妊娠中は、すぐに小腹が減ったり、甘いものが食べたくなったりしますよね。クッキーやチョコレートといったお菓子は、カロリーや脂肪分が高いので、ドライフルーツを選ぶ妊婦さんも多いのではないでしょうか。ドライフルーツには、妊娠中の体に嬉しい効果がたくさんある一方で、糖質を多く含むので、食べ過ぎには注意が必要です。今回は、妊婦はドライフルーツを食べてもいいのか、ドライフルーツの効果、ドライフルーツを食べるときの注意点についてご紹介します。
妊婦はドライフルーツを食べてもいいの?

ドライフルーツとは、果実を天日に干したり、砂糖を使用したりして脱水、乾燥させた食べ物です。身近なものでは、レーズンやドライマンゴー、プルーンといったものがあります。
ドライフルーツは、生のフルーツの水分が抜けて栄養価が凝縮されているため、妊娠中にもおすすめの食べ物です。ただし、砂糖を使用しているものは糖分が高いため、食べ過ぎには気をつけましょう。
妊娠中にドライフルーツを食べる効果は?

果実の種類によって栄養価が異なるものの、ドライフルーツ全般には、食物繊維、ビタミン、ミネラル(カリウム、鉄、カルシウム)といった成分が豊富に含まれています。これらの成分は、妊娠中の体に良い作用があります。
食物繊維は、便秘解消や整腸作用に効果があるので、便秘に悩まされる妊婦さんには嬉しいですね。カリウムは、妊娠中の手足のむくみの解消につながります。鉄分は、妊娠中の貧血予防に積極的に摂りたい成分です。
また、ドライフルーツは加工度が低く、脂肪分が少ないので、市販のクッキーやチョコレートといった甘いお菓子に比べて、健康的な食べ物といえます。
妊娠中におすすめのドライフルーツは?

妊娠中は時期によって、様々な不調に悩まされますよね。ここでは、妊娠初期・中期・後期別におすすめのドライフルーツをご紹介します。
妊娠初期におすすめのドライフルーツ
干しバナナ・バナナチップス
妊娠初期は、つわりに悩まされる妊婦さんが多いですよね。つわり自体の詳しいメカニズムはまだ解明されていませんが、ビタミンB6が、つわりの症状を和らげるといわれています。病院では、つわりの症状が重い妊婦さんにビタミンB6の入った点滴が処方されています。
ビタミンB6を多く含む果物としておすすめなのが、バナナです。ドライフルーツにも干しバナナやバナナチップスがあるので、つわりが辛いときは、ぜひ試してみてくださいね。
ただし、バナナチップスは油で揚げたり甘味料をまぶしたりしているものもあるので、食べ過ぎには注意しましょう。
干しイチジク
妊娠初期は、便秘や貧血に悩まされる人もいます。そんな症状を改善するためにおすすめなのが、干しイチジクです。
イチジクには、食物繊維とミネラルがたくさん含まれています。食物繊維は、便秘の解消や腸内環境を改善する効果があり、カルシウムや鉄などのミネラルは、貧血予防に有効です。
妊娠中期におすすめのドライフルーツ
ドライマンゴー
妊娠前から妊娠初期にかけて、葉酸を欠かさず飲んできたという人は多いですよね。妊娠中期に入っても、葉酸を摂取し続けることが望ましいとされています。
葉酸を手軽に摂取するためにおすすめなのが、ドライマンゴーです。マンゴーには、葉酸をはじめ、ビタミンCやビタミンA、ビタミンEといった抗酸化作用のある栄養素が豊富に含まれています。
妊娠後期におすすめのドライフルーツ
アプリコット(あんず)
妊娠後期になると、お腹の中の赤ちゃんに栄養を届けるために血液の量が増える一方で、体を動かす機会が減るため、体がむくみやすくなります。むくみの解消には、利尿作用がある栄養素のカリウムが有効です。
ドライフルーツにはどれも、カリウムが含まれていますが、アプリコットは程よい酸味と甘さがあり、ドライフルーツのなかでも特に食べやすいので、ぜひ試してみてくださいね。
ドライジンジャー
妊娠後期は、冷えにも注意が必要です。体が冷えると、お腹の張りやむくみの原因になります。体を温める食べ物や飲み物を積極的に摂るようにしましょう。
生姜には、血行をよくして体温を上げる効果があります。ドライジンジャーは、お茶にも合うので、温かい飲み物と一緒に食べるのもいいですね。
妊婦はドライフルーツを1日に何個食べてもいいの?

