羊水過少症とは?羊水が少ない原因は?対策はあるの?

監修医師 産婦人科医 間瀬 徳光
間瀬 徳光 2005年 山梨医科大学(現 山梨大学)医学部卒。沖縄県立中部病院 総合周産期母子医療センターを経て、板橋中央総合病院に勤務。産婦人科専門医、周産期専門医として、一般的な産婦人科診療から、救急診療、分... 監修記事一覧へ

妊娠中、ママのお腹のなかで赤ちゃんを優しく包んでくれている「羊水」。妊娠週数の変化に合わせて増減していますが、何らかの理由でこの羊水が極端に少なくなると、「羊水過少症」と診断されることがあります。羊水が少なくなる原因は何なのでしょうか?また、羊水が少なくなると赤ちゃんへの影響はあるのか、対策はあるのかなども気になりますよね。今回は羊水過少症について詳しくご説明します。

羊水過少症とは?

なぜ why 原因

羊水は、お腹のなかの赤ちゃんの生命を維持するために欠かせないものです。通常、羊水の量は、妊娠10週で約30ml、20週で約350mlと妊娠週数を重ねるとともに増え、30週前後頃には約700~800mlに達します。そこから分娩に向けて、徐々に減少してきます(※1)。

この羊水量が異常に少ない状態を、「羊水過少症」といいます。診断基準については後述しますが、具体的な羊水の量は定義されていません。妊娠週数に比べて子宮やお腹が小さいときにも診断されます。

診断基準などによって異なることもありますが、おおむね1~2%の割合で発症するとされています(※1)。

羊水が少ない原因は?

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羊水が少なくなる原因は、羊水のなかに排出される赤ちゃんのおしっこ(胎児尿)の量が減るか、何かしらの原因で羊水の喪失量が多くなるかのどちらかであることがほとんどです。

赤ちゃんのおしっこが減る原因は、妊娠高血圧症候群、膠原病、血栓症など、ママの病気によるものや、胎児の腎臓の病気などが考えられます。また、非ステロイド系の消炎鎮痛薬の投与によっても胎児尿が減ることが分かっています。

喪失量が増える原因は、ほとんどが前期破水です。赤ちゃんを包んでいる羊膜が破れて、なかの羊水が流れ出すことで、羊水が少なくなってしまいます。前期破水は、羊水過少症の原因の約半数を占めます(※2)。

羊水過少症に自覚症状はある?診断方法は?

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羊水過少症は、自覚症状がないことが多いようです。

ただ、羊水過少症になると、妊娠週数のわりにあまりお腹が大きくならなかったり、体重が増えなかったりすることがあります。他に、胎動が弱い、お腹を触ったときに赤ちゃんの手足の形が妙にわかりやすいといった症状が現れることもあります(※1)。

また、破水をして羊水過少症になってしまった場合は、水っぽいおりものが出ることもあります。

自覚症状があってもなくても、自分で羊水量を確認することはできないので、毎回の妊婦健診のときに医師にチェックしてもらいます。

羊水量を調べるには、子宮腔内を4分割したときの長さを足し合わせる「羊水インデックス(AFI)」と、子宮腔内の赤ちゃんと子宮内壁の間で一番距離が長い場所の「羊水ポケット」を測るという2つの方法があります。どちらも超音波検査などで調べることができます。

一般的に、検査の結果、AFIが5cm未満、または羊水ポケットは2cm未満だった場合に、羊水過少症と診断されます(※1)。

羊水過少症だと赤ちゃんやお産に影響はあるの?

リスク

妊娠中の羊水は、赤ちゃんの発育を促し、外からの衝撃から守るなど、とても重要な役割を果たしています。そのため羊水が少ないと、お腹の赤ちゃんに下記のような悪影響をもたらすことがあります。

胎児機能不全

羊水に守られていないと、へその緒が圧迫されて血行が悪くなり、赤ちゃんに十分な栄養や酸素が行き渡らなくなります。その結果、胎児機能不全を引き起こすことがあります。

赤ちゃんの発育の阻害

羊水が少なくなると、外の世界で生きるために欠かせない肺の成長が滞ることがあります。また、子宮壁に圧迫されることで手足が変形したり、関節に障害が残ったりする可能性があります。

羊膜との癒着

羊水が極端に少なくなると、羊膜と胎児がくっついてしまうことがあります。ひどくなると癒着が起きて、成長に悪影響をもたらします。

上記のような赤ちゃんへの影響の他に、分娩時に微弱陣痛になりやすい、常位胎盤早期剥離を起こしやすいというリスクもあります。

羊水が少ないときの治療法はある?

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羊水過少症には、根本的な治療法がありません。原因や症状によって入院が必要かどうかなどは異なりますが、母体と胎児の様子を慎重にみていくことが基本的な方針です。

前期破水が起きているかによって、下記のような対処が行われることがあります。

前期破水が起きている場合

前期破水が起きている場合は、週数によって対処法が異なります(※1)。

妊娠34週未満の場合は、抗菌薬の投与などを行って様子を見ます。これ以上羊水が減らないように穏やかに過ごしながら、赤ちゃんが十分に成長できるのを待ちます。

妊娠34~36週では、赤ちゃんの肺の成熟度を見て治療法を決定します。赤ちゃんの肺が成熟し、外の世界で呼吸ができるようになったらお産になります。

妊娠37週以降で前期破水が起きているときは、そのままお産になることが多くあります。

前期破水が起きていない場合

前期破水が起きていない場合は、基本的にお産を先に伸ばし、赤ちゃんが成熟するのを待ちます。薬の服用が原因の場合は、その薬の投与を止めることで対処します。

また、赤ちゃんの腎臓に異常がある場合は、生まれてから外の世界で生きていけない可能性があります。妊婦さん、医師、家族などでよく話し合い、方針を決めましょう。

羊水過少症は予防できる?

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羊水が少なくならないようにするためには、羊水の生産を妨げるような行動を控えることが大切です。

たとえば、喫煙すると前期破水のリスクが高まるとされています。ママ本人の禁煙はもちろんのこと、家族にも禁煙を徹底してもらい、副流煙を吸わないように心がけましょう。

妊娠高血圧症候群によっても羊水過少症が起きることがわかっているので、妊娠中に体重が増えすぎないようにすることも大切です。普段から栄養バランスに気をつけた食事を心がけ、適度な運動を行うようにしましょう。

羊水が少ないと診断されても焦らないで

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妊婦健診で「羊水が少ない」と診断されたら、不安になるかと思います。しかし、羊水量は個人差があるもので、羊水の量が少なめであっても、元気な赤ちゃんが生まれてきたケースはたくさんあります。医師の指示をよく守って、ゆったりとした気持ちで日々を過ごせるといいですね。

また、羊水が少なめだと診断されたら、外部からの衝撃が赤ちゃんに伝わりすぎないように工夫することも大切です。お腹を締めつける衣服や下着は避け、お腹へ衝撃が加わる動作をとらないようにしてあげてくださいね。

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