妊婦にグレープフルーツはいい?妊娠中の防カビ剤は危険?

監修専門家 管理栄養士 渡辺 亜里夏
渡辺 亜里夏 神奈川県立保健福祉大学卒業後、予防医学に興味を持ちドラッグストアへ就職。その後独立し、現在はフリーランスの管理栄養士として特定保健指導、ダイエット指導、コラムの執筆、企業様での研修などを中心に活動。い... 監修記事一覧へ

「つわりで食欲がないときでもグレープフルーツなら食べられた」という妊婦さんの体験談をよく耳にしますよね。妊婦さんの味方ともいえるグレープフルーツには、ビタミンCやクエン酸をはじめ、妊娠中の体に嬉しい栄養成分が含まれています。今回は、グレープフルーツについて、妊娠中の体への効果や妊婦が食べるときの注意点をご紹介します。

妊婦はグレープフルーツを食べると体にいいの?妊娠初期は?

グレープフルーツ

グレープフルーツには、ビタミンCをはじめ、クエン酸、ナリンギンといった栄養成分が含まれています。

ビタミンC

ビタミンCには、免疫力を高め、風邪を予防する効果があります(※1)。また、皮膚のメラニン色素の生成を防ぐ働きもあるので、美白効果も期待できます。

グレープフルーツ1個(可食部約210g)を食べると、妊娠中の1日のビタミンC推奨量(110mg)の約70%にあたる75.6mgを摂取できます(※2,3)。

クエン酸

柑橘類に多く含まれるクエン酸は、疲労回復を早める働きがあるといわれています(※1)。また、体内に吸収されにくいカルシウムや鉄の吸収をよくする作用もあります。

ナリンギン

ナリンギンは、はっさくにも含まれるポリフェノールの一種です。グレープフルーツを食べたときに、苦味や刺激を感じるのは、このナリンギンによるものです。ナリンギンには、抗がん作用があります。


グレープフルーツ1個(可食部約210g)あたりのエネルギー量は、約80kcal(※2)。ほかの果物と比べると、みかんは2個で約50kcal、りんごは1/2個で約60kcalです。一度に1/2個ほどのグレープフルーツを食べるのであれば、カロリーの摂り過ぎを心配する必要はありません。

このように栄養豊富でヘルシーなグレープフルーツは、妊娠中に積極的に食べたい果物です。さっぱりとしていて食べやすいので、妊娠初期につわりで食欲がないときにもおすすめですよ。

グレープフルーツは妊娠中に摂りたい葉酸を含んでいるの?

グレープフルーツ
グレープフルーツには、葉酸も含まれています。葉酸は胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクを低くする働きがあるため、厚生労働省は、妊娠の1ヶ月以上前から、さらに妊娠初期は特に葉酸を意識的に摂取するように通知しています(※4)。

グレープフルーツ1個(可食部約210g)あたりには、約30μgの葉酸が含まれています(※2)。ただし、この量は、厚生労働省が発表した妊婦が1日に摂取したほうがいいとされる葉酸の量(480μg)の約6%にしかすぎません(※3)。

妊娠中にグレープフルーツを食べることで、葉酸を摂取できますが、1日の推奨摂取量からみると十分な量とはいえないので、サプリメントや他の食品からも葉酸を摂ることを心がけましょう。

妊娠中はグレープフルーツを1日にどのくらい食べてもいいの?

日本人 女性 考える

国立栄養・健康研究所によると、果物の1日あたりの摂取目標量は200g程度です(※5)。妊娠中だからといって、200gから増やしたり減らしたりする必要はありません。

平均的な大きさのグレープフルーツは1個あたりの可食部が約210gなので、1日の果物の推奨摂取量とほぼ同じ量です。そのため、妊娠中にグレープフルーツを食べるときは、多くても1日1個までを目安にしましょう。

ほかの果物を食べるときは、グレープフルーツの量を減らしてトータルで200gにおさまるように調整してくださいね。

妊婦はグレープフルーツの防カビ剤に気をつけたほうがいい?

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市販されているグレープフルーツの多くは、フロリダや南アフリカからの輸入品です。グレープフルーツをはじめとした輸入柑橘類には、輸送貯蔵中にカビが発生しないように防カビ剤が使用されています。

食品衛生法では、防カビ剤は食品添加物として定められています(※6)。

食品添加物は、公正・中立な機関により安全性が審査されているため、妊娠中だからといって特別に気にしすぎる必要はないといわれていますが、輸入物のグレープフルーツを食べるときは、皮をむく前に表面をよく水洗いするようにしましょう(※7,8)。

頻繁にグレープフルーツを食べる妊婦さんは、できれば国産のものや防カビ剤を使用していないものを選ぶと安心ですね。

妊娠中にグレープフルーツジュースを飲むときの注意点は?

グレープフルーツジュース

つわり中に、グレープフルーツジュースを好んで飲んだという妊婦さんも多いですよね。

グレープフルーツジュースは糖類が加えられていない果汁100%のものがほとんどですが、なかには果汁の割合が少ないジュースもあります。そのようなグレープフルーツジュースには糖分が多く含まれているため注意が必要です。

妊娠中に糖分を摂りすぎて体重が急激に増えると、妊娠糖尿病になるリスクが高まります。妊娠糖尿病は、妊娠高血圧症候群や流産・早産といった合併症の原因になる可能性もあります(※9)。

妊娠中にグレープフルーツジュースを飲むときは、できれば果汁100%のストレートタイプを選ぶようにしましょう。果汁100%であれば、グレープフルーツ本来の栄養成分を摂ることができますよ。

グレープフルーツを妊娠中の食事の味方に!

グレープフルーツにはビタミンCやクエン酸をはじめ、妊娠中に積極的に摂りたい葉酸も含まれているので、妊娠初期から妊娠後期にわたっておすすめの果物です。

妊娠中は果物や野菜をバランスよく食べることが大切です。さっぱりとしていて食べやすいグレープフルーツを適度に取り入れて、健康的なマタニティライフを送れるといいですね。

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