妊娠12週は、妊娠4ヶ月の最初の週です。安定期はもう少し先ですが、ママの体と赤ちゃんの状態が安定し始める時期といわれています。これまでつわりに悩まされていた人も、体調の良い日が少しずつ増えてきますよ。今回は妊娠12週の妊婦さんと赤ちゃんの状態、お腹の大きさやつわりの変化など、エコー写真からわかることもあわせてご紹介します。
妊娠12週の赤ちゃんの大きさは?エコーで何がわかる?

妊娠12週からは、胎児の頭蓋骨の外側から反対側の頭蓋骨の内側までの距離である「児頭大横径」や、太腿の骨の長さである「大腿骨長」が計測できるようになります(※1)。
また、赤ちゃんはすでにママのお腹のなかでおしっこをし始めていますが、妊娠12週以降はエコー検査でその様子がわかるようになります。運がよければ、妊婦健診のときにおしっこをする様子が見えるかもしれません。この頃から、赤ちゃんが口をあけてあくびをしているような様子を確認できることもあります。
妊婦健診のたびに様々な数値や動きが見られるようになり、赤ちゃんの成長がますます実感できるようになります。撮影したエコー写真は、アルバムに保管しておくと見返したいときに便利ですよ。
妊娠12週の妊婦さんの状態は?お腹の大きさは?

妊娠12週には子宮が手の拳より大きくなり、お腹のふくらみが少し目立ってきます。これまで着ていた服がきついと感じたときは、ワンピースなどのゆったりとした服を着て、お腹周りの血流を遮らないようにしてください。
パンツスタイルが中心の人は、特にお腹周りの締め付けがきつく感じます。妊娠後期まで使えるマタニティジーンズやマタニティパンツを、早めに購入するのがおすすめですよ。
お腹のふくらみが目立ち始めたといっても、周囲の人から気づかれることはまだあまりありません。交通機関などを利用するときは、マタニティマークをつけておくと安心です。
妊娠12週につわりが治まる?

妊娠12週にはつわりのピークが過ぎ、症状が治まりはじめます。個人差はありますが、ほとんどの妊婦さんは妊娠12~16週の間につわりが治まります(※1)。
すべての妊婦さんが妊娠12週を過ぎればつわりがなくなるというわけではありませんし、一度治まったと思ってもぶり返すこともあります。
個人差があるものなので、妊娠12週でまだつわりがひどい人も、心配しすぎずる必要はありません。ただし、食事ができないほどのつわりが続く場合は、健診時に医師や助産師に相談してみてくださいね。
妊娠12週を過ぎてもタバコやアルコールには気をつけて

妊娠5~11週までの間は「器官形成期」と呼ばれ、とても重要な臓器が作られる時期です(※1)。この時期は薬などの成分が胎児に悪影響を及ぼしやすく、奇形などを引き起こす危険性が高くなっています。つまり、妊娠12週を過ぎれば、お腹の赤ちゃんに与える影響は小さくなってくるといえます。
ただし、器官形成期を過ぎたとはいっても、外の世界で生きていくために必要な器官がすべて完成したわけではありません。胎児は今後も成長を続けるため、妊娠中の禁煙・禁酒は原則です。
妊娠中に喫煙をすると、早産・前期破水・絨毛膜羊膜炎などの合併症や、口蓋裂・先天性心疾患・低体重及び発育不全のほか、死産や流産、乳児死亡率の増加との関連が報告されています。さらに、周りの人の喫煙による受動喫煙も妊娠・出産トラブルのリスク因子として懸念されています。
また、妊婦さんの飲酒については、早産や妊娠高血圧症候群、癒着胎盤などのリスクが高まるほか、赤ちゃんの発育不全や胎児性アルコール・スペクトラム障害を引き起こす可能性があります(※2)。
薬やアルコール、タバコなどは妊娠初期にかぎらず、妊娠期間中を通じて注意すべきものです。薬が必要な場合は、妊娠していることを伝えた上で、医師の指示に従って使用してください。
妊娠12週はマイナートラブルが続くの?

