近年、35歳を過ぎてからの高齢出産が増加しているなかで、ダウン症の赤ちゃんが生まれる可能性を気にする夫婦もいます。希望者は出生前診断で、お腹の赤ちゃんがダウン症かどうかを高い精度で調べることができるのですが、一体どのような検査を行って調べるのでしょうか?今回は妊娠中に胎児がダウン症であるかを調べる検査方法や費用、検査できる時期などについてご紹介します。
ダウン症とは?

ダウン症とは、正式には「ダウン症候群」と呼ばれ、染色体異常による生まれつきの疾患です。ヒトの細胞内には遺伝にかかわる染色体が46本あるのですが、それが1本多い47本で生まれてくるのがダウン症児です。
21番目の染色体が2本ではなく3本になっていることから、ダウン症は「21トリソミー」と呼ばれることもあります。ダウン症児の特徴としては、精神発達や身体発達の遅れがほとんどの場合で見られます。また、丸顔で起伏のない顔立ちなどが挙げられます。
全出生においてダウン症児が生まれる確率は、約600〜700分の1です。しかし、ダウン症児が生まれる確率は妊婦さんの年齢によって変わり、妊婦さんの年齢が20歳未満の場合の確率は約1,400分の1で、妊婦さんが40歳だと確率は約80分の1になります(※1)。
それでは、一体どのような検査方法で、妊娠中に胎児がダウン症かどうかを調べるのでしょうか。以降で検査方法ごとに受けられる時期や費用を説明していきます。
ダウン症の検査方法1. エコー検査

妊娠11~14週頃にエコー検査で、胎児のうなじのあたりに通常の胎児よりも厚い皮膚の浮き上がりが見られたら、ダウン症が疑われます(※2)。ただし、あくまで疑いがあるだけであって、エコー検査だけで確定診断には至りません。
エコー検査は妊婦健診で行われる検査の一つなので、一般的に特別な費用は必要なく、妊婦健診の費用のなかで行われます。
ダウン症の検査方法2. 母体血清マーカーテスト

母体血清マーカーテストは、妊婦さんの血液を少量採取し、血液中の成分の濃度を調べることで、胎児に染色体異常があるかどうかを判断する検査です。血液を採取するだけなのでリスクは少なく、早ければ妊娠11週頃から受けられます(※1)。
費用は1~2万円と他の検査よりも比較的手頃なことが多く、まず母体血清マーカーテストを受けてみて、ダウン症児の可能性が高い場合に、羊水検査や絨毛検査などの精密検査を受ける人も少なくありません。
ダウン症の検査方法3. 羊水検査

羊水検査は、お腹に注射器を刺して子宮から羊水を採取し、その中にある胎児の細胞から染色体異常があるかを調べる検査です。
羊水検査のダウン症に対する感度は99%以上であるとされており、ダウン症児の確定診断に用いられることがあります(※1)。ただし、注射器をお腹に刺す羊水検査にはリスクが伴い、稀ではありますが、流産に至ることがあります。
妊娠15~17週頃に受けることができます(※3)。費用は各病院で異なりますが、12~15万円程度かかるのが一般的なようです。
ダウン症の検査方法4. 絨毛検査

絨毛検査は、お腹に検査用の針を刺す、もしくは子宮頸部にカテーテルを挿入して、絨毛(胎盤から子宮壁に伸びる突起)を採取する検査です。採取した胎児の細胞を培養して、染色体異常の有無を調べます。
羊水検査と同様、精度はかなり高く、ダウン症児の確定診断に使うことができます(※1)。絨毛検査が受けられる時期は、一般的には妊娠10~14週頃からです(※4)。費用は10~20万円程度かかることがあるようです。
また、絨毛検査は、稀に流産を起こすリスクがあります。
ダウン症の検査方法5. 新型出生前診断(NIPT)

新型出生前診断とは、2011年にアメリカで始まった新しい検査方法です。妊婦さんの血液を採取し遺伝子情報を解析することで、胎児の染色体異常について調べることができます。血液を採取するだけの血液検査なので、リスクが低いというメリットがあります。
母体血清マーカーテストより精度は高いのですが、確定診断を下すことはできません。妊娠10週以降に受けられます(※1)。検査にかかる費用の目安は20万円程度です。
ダウン症の検査を受ける前に費用以外も夫婦でしっかり話し合おう
ダウン症についての考え方は人それぞれ違います。したがって、ダウン症の検査を受けるかどうか検討するときには、夫婦で「もし確定診断で陽性反応が出たら、どうするのか?」「そもそもなぜダウン症の検査を受けるのか?」など、費用以外についても話し合い、意見をすり合わせておくことが大切です。
ダウン症の検査には流産のリスクが伴うこともあるので、気になることは医師にも相談し、夫婦でしっかり話し合ってください。