「無事に出産を終えたい」と誰もが願うものですが、残念ながら妊娠の過程で流産してしまうこともあります。妊娠初期から中期にかけて起こる稽留流産の場合、自覚症状がほとんど現れないので、流産したことに気がつかないこともあります。今回は、稽留流産のときにつわりがなくなるのか、稽留流産が起こりやすい時期はいつ頃なのかなどをご説明します。
稽留流産が起こる時期は?
「稽留流産」とは、胎児(胎芽)がママの子宮内ですでに亡くなっているにもかかわらず、そのまま子宮内にとどまっている状態を指します。
稽留流産は、妊娠22週未満であればいつでも起きる可能性があります(※1)。稽留流産と診断されたら、それ以降は妊娠を継続することはできないため、自然に排出されるまで待つ待機療法を行ったり、子宮内容除去術という手術を行ったりします。
稽留流産は心拍確認後に起こることもある?
正常な妊娠の場合、遅くとも妊娠7週までにエコー検査で胎児の心拍を確認できます。多くは、一度心拍が確認できれば、そのまま順調に妊娠が進むとされています。
しかし、日本産科婦人科学会によると、エコー検査で心拍確認された後に流産が起きる割合は、全流産のうち16〜36%です(※2)。それまで妊婦健診で特に異常がなくても、突然赤ちゃんの心臓が止まってしまい、稽留流産になるケースもあります。
そのため、一旦心拍が確認できたとしても、定期的に妊婦健診を受けて赤ちゃんの成長を見守ることが大切です。
稽留流産はつわりがなくなるの?
早い人は、妊娠4週頃からつわり症状が現れます。もし、赤ちゃんの心臓が止まり、稽留流産となったとしても、まだママのお腹の中にいるため、待機療法や手術で赤ちゃんが完全に体の外に出るまでは、つわりがそのまま続くケースもあります。
しかし、稽留流産後のつわり症状には個人差があり、「妊娠8週を過ぎてもつわりがなく、妊婦健診で稽留流産が判明した」という人もいれば、「稽留流産になった後、つわりが徐々に治まっていった」という人もいます。
そもそも、つわりが続く時期や程度は、妊婦さんによってさまざまです。「つわりがない=稽留流産」とも言い切れないので、もしつわりが軽くなったように感じられても、医師の診断があるまでは心配しすぎないようにしましょう。
稽留流産の兆候はあるの?
一般的に、切迫流産や流産の症状として、不正出血や下腹部の痛みが現れたりすることがあります。しかし、稽留流産の場合、特に兆候がないことが多く、不正出血があってもごくわずかなので、妊婦健診のエコー検査ではじめて判明することがほとんどです(※3)。
日本産科婦人科学会のガイドラインによると、1回の診察で胎児の心拍が確認できなくても、それだけで稽留流産と診断することは避けるとされています(※4)。稽留流産の疑いがある場合、少し期間を空けてあらためてエコー検査を受け、あらためて胎児の心拍を確認します。
妊娠12週未満に起こる早期の稽留流産は特に、先天的な染色体異常など、胎児側の原因で起こることがほとんどです(※1,3)。ママが頑張って予防できるものではないので、「稽留流産になる前に気づいてあげられなかった」と自分を責めたりしないでください。
稽留流産の後はゆっくり体を休めましょう
稽留流産は気づかないうちに起きていることがほとんどなので、妊婦健診で突然医師から告げられると、大きなショックを受けるかもしれません。ただ、自然流産が起こる確率はすべての妊娠のうち約15%と決して珍しいものではなく、胎児の染色体異常など予防できない原因がほとんどです。
身体的にも精神的にもつらい経験ではありますが、自分を責めて思い詰めたりせず、まずはしっかりと体を休めましょう。稽留流産後は、体の調子が整うまでに少し時間が必要なので、次の妊娠を考えるまでに1~2ヶ月置いてください。