妊婦がマグロを食べるのはNG?摂取上限量は?妊娠初期からダメ?

監修専門家 助産師 佐藤 裕子
佐藤 裕子 日本赤十字社助産師学校卒業後、大学病院総合周産期母子医療センターにて9年勤務。現在は神奈川県横浜市の助産院マタニティハウスSATOにて勤務しております。妊娠から出産、産後までトータルサポートのできる助... 監修記事一覧へ

妊婦はマグロを食べないほうがいい…そんな話を耳にしたことがある妊婦さんも多いのではないでしょうか。実際、厚生労働省は、妊娠中のマグロの食べ過ぎに注意を呼びかけています。でも、妊娠中にマグロを食べると具体的にどのような影響があるのか、どの程度の量なら食べてもいいのか、疑問に感じることがたくさんありますよね。今回は、なぜ妊娠中はマグロを控えたほうがいいのか、どのくらいなら食べてもいいのか、食べ過ぎるとどんな影響があるのか、その理由をまとめました。

妊婦はマグロを食べてもいいの?

マグロ 刺身 まぐろ

結論からいうと、妊娠中にマグロを食べても問題はありません。ただし、食べる量に注意が必要です。

魚は、たんぱく質やDHAを豊富に含んでいるので、妊娠中も食べたい食材です。しかし、マグロをはじめとした一部の魚は、「メチル水銀」という有害物質を含んでいます。

妊婦がメチル水銀を多量に摂取すると、胎盤から胎児へと伝わって発育に悪影響を及ぼす危険性があります。具体的には、生まれた赤ちゃんの音に対する反応が遅れるといった可能性があることが指摘されています(※1)。

妊婦が気をつけなくてはいけないのはマグロだけ?

マグロが問題になるのは、マグロのような大きな魚は食物連鎖の上位に位置するためです。大きな魚は、それよりも小さい魚をエサとしていて、その小さな魚はさらに小さい魚をエサとしているので、メチル水銀が体内に多く蓄積されていきます。

マグロだけでなく、キダイ、マカジキ、キンメダイ、哺乳類のクジラなどにもメチル水銀が含まれているため、妊娠中は摂取量に気をつけてくださいね。

妊娠中はマグロを1週間にどれくらい食べられるの?

まぐろ

前述の通り、妊娠中にマグロを食べるときは、摂取量に注意しましょう。マグロの種類によってメチル水銀の含有量が異なるので、厚生労働省が注意喚起している、下記の1週間の摂取上限量を守ってください。

マグロの種類別の摂取上限量(※1)

  • クロマグロ(本マグロ)…1週間に約80gまで
  • メバチマグロ…1週間に約80gまで
  • ミナミマグロ(インドマグロ)…1週間に約160gまで

80gは、日本人が1食に食べる魚の平均量で、刺身1人前、または切り身1切れ程度にあたります。1週間に1回、1人前のマグロを食べるのであれば問題はありません。ただし、マグロ以外にも、メチル水銀を多く含む魚があるので、魚の種類と量に注意しながら食べましょう。

マグロ以外の魚の摂取上限量(※1)

  • キンメダイ…1週間に約80gまで
  • メカジキ…1週間に約80gまで
  • マカジキ…1週間に約160gまで

例えば、クロマグロとメカジキを食べるときは、1週間にそれぞれ半人前(約40g)ずつにするといいでしょう。

マグロやその他のメチル水銀を含む魚が胎児に悪影響を及ぼすのは、あくまでも摂取上限量を超えて食べ続けた場合です。キハダ、鮭、アジ、サバ、イワシ、鯛といった魚やツナ缶は、特に注意は必要ありません(※1)。

妊娠初期はマグロを食べてはいけないの?

カレンダー 日付 期間

妊娠したことに気づいていなかった妊娠初期の段階でマグロを食べてしまい心配になるママもいますよね。

ママが摂取した水銀は、胎盤を通して赤ちゃんに影響を及ぼします。胎盤ができ上がるのは妊娠4ヶ月目頃なので、妊娠に気づいてからマグロを食べる量を減らしていれば、胎盤ができる頃には体内のメチル水銀の量は減少しています(※1)。

妊娠に気づく前にマグロをたくさん食べていたとしても、あまり気にしすぎずストレスを溜めないようにしてください。

妊婦がマグロを食べるときの注意点は?

女性 メモ カレンダー

妊娠中にマグロを食べるときは以下の注意点に気をつけましょう。

食べる量や頻度に気をつける

前述の通り、メチル水銀が胎児に影響を及ぼす可能性があるのは、摂取上限量を超えたときです。妊娠中にマグロを食べるときは、量や頻度に注意をし、メチル水銀を多く含むほかの種類の魚にも気をつけながら、適量を食べるようにしましょう。

生で食べるのは控える

妊娠中のマグロは、メチル水銀の影響だけでなく、生で食べることによる食中毒のリスクもあります。妊娠中は免疫力が低下しているので、普段は問題ない刺身や寿司でも食中毒になりかねません。

妊婦さんが食中毒になると、飲める薬が限られてしまい、下痢や嘔吐の症状がひどい場合は、胎児の発育に影響が出る可能性もあります。妊娠中にマグロを食べるときは、刺身や寿司ではなく、焼いたり煮たりしたもののほうが安心です。

妊娠中はマグロの食べ過ぎに注意しよう

妊娠中期以降は、妊娠前よりたんぱく質を多く摂取することが推奨されているので、魚はおすすめの食材です。しかし、マグロをはじめ、食物連鎖の上位に位置する大きい魚は、胎児に影響を及ぼす可能性のあるメチル水銀を含んでいるので、食べ過ぎに注意しましょう。

厚生労働省が発表している摂取上限量を守れば、妊娠中もマグロを食べることができます。食べるときは新鮮なものを選び、できるだけ火を通すようにしましょう。

妊娠中は、マグロ以外にも食べるのを控えたほうがいいといわれている食べ物がありますが、基本的には様々な食材をバランスよく適量に摂取することが大切です。健康的な食生活を送りながら、マタニティライフを楽しんでくださいね。

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