妊娠12週頃につわりが落ち着いてくると、今までは気にならなかった他のトラブルが気になるようになってきます。この時期に見られるマイナートラブルには、腰痛や頻尿、便秘などがあります。つらいときは、それぞれ下記のような対処法を試してみてください。
腰痛
関節を緩める作用のある「リラキシン」というホルモンによって腰まわりの筋肉に負担がかかり、腰痛が起きることがありますが、これは大きくなってきた子宮を支えるために必要な働きです。体重が増えすぎると腰への負担もその分大きくなるので、適正な体重の増加を心がけましょう。
また、お腹が大きくなってきて寝返りをうちづらくなることも、腰痛を悪化させる原因になります。抱き枕を使って、シムスの体位でリラックスして寝るのがおすすめですよ。
頻尿・便秘
頻尿や便秘は、子宮が大きくなり、膀胱や腸を圧迫することで引き起こされます。頻尿の場合は、我慢せずにトイレに行くようにしてください。ふとした瞬間の尿もれが気になる場合は、市販の尿漏れパッドなどを使用すると安心です。
便秘がひどいときは、食物繊維を多く摂るようにしましょう。また、腸の働きは運動することで活発になるので、つわりが落ち着いて体調のよい日は散歩に出かけるのもいいですね。
あと1ヶ月もすれば安定期に入り、マタニティヨガやマタニティスイミングを始められるようになります。通えそうな教室を今から探しみるのも、気分転換になりますよ。
妊娠12週以降の流産の可能性は?

妊娠12週を過ぎると流産の確率がぐっと下がりますが、全くなくなるわけではありません。
流産は妊婦さん全体の約15%に起こり、そのうち妊娠12週以降の後期流産が起こるのは約1.6%です(※1)。その原因は、絨毛膜羊膜炎や子宮奇形、子宮頸管無力症など、母体側の異常です。
妊娠12週を過ぎたからといって油断せず、出血や腹痛などの違和感があれば、かかりつけの産婦人科に早めに相談してくださいね。
また、妊婦健診をきちんと受けることが、流産の早期発見・早期治療につながります。妊婦健診は病院から決められたスケジュールどおりに受けるようにしてくださいね。
妊娠12週も適正な体重増加を心がけて

妊娠12週以降はつわりが段々と落ち着いてくるので、食欲が増してきます。何も食べられなかった反動で、好きなものをたくさん食べたい衝動に駆られるかもしれませんね。
しかし、妊娠中に体重が急激に増えると、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などの合併症のリスクが高まります。
日本産科婦人科学会によると、妊娠中は以下の体重増加量が推奨されています(※2)。

胎児の成長にともなって体重は自然と増加していくものですが、過度に増えないよう食生活に気をつけてください。
反対に、妊娠中の体重増加が不足していると、早産や低出生体重児になる可能性が高くなり、産まれたあとの健康や命に関わる影響が高くなることも。
妊娠中は、適切な体重増加を心がけて生活してくださいね。
妊娠12週には出生前診断を受けるか決断を

新生児の3~5%には、ダウン症や染色体異常など、何らかの異常があるといわれています(※1)。このような異常があるかどうかを胎児のうちに検査することを、「出生前診断」といいます。
診断方法にはいくつか種類があり、費用も1万円ほどの手軽なものから、20万円以上する高額なものまで様々です。ただし、どの方法でも検査結果が100%正しいというわけではなく、生まれてくるまで「絶対」はありえません。
出生前診断を受けるきっかけは人それぞれです。どんな結果が出るかはわからないので「本当に出生前診断をしたほうがいいのか?」と夫婦でしっかり話し合いましょう。結果をどう受け止めるかも事前に考え、夫婦で納得の行く決断をしてくださいね。
出生前診断を考えている夫婦に向けてカウンセリングを実施している病院もあるので、悩んでいる人はまず専門家の意見も聞きながら、検査を受けるのかどうかを判断してみてはいかがでしょうか。
妊娠12週を過ぎても無理のない生活を
妊娠12週はまだまだ体調が安定しない時期です。妊婦健診は4週間に1回になりますが、違和感があれば早めに医師に相談してくださいね。普段も疲れたときには体を休め、ゆっくりと、無理のないよう過ごしましょう。
少しふくらんできたお腹に手を当てて赤ちゃんのことを考えると、自然とやさしい気持ちになれますよ。今しか味わえない赤ちゃんと2人だけの時間を、存分に楽しんでくださいね。