがあります。
排卵するときの卵胞の大きさ約2cmと小さなものではありますが、人によっては卵巣を突破するときの痛みを感じ取ります(※1)。
排卵後の出血による痛み
排卵時に卵巣内に小さな傷がついたり、ホルモンバランスの変化により子宮内膜が少し剥がれたりすることで、「排卵出血」が起こることがあります(※2)。
体に悪影響をおよぼすものではありませんが、お腹のあたりに引きつるような軽い痛みを伴うことがあります。
排卵痛の症状は?腹痛を感じる場所は?
排卵痛の痛みは、個人差があります。生理痛のように下腹部全体がズーンと重くなる痛みを感じることもあれば、チクチク・ピリピリという軽い痛みが現れることもあります。
左右どちらの卵巣で排卵が起こるのか次第で、痛みが現れる場所も変化します。まれに腰痛や頭痛といった症状が出ることもあります。
また、排卵痛にともなって排卵出血が起こると、おりものに少量の血が混じることがあります。粘り気のあるおりものに血が混ざるのでピンク色に見えることがあります。排卵出血は長くても2〜3日で治まります。
排卵日付近には、排卵痛や排卵出血のほかにも様々な症状が起きます。詳しくは関連記事を参考にしてください。
排卵痛でお腹が痛いときの対処法は?
排卵痛は生理的な現象で、痛みも軽くて期間も短いので、基本的には特別な対処は必要ありません。
しかし、人によっては生理痛と変わらないほどの痛みに悩まされ、日常生活がままならなくなることも。症状がつらいときは、我慢せずに婦人科を受診してください。
女性ホルモンのバランスを整えるために、病院で低用量ピルを処方してもらうと、痛みが緩和されることもあります。一人で悩まず、医師に治療法を相談しましょう。
卵巣あたりの痛みが3日以上続くときや、吐き気などの症状を伴うときは、卵巣出血や卵巣炎など婦人科系の病気が隠れている可能性もあるので、できるだけ早く原因を見つけ、対処することが大切ですよ。
排卵痛に備えるために体のリズムを知ろう
お腹に痛みを感じた場合、その痛みが排卵痛なのか生理痛なのか知るために、普段から自分の生理周期を把握しておきましょう。「排卵期にいつもお腹が痛くなる」など、体調をあらかじめわかっておけば、仕事などのスケジュール調整がしやすくなるかもしれません。
妊活中の人は、ぜひ日頃から基礎体温を測り、グラフに記録してみてください。基礎体温を測ることでおおよその排卵日を予測できるだけでなく、体のリズムがつかめると健康管理にも役立ちますよ。