妊娠中はホルモンバランスの変化で体質が変わり、日々のストレスの影響もあって便秘になりやすい時期です。便秘でスッキリしない日が続くと、さらにストレスがかかったり、体調不良を引き起こしたりといったこともあるので、できるだけ早く対処したいですね。妊娠中は薬に頼るのは不安という人におすすめな便秘解消法が「ツボ押し」です。そこで今回は、妊婦さんの便秘解消に役立つおすすめのツボをまとめました。
ツボ押しで本当に便秘が解消するの?

ツボ押しは東洋医学に基づいています。体には血管や神経と同じように、「気血」の通り道である「経絡」があると考えられています。この経絡上の流れをつくるのに重要なポイントが「ツボ」と呼ばれ、ツボを刺激することで滞った経絡の流れを調整して体の不調を改善すると考えられています。
西洋医学的な根拠があるわけではありませんが、ツボ押しで体調を改善する例は多く、体調改善にある程度の効果が期待できます。特に便秘は血行不良などが原因になっていることも多く、ツボ押しで血行が改善して解消される可能性はありますよ。
次からは便秘に効くツボを、手、お腹、足、背中の順番に場所と押し方をご説明します。
便秘に効く手のツボとは?即効性があるツボはどれ?

手にはたくさんのツボがあります。便秘に効くツボも多く、手持ち無沙汰のときに手軽にツボ押しができますよ。
間使(かんし)
腸の蠕動運動を活発にし、排便を促してくれるツボです。即効性があるので、トイレの中で集中的に刺激するといいですよ。
● 場所:手首のシワ部分から指4本分の腕の内側
● 押し方:少し強めに1分ほどを目安に押す
合谷(ごうこく)
頭部や大腸のトラブルに効くツボで、便秘以外にも頭痛や難聴、肩こり、精神不安、不眠、めまいに効果があります。全身の痛みが和らぐ万能のツボです。
● 場所:親指と人差し指を合わせたときに膨らむ部分の内側
● 押し方:親指と人差し指で合谷をはさみ、グッと押したり、回すようにマッサージをしたりする
支溝(しこう)
東洋医学上、便秘の原因は「辛いものの食べ過ぎ」「座りすぎ」「気や血が足りない」「冷え」の4つに分類されます。このいずれのタイプにも効くのが、「便秘の名穴」とも呼ばれる「支溝」です。
● 場所:手の甲側、手首の中心点から肩に向かって指4本分下のあたり、2本の骨の間
● 押し方:親指の腹を使って、強く真下に押す
神門(しんもん)
自律神経の乱れに効く神門は、ストレスによる便秘に効果があります。特に精神的に不安定になっている妊婦さんに効果的です。このツボは、少し強めに刺激を入れても問題ありません。
● 場所:手の内側で、小指下の手首あたりのくぼみ
● 押し方:親指で軽く円を描くようにマッサージする
便秘に効くお腹のツボとは?妊娠中は強さに注意!

消化器官があるお腹は便秘改善におすすめのツボがあります。ただ、大きくなってきたお腹のツボを押すときには注意が必要です。
大巨(だいこ)
お腹の張りや不快感がひどいときに効果のあるツボです。慢性的に便秘に悩んでいる場合、硬くなっています。
● 場所:おへそから指2~3本外側に離れ、さらに指2~3本分下がった左右両側
● 押し方:両手の人差し指と中指を重ね、ゆっくり押しながらもみほぐす
天枢(てんすう)
内臓全般の働きを活発にするツボで、便秘や下痢の解消に効果があります。
● 場所:おへそから指2~3本分外側に離れた部分
● 押し方:人差し指、中指、薬指の3本の指を添えて左右のツボを同時にお腹が軽くへこむ程度押す
便秘に効く足のツボとは?

足にも便秘解消のツボがあります。お腹が大きくなってくると押しにくくなるので、パートナーや家族に協力してもらいましょう。
三陰交(さんいんこう)
冷えによる便秘の解消に効果のあるツボで、食欲不振や下痢の解消にもつながります。ただし、三陰交は陣痛を早めるツボとしても知られているので、押す時期や強さ、頻度には注意が必要です。
● 場所:内くるぶしから指4本分くらい上で骨と筋肉の境目
● 押し方:ゆっくり息を吐きながら静かに押し、息を吸いながら離す。1日3回程度を目安に、押す力には注意する
足三里(あしさんり)
このツボは胃腸を整える効果があり、お腹の冷えによる夏風邪、便秘、下痢、食欲不振、頭痛、肩こり、耳鳴りに効きます。夏場のクーラーで冷えてしまった体によく効きます。また、足三里はつわりに効くツボとしても知られています。
● 場所:ひざの皿から指4本分ほど下の位置で、真ん中より外側の部分
● 押し方:右足は右手、左足は左手で、くぼみを親指と中指でマッサージする
便秘に効く背中のツボとは?

背中のツボは自分で押すのが難しいので、パートナーや家族に押してもらいましょう。押してもらうときにうつ伏せになるとお腹が圧迫されるので注意してください。
便秘点
その名の通り、便秘への大きな効果が得られるツボです。
● 場所:肋骨の一番下から指2本分下で、背骨から左右両側に指4本分外にある部分
● 押し方:ウエストのくびれに手を置き、片方ずつ腰をひねりながら親指でツボを数回押す
大腸兪(だいちょうゆ)
大腸に気血を注ぐツボで、便秘や下痢など大腸関連の症状によく効きます。腰にあることから、腰痛の解消にも効果があります。
● 場所:腰骨の高さで、背骨から指2本分外側の左右両側
● 押し方:仰向けに寝て、背中の下で拳をつくり、体重をかけてゆっくりと押し当てる
妊婦の便秘のツボを押すときの注意点は?

便秘の解消をはじめとして、ツボ押しは体の不調を改善する効果が期待できます。薬が利用できない妊婦さんにとっては強い味方ですよね。妊娠経過が順調なら、妊娠初期から妊娠後期までずっと施術できるのも魅力的。
しかし、ツボ押しがどれくらいの効果をもたらすかは個人差が大きく、人によってはあまり効果が見られないこともあれば、反対に効き過ぎることも。自己判断でツボ押しをすると、子宮収縮を早めるなどの影響を与える恐れもあります。
妊娠中のツボ押しが初めての人は自己判断では行わず、一度妊婦さんの施術経験が豊富な施設で施術を受けてみてください。また、ツボ押しの施術を受ける前には、受けても問題ないかどうかをかかりつけの産婦人科医に相談しておくことも大切です。
妊娠中はツボ押しと生活改善で便秘を解消!

妊娠中は便秘になってからツボ押しで解消するだけではなく、便秘にならないように生活を改善することも大切です。
水分補給をしっかりして、食物繊維をしっかり摂り、適度な運動をするだけでも、便秘になりにくくなります。ほかにもストレスをためないように、睡眠をしっかりとって、日々のストレスを発散する方法を見つけましょう。
そして、それでも便秘になってしまったときにはツボ押しをして体調改善をしてください。生活改善とツボ押しで快適なマタニティライフを過ごせるといいですね。