無脳症とは?原因や確率は?エコー写真でわかるのはいつ?

監修医師 産婦人科医 間瀬 徳光
間瀬 徳光 2005年 山梨医科大学(現 山梨大学)医学部卒。沖縄県立中部病院 総合周産期母子医療センターを経て、板橋中央総合病院に勤務。産婦人科専門医、周産期専門医として、一般的な産婦人科診療から、救急診療、分... 監修記事一覧へ

妊娠中にはどうすることもできないトラブルが起こることがあります。「無脳症」もそのひとつ。無脳症を発症した赤ちゃんは、ママのお腹のなかで亡くなってしまうことが多く、生まれてこられたときも、生後数日で亡くなってしまう場合がほとんどです。今回は、無脳症について、発症する原因や確率、エコー検査で判明する時期などをご説明します。

無脳症とは?発症する確率は?

本

「無脳症」は、頭蓋骨の上部と脳が欠けてしまう先天的な胎児神経管閉鎖障害で、赤ちゃんの元となる細胞の発達段階で起こります。妊娠初期は、露出した脳組織が残っているため、「無頭蓋症」と呼ばれます(※1)。

脳や脊髄を作る元になる「神経管」と呼ばれる管状の細胞の一部が塞がって脳が正しく作られず、成長しても脳の大部分が欠けた状態になります。脳以外の臓器には異常がないことが多いので、胎児はママのお腹の中で成長を続けます。

ただし、無脳症の赤ちゃんは生まれたあとの生存が難しく、妊娠中にママのお腹の中で亡くなってしまうか、生後1週間以内に死亡するケースがほとんどです(※2)。

無脳症の発症頻度については、近年の統計データがありませんが、同じく胎児神経管閉鎖障害の一つである「二分脊椎」は1万人に約5人の割合で見られます(※3,4)。無脳症は、胎児に起こる中枢神経系の異常の中で最も頻度が多いので、それ以上の発症率だと考えられます(※2)。

無脳症が起こる原因は?

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無脳症が起こる原因は明らかになっていませんが、主に次の3つが関係していると考えられています。

葉酸摂取量の不足

葉酸は、細胞を増殖させるのに必要なDNAの合成を促す栄養素です。近年の研究で、妊娠初期に葉酸の摂取量が不足していると、胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクが高まることが指摘されています(※4)。

妊娠中の環境

妊婦さんに糖尿病や肥満が見られる、てんかん薬を内服している、妊娠前期に高熱発作を起こした、大量の放射線を浴びた、ビタミンAを過剰摂取した、といった妊娠中の環境によって、胎児の神経管閉鎖障害リスクが高まることがあります(※5)。

遺伝

先天性の奇形なので、外的要因がなくても遺伝的な要因で発症する場合があります。

たとえば、二分脊椎のうち20~30%の症例は遺伝子異常が関係しています(※5)。

無脳症はエコー検査でいつ診断できるの?

カレンダー 日付 期間

無脳症は妊娠6週までに形成される奇形で、妊婦健診の超音波検査(エコー検査)で診断されます(※6)。

妊娠11~14週頃になると赤ちゃんの頭の形がわかるようになるので、この時期に「頭部がモヤモヤとしか映らない」「頭部の丸みが見られない」などの異常があると、無脳症が疑われます(※2)。

ただし、この時期のエコー検査だけで無脳症かどうかを確定できない場合もあり、妊娠20~25週頃まで成長してから再検査というケースもあります。病院によっては、大学病院などで詳しい検査を受けるよう医師から勧められることもあります。

無脳症は治療できるの?

胎児 写真 エコー 医師 病院

残念ながら、今のところ無脳症には有効な治療法がありません。

また、妊娠を継続すれば、無脳症の状態で分娩を行うことは可能です。しかし、無脳症は予後が悪く、ママのお腹から出たあと長く生きることができないのが現実です。

そのため、無脳症と診断されると、妊娠の継続についても悩むことがあると思います。医師やパートナーとともに、今後についてよく話し合ってみてください。

無脳症は葉酸を摂取すれば予防できる?

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先述のとおり、無脳症の原因には様々なものがあり、遺伝的要因もあるため、完全に予防することは難しい病気です。しかし、葉酸を適切な時期に摂取することで、胎児の神経管弊閉鎖障害の発症リスクを下げられることがわかっています(※4)。

厚生労働省は、妊娠初期だけでなく、妊娠の希望や可能性がある女性に対しても、通常の食事からの葉酸摂取に加えて、サプリメントから1日400μg(=0.4mg)の葉酸を摂ることを推奨しています(※4)。

胎児の中枢神経系が形成され始めるのは妊娠5週頃からなので、それより前の時期に十分な葉酸量を摂取しておくことが大切です。ほとんどの人の場合、妊娠が判明するのが妊娠4週以降なので、そこから慌てて葉酸を摂るのでは遅いかもしれません。できれば、妊娠を考え始めた時点から適量を摂取しましょう。

また、アルコールは葉酸の吸収を妨げてしまいます。特に妊娠初期は赤ちゃんにとって大切な時期なので、飲酒を控えるようにしてください。

無脳症と診断されたときは

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妊娠初期を過ぎると、お腹の中の赤ちゃんが無脳症と診断されることは誰にでもありえます。葉酸の摂取不足や生活環境の影響なども関係している可能性はありますが、本当の原因は誰にもわかりません。ママやパパが責任を重く感じすぎないようにしてください。

無脳症の赤ちゃんは長く生きることが難しく、つらい思いをするかもしれませんが、短い時間であっても自分たちのところに来てくれた赤ちゃんとどのように向き合っていくか、パートナーはもちろん、医師や助産師などともよく相談していきましょう。

きっと赤ちゃんにも、ママやパパがたくさん考えたことは伝わっているはずです。

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