予定日に生理がこなくて妊娠に気がつくというケースはよくあります。妊娠を望んでいる人にとっては、生理がくるかどうかが「妊娠」を判断する基準の一つ。しかし、「生理がきたのに妊娠していた」という話を聞いたことがあるかもしれません。これはどういうことなのでしょうか?今回は、生理がきても妊娠している可能性があるのか、その場合の出血の仕組みや原因、症状などを説明します。
そもそも生理とは?出血する仕組みは?
一般的に「生理」とは、「生理的出血」を意味しており、定期的に起こる正常な出血です。医学的には「月経」といいます。
女性の体内では、一定の周期で排卵が起き、受精卵を迎えるために子宮内膜が厚くなります。しかし受精がなかったり、受精しても子宮内膜に着床しなかったりと妊娠が成立しなければ、厚くなった子宮内膜は子宮の外に排出します。この子宮内膜が剥がれて血となって排出される現象が生理です。
生理がきても妊娠している可能性は?
生理がきていれば、子宮内膜が剥がれ落ちたことを意味するので、妊娠している可能性はありません。そのため、「生理がきたのに妊娠した」というケースは、生理と思った出血が実は生理ではなかったということです。
生理以外で子宮などから出血が起こることを「不正出血」と呼び、それほど珍しくありません。妊娠はしているものの、生理予定日のタイミングで偶然に不正出血が起こる可能性は十分に考えられます。妊娠による不正出血は、出血量が生理のときより少ないのが一般的です。
妊娠初期に起こる不正出血の原因と症状は?生理との違いは?
妊娠初期に不正出血が起こる原因にはどんなものが考えられるのでしょうか?その原因は様々ですが、多くの妊婦さんが妊娠初期に不正出血を経験するといわれます。
過度に心配する必要はありませんが、なかには流産につながる危険な出血もあるので注意が必要です。
着床出血
受精卵が子宮内膜に着床したときに起こる出血です。着床出血が起きる時期は、生理開始予定日の1週間~数日前くらいが一般的です。個人差はありますが、生理と比べると量は少なく、2~3日程度で止まります。
子宮腟部びらん
女性ホルモンの影響で子宮腟部がふくらみ、ただれているように見える状態になっているため、ちょっとした刺激で出血することがあります。
珍しい症状ではなく、子宮腟部びらんによる不正出血があっても妊娠に悪影響を与えるものではありません。
胞状奇胎
卵子と精子が受精する際に異常があった結果、異常な受精卵ができて妊娠がはじまってしまったものを「胞状奇胎」と言います。40歳以上の妊娠や、過去に胞状奇胎を患った人に起こりやすく、しばしば不正出血を伴います。
正常な受精卵ではないので、妊娠を継続することはできず、医療機関で早めに処置を行う必要があります。放置すると癌化する可能性があります。
子宮外妊娠
子宮外妊娠とは、受精卵が子宮内膜以外の卵管などに着床することです。妊娠を継続することはできず、放置すると激しい腹痛を伴い、大量出血の危険性があります。きちんと病院で処置を受けることが必要です。
絨毛膜下血腫
受精卵が子宮内膜に着床して根を伸ばすときに、絨毛膜と子宮内膜の間に血がたまって塊になります。血の塊が大きくなければ自然に吸収されるので問題ありませんが、大きい場合には流産の可能性もあります。
生理がきても妊娠していたときの症状は?基礎体温は高温期のまま?
生理予定日に生理のような出血が見られたとき、その症状だけで生理なのか妊娠初期の出血なのかを見分けるのは難しいものです。いつもの生理よりも明らかに出血が少なければわかるかもしれませんが、「今回の生理は軽かった」と思い込んでしまうことも考えられます。
そこで、普段から基礎体温を記録しておくと、生理のような出血が見られたときに妊娠の可能性があるかを判断できます。一般的に生理が来ると、基礎体温はガクンと下がって低温期に入ります。しかし、妊娠している場合は高温期が維持されるので、基礎体温の変化を見れば、不正出血か生理かをみわけられるというわけです。
生理がきたと思っても、妊娠検査薬で確認
妊娠を希望している人や、正しい避妊をせずに性行為を行っている人は、妊娠の可能性が十分にあります。たとえ生理かなと思う出血があっても、妊娠の可能性が考えられる場合には自己判断はしないでください。生理だと思って薬を服用したら、実は妊娠していたということもありえます。
「出血=生理」というわけではありません。いつもより期間が短いなどの違和感があるときや、基礎体温に変化が見られないときには、生理予定日から1週間後に妊娠検査薬で調べてみることをおすすめします。
その際、陽性反応があれば妊娠しているので、早めに婦人科を受診しましょう。また、妊娠初期の不正出血だった場合は、その原因によっては流産の危険性もあります。できるだけ早めの行動を心がけてくださいね。