羊水過多症とは?羊水が多いとダウン症や障害の可能性があるの?

監修医師 産婦人科医 浅川 恭行
浅川 恭行 1993年東邦大学医学部卒業。2001年同大学院医学研究科卒業後、東邦大学医学部助手、東邦大学医療センター大橋病院講師を経て、2010年より医療法人晧慈会浅川産婦人科へ。東邦大学医療センター大橋病院客... 監修記事一覧へ

妊娠中、お腹の赤ちゃんは子宮内を満たす「羊水」に守られています。赤ちゃんの成長に伴って羊水は増えていきますが、過剰に増えると妊婦さん自身や赤ちゃんに悪影響をおよぼすことがあります。これを「羊水過多症」といい、適切な処置が必要になります。今回は羊水過多症の原因や症状、治療法、ダウン症や障害との関係についてご説明します。

羊水過多症とは?

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日本産科婦人科学会の定義では、妊娠の時期を問わず、羊水量が800mlを超えると「羊水過多」といい、これに伴い、子宮が急激に大きくなったり、体重が急激に増えたりするなどの自覚症状が現れた場合に「羊水過多症」と診断されます(※1)。

羊水は、妊娠週数が進むにつれて増えていき、妊娠30週前後にピーク(約800ml)を迎えます。その後は少しずつ量が減っていき、分娩前には500mlほどになるのが正常です。そのため、羊水量が800mlを超えた場合は、何らかの異常があると考えられます(※2)。

羊水が多い原因は?

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妊娠中期を過ぎると、羊水の成分のほとんどは赤ちゃんの尿です。通常は、赤ちゃんが排出する量と飲みこんで吸収する量のバランスが保たれていて、羊水が過剰に増えることはありません。

しかし、以下のような原因でバランスが崩れると、羊水過多を引き起こす場合があります(※2,3)。

羊水の産生量が増える

  • 糖尿病・妊娠糖尿病のため、赤ちゃんの尿量が増える
  • 双子のうち、血液を多く受ける方の赤ちゃん(受血児)の尿量が増える
  • 無脳症や水頭症、二分脊椎などで赤ちゃんの脳脊髄液が漏れ出す

羊水の吸収量が減る

  • 消化器官の障害で、赤ちゃんが羊水をうまく飲み込めない
  • 無脳症や水頭症、二分脊椎などが原因で羊水を飲み込めない

ただし、羊水過多の約70%は原因が特定できず、根本的な治療が難しいケースもあります(※2,3)。

羊水過多症の症状は?

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羊水過多になると子宮が大きくなるので、胃が圧迫されてお腹の張りを感じます。重症化すると、動悸や息切れ、吐き気や嘔吐、足のむくみなどが起きやすくなります。

妊娠後期から少しずつ自覚症状が現れる「慢性羊水過多症」であれば、自覚症状が比較的少なく、予後が良好です。しかし、数日~2週間ほどで急激に羊水が増える「急性羊水過多症」の場合、呼吸困難などの症状が強く現れます(※3)。

また、子宮下部が過剰に引き伸ばされることで、切迫早産や微弱陣痛などのリスクが高まったり、分娩時間が長くなったりする恐れがあります。子宮口に近い部分の、羊水が入った卵膜(胎胞)が薄くなることで、本陣痛が始まる前に破水する「前期破水」を起こす可能性もあります(※2)。

羊水過多症の診断方法は?

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羊水量を直接測ることはできませんが、妊婦健診の超音波(エコー)検査で推定することができます。

目安として、子宮内を4分割したときの羊水の深さを足し合わせる「羊水インデックス(AFI)」が24cm以上か、羊水腔が最も広い断面で、胎児とへその緒以外のスペースで描ける最大の円の直径である「羊水ポケット」が8cm以上である場合、「羊水過多」と診断されます(※2,3)。

羊水過多症の治療法は?

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羊水過多症の治療法は、原因や症状によって異なりますが、入院して安静に過ごすのが基本です。また、分娩時・分娩後にも適切な処置をすることが必要です(※2,3)。

妊娠中の対応

まず、原因が糖尿病・妊娠糖尿病である場合、減塩食や利尿薬により治療を行います。しかし、それ以外のケースであれば、治療というよりも、前期破水や切迫早産を防ぐための処置が必要になります(※2)。

たとえば、安静にしながら必要に応じて子宮収縮抑制薬を投与したり、呼吸困難などの症状が強い場合はお腹に直接針を刺して羊水を吸引したりすることもあります(※2,3)。

分娩時・分娩後の対応

症状が軽く、お腹の赤ちゃんが十分に成熟している場合には、自然に陣痛が来るのを待ち、分娩に臨めるケースもあります。ただし、破水時には、臍帯脱出や胎盤早期剥離などが起こらないように注意が必要です。

また、陣痛が弱い場合は陣痛促進剤を使ったり、まれですが、卵膜を注射針で刺して少しずつ羊水が流れ出るように処置を行ったりすることもあります(※3)。

子宮壁が伸びていることで、産後にうまく子宮が収縮せず、弛緩出血になることが多いため、子宮収縮剤を早めに使うことも検討されます(※3)。

羊水が多いとダウン症や障害の可能性もある?

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羊水過多症になると、胎児にどのような影響があるのでしょうか?

逆子になりやすい

赤ちゃんは羊水の中に浮いているので、羊水が増えすぎると胎位異常が起こり、逆子になりやすいのが特徴です。

早産・未熟児

羊水過多症だと、早産で生まれる確率が約25~40%と高く、未熟児で生まれる可能性もあります(※3)。

先天異常

羊水過多症で生まれてくる赤ちゃんの約20~40%が先天異常を持っており、その予後はあまり良くありません(※3)。

羊水過多の原因が十二指腸閉鎖などの消化器疾患である場合、ダウン症などの先天異常によってそれらの症状が引き起こされている可能性もあります(※4)。

ただし、羊水過多は原因不明のことが多いので、医師から「通常よりも羊水が多い」と指摘されただけで、過度に心配しないようにしましょう。

羊水過多症と診断されても慌てずに

妊娠中は、ちょっとした体の変化にも敏感になりますよね。羊水が多いと診断されたら、気になってしまうのは仕方のないことです。

羊水過多症の原因がわかれば早期に治療を開始し、原因が特定できなくても妊娠中・分娩時・分娩後にしっかりと管理を行うことで、ママと赤ちゃんの健康を守れる可能性があります。もし、お腹の張りや呼吸困難、足のむくみなどの症状があれば、我慢せずかかりつけの産婦人科に相談しましょう。

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