赤ちゃんのなかには、先天的な違いを持って生まれてくる子がいます。ダウン症はそのひとつ。ダウン症の子供たちは、ダウン症ではない子供たちとは異なるいくつかの特徴を持っています。それはどんな特徴で、いつ頃から現れるのでしょうか?今回はダウン症の赤ちゃんについて、どんな特徴があるのか、いつわかるのか、どのようにケアしていけばいいのかなどをご紹介します。
そもそもダウン症とは?
ダウン症は、正式には「ダウン症候群」といいます。遺伝に関わる染色体の異常によって起こるもので、細胞内に46本あるはずの染色体が、1本多い47本あるのが特徴です。
2対で23組あるうちの21組目の染色体が1本多くなっていることから「21トリソミー」とも呼ばれます。
全出生においてダウン症の赤ちゃんが生まれる割合は、約800人に1人です。ただし、ダウン症の赤ちゃんが生まれる確率は母親の出産年齢によって異なり、出産年齢が20歳の場合は1/1667、30歳は1/952、40歳は1/106と、加齢とともに確率が高くなります(※1)。
ダウン症の赤ちゃんの特徴は?
ダウン症の赤ちゃんには、一般的に以下のような特徴があります(※1,2)。
顔の特徴
・目尻がつり上がっている
・目と目の間隔が開いている
・耳が変形している
・耳が小さい
・鼻が低い
・後頭部が平ら
・丸顔で起伏のない顔立ち
・唇が小さい
・頭が小さい
体の特徴
・手の小指が短い
・手のひらに線が1本しかない
・出生時の体重、身長が標準より小さい
・体がやわらかい
発達の特徴
・首がすわる時期がやや遅い(生後5~6ヶ月)
・寝返りができる時期がやや遅い(生後7~8ヶ月)
・お座りができる時期が遅い(生後11~13ヶ月)
・つかまり立ちができる時期が遅い(生後15ヶ月)
・一人歩きができる時期が遅い(生後24ヶ月)
・言葉をしゃべるのが遅い(1語:生後34ヶ月、2語:生後68ヶ月)
生活面の特徴
・哺乳がしづらい
・便秘がち
・視覚、聴覚的な刺激に対する反応が薄い
また赤ちゃんから幼児に成長するにつれて、「低身長で肥満気味」「言語発達の遅れ」などの特徴が顕著になっていきます。
赤ちゃんのダウン症はいつわかる?新生児にも特徴が現れるの?
「この時期になったら、ダウン症かどうかが分かる」というような明確な基準はありません。しかし、出産直後でも産婦人科医に見てもらえば、身体的特徴から赤ちゃんがダウン症かの見当をつけられることがあります。
赤ちゃんにダウン症の特徴が見られるときは、一般的には血液で染色体検査を行って、確定診断を行います。
また、最近では出生前診断の技術が発達し、採血だけで胎児がダウン症かどうかを高確率で推定するなど、染色体異常の可能性を見つけることができるようになっており、出生前にダウン症の検査をする人もいます。
ダウン症の赤ちゃんのケア方法は?
ダウン症の新生児の約50%に、先天性の心臓疾患が見られます。また、先天性の腸閉鎖を起こしていることも多く、赤ちゃんに先天的な異常が起きているときは、その治療にあたります(※1)。
先天性の心疾患がある場合、手術が必要なことも多いのですが、治療成績は上がっており、合併症の治療効果も上がっているため、平均寿命も延びています(※2)。
また、ダウン症児は免疫力が弱く病気にかかりやすいので、親身に対応してくれるかかりつけのクリニックと入院の対応ができる総合病院の2つを近所で見つけておくことをおすすめします。
病気の予防のためにも、日頃から外気浴などを行い、皮膚や粘膜を強くしておきましょう。予防接種は、積極的に受けた方がいいとされています(※1)。
ダウン症児は運動面や知能面の発達が遅れることが多いため、教育機関と相談しながら、リハビリテーションなどの特殊教育を早くから始めることが大切です。
周りの子供と比べて成長が遅く、落ち込むこともあるかもしれませんが、それも個性と捉えて子供の成長を支えていきましょう。
ダウン症の赤ちゃんは周りのサポートも活用して育てよう
ダウン症の赤ちゃんを育てていくには、大病にかからないように注意したり、特殊な教育環境を整えたりと、多くのことに気を遣わなけれいけません。ときには、負担を感じて気が滅入ってしまうこともあるかもしれませんね。
そんなときは、ぜひ周りの力に頼ってください。同じようにダウン症児を持つ家族の会や、ダウン症の人たちを支援する組織など、ダウン症児の成長をサポートしたいと願っている人たちはたくさんいます。
頼れる力はどんどん頼りながら、赤ちゃんの笑顔を支えていきたいですね。