妊娠中の体に嬉しいドライフルーツですが、1日にどのくらい食べてもいいのでしょうか。
国立栄養・健康研究所によると、1日あたりの果物の推奨摂取量は200g程度で、妊娠中も増やしたり減らしたりする必要はないとされています(※1)。200g程度というのは、生のフルーツの量なので、ドライフルーツには、当てはまりません。
妊娠中のドライフルーツの適正摂取量や上限摂取量の定めはありませんが、糖分を考えると、アプリコットやパイナップル(スライス)、プルーンであれば、1日に4~5粒が目安です。いくつかのドライフルーツを組み合わせて食べるときは、総量で考えるようにして、食べ過ぎには気をつけてくださいね。
ドライフルーツは、食べ過ぎると体重増加につながります。干しイチヂクは、1個(約7g)あたり約20キロカロリーあります。ドライマンゴーは、1切れ(約15g)あたり約25キロカロリー。
無意識で食べていると、あっという間に100キロカロリー、200キロカロリーを超えてしまいますね。パッケージのカロリー表示をしっかり確認して、おやつに適した量(100~200kcal)を目安に食べるようにしましょう。
妊婦がドライフルーツを食べるときの注意点は?

糖質を摂り過ぎないように
ドライフルーツは糖質の高い食べ物です。果実には糖分が多く、乾燥させると甘味が凝縮されて、さらに甘みを強く感じるように。また、ドライフルーツのなかには、乾燥させてから砂糖をまぶしているものもあります。
妊娠中に糖質を摂り過ぎると、体重増加につながり、妊娠糖尿病を発症するリスクが高まります。ドライフルーツを食べるときは、一度にたくさんの量を食べ過ぎないように気をつけましょう。
添加物が入っていないかどうかチェック
もともとドライフルーツは、果実を乾燥させるというシンプルな方法で作られ、保存食として親しまれてきました。
しかし、現在は、さらに保存を効かせるために保存料が使われたり、見た目をよくするために着色料や漂白剤が使われたり、ドライフルーツの実をほぐしやすくするために食用油でコーティングされたりしているものも多くみられます。
過剰に気にする必要はありませんが、保存料や添加物を摂り過ぎすると胎児に悪影響を与える恐れがあるので、できるだけ自然な方法で作られたドライフルーツを選ぶようにしましょう。
産地を確認しよう
ドライフルーツであれば何でもいいというわけではなく、果実の原産地も確認するように心がけましょう。ドライフルーツの果実の種類によって、原産地は異なります。
例えば、イチジクやアプリコットは、ギリシャ産やトルコ産、アメリカ産のものが多く、ドライマンゴーはフィリピン産やタイ産がほとんどです。
収穫に適した場所のフルーツを選ぶことで、栄養価が高く安全なドライフルーツを食べることができます。一般的な価格より安値で売られているドライフルーツは、産地が曖昧で、農薬の使用量や衛生面に問題があることも。
原産地や製造国をしっかりと確認して、安全なドライフルーツを選ぶようにしましょう。
妊娠中はドライフルーツを適度に食べて健康的に過ごそう

ドライフルーツには、妊娠中に摂りたい栄養素がたくさん含まれているので、適切な量を食べて、健康的なマタニティライフを送れるといいですね。
ただし、ドライフルーツは糖質が多いので、食べ過ぎると体重増加や妊娠糖尿病のリスクが高まるため、注意しましょう。
ドライフルーツは、そのままスナックとして食べるだけでなく、ヨーグルトやシリアルに加えたり、料理に使ったりすることもできます。妊娠中の食生活に、ぜひドライフルーツを取り入れてみてくださいね。