絨毛膜羊膜炎とは?症状や原因は?治療で治るの?予防法はある?

妊娠して安定期に入ると赤ちゃんに会えるのが楽しみになりますよね。しかし、そんな妊娠中期・後期で気になるのが、早産です。早産の原因にはいくつかありますが、最も多いのは細菌によって赤ちゃんを包んでいる絨毛膜・羊膜が炎症してしまう「絨毛膜羊膜炎(じゅうもうまくようまくえん)」によるものです。今回は、絨毛膜羊膜炎について、原因や症状、治療法などをご説明します。

早産とは?

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そもそも早産とは、妊娠22~37週未満の分娩のことを指します。22週以降の妊娠のうち、早産が占める割合は約5%で、近年は増加の傾向にあります(※1)。

早産のうち、妊娠34週以降であれば、正期産(妊娠37週0日~41週6日)の赤ちゃんに近い生存率となりますが、成熟が十分とはいえないため、正期産児と比べると周産期死亡率や死産率が高くなります(※2)。

絨毛膜羊膜炎とは?

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早産の原因のうち、最も多いのが細菌感染による「絨毛膜羊膜炎」で、妊娠32週未満の早産の70%を占めます(※1)。

お腹の赤ちゃんを包む卵膜は、脱落膜・絨毛膜・羊膜の3層で構成されています。これらのうち、絨毛膜と羊膜に細菌が感染し、炎症を起こす病気を「絨毛膜羊膜炎」といいます。

炎症が起きていることに気がつかずにそのままにしておくと、子宮頸管がやわらかくなる、卵膜が弱くなる、子宮が過度に収縮するといったことから、切迫早産や早産に至ることがあります。

絨毛膜羊膜炎の原因は?

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まず、細菌が膣内で感染することで「細菌性膣症」となり、その一部が膣炎や子宮頸管炎を引き起こします。妊娠中だとさらに絨毛膜羊膜炎へと波及する恐れがあります。

原因となる細菌は、どこにでもいる常在菌がほとんどです。通常なら、膣内は乳酸菌のおかげで酸性に保たれ、菌の増殖を防いでいます。しかし、免疫力が落ちていたりすると、膣内の常在菌のバランスが崩れてしまい、細菌感染と炎症が絨毛膜や羊膜まで広がることがあります。

その他にも、歯周病など直接的には関係がなさそうな炎症が原因となり、血液を介して感染する「血行性感染」や、羊水検査(羊水穿刺)によって絨毛膜羊膜炎が起きる可能性も指摘されています(※3)。

絨毛膜羊膜炎の症状と検査方法は?

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絨毛膜羊膜炎には、大きく分けて「不顕性」と「顕性」の2つがあります。不顕性の場合、治療によって早産を防げる可能性がありますが、放置しておくと顕性へと進行するため、不顕性の時点で早期診断・早期治療を行うことが大切です(※2)。

「不顕性」の絨毛膜羊膜炎

子宮内感染していない絨毛膜羊膜炎は、不顕性と呼ばれます。不顕性の場合、自覚症状はほとんどありません。

子宮が少し収縮している、子宮頸管が短くなっている、といったことが妊婦健診で見られた場合、絨毛膜羊膜炎が疑われます。顕性になる前に診断・治療を行うため、膣内の分泌物や粘液を綿棒でこすって調べる「膣分泌物検査」などをします。

「顕性」の絨毛膜羊膜炎

子宮収縮や子宮頸管の短縮に加え、38度以上の発熱や心拍数の増加(頻脈)、下腹部痛、おりものの悪臭などの症状がある場合、顕性の絨毛膜羊膜炎が疑われます。

顕性の絨毛膜羊膜炎になると、ほとんどの場合は1週間以内に早産となります(※2)。

絨毛膜羊膜炎の治療方法は?

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絨毛膜羊膜炎の治療方針は、顕性か不顕性か(子宮内に感染しているかどうか)、また胎児が自力で呼吸できるほど肺が成熟しているかどうかなどによって、次のように異なります(※2)。

「不顕性」の絨毛膜羊膜炎

不顕性、つまり子宮内感染が見られない場合、抗菌薬で細菌の増殖・感染を抑え、子宮収縮抑制薬を投与することで妊娠継続を目指します。ただし、不顕性でも症状が特にないまま切迫早産になることがあります。

「顕性」の絨毛膜羊膜炎

一方、顕性の場合、子宮収縮抑制薬は効果がないため、使用しません。

妊娠26週未満であれば、赤ちゃんの肺機能が未成熟なので、抗菌薬や副腎皮質ステロイドを使ってなるべく妊娠を継続させます。妊娠26~34週の場合、肺がある程度成熟していると判断されれば、分娩誘発や帝王切開などですぐに分娩を行うこともあります。

今のところ、顕性絨毛膜羊膜炎の治療法は確立されていないため、ケースバイケースで医師が判断しているのが現状です。

絨毛膜羊膜炎は胎児に影響がある?

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絨毛膜羊膜炎は、特に妊娠32週未満の早産の場合によく見られ、低出生体重児が生まれやすい傾向にあります(※2)。

日本産科婦人科学会によると、新生児が呼吸困難を起こす「呼吸窮迫症候群」のリスクが約3倍、周産期死亡率が約4倍になり、脳性麻痺を発症する危険性も高まります(※3)。

また、絨毛膜羊膜炎は子宮内に炎症を起こし、その影響で胎児の全身でも炎症が起き、脳や肺、腸などの臓器障害を引き起こす恐れもあります(※2)。

絨毛膜羊膜炎の予防法はあるの?

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膣からの細菌感染を避けるために、妊娠中に性交渉をする場合は避妊具を使いましょう。さらに、歯周病がある人はきちんと早めに治療をすることで、絨毛膜羊膜炎の発症リスクを一つ減らせます。

また、絨毛膜羊膜炎の原因となる細菌性膣症は、妊娠20週までに治療することで、早産を予防できる可能性があります(※2)。妊婦健診で発見される可能性もあるので、必ず定期的に受診しましょう。

絨毛膜羊膜炎は早期発見が大切

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絨毛膜羊膜炎は、気づかずに進行すると早産や赤ちゃんへの感染リスクが高まってしまいますが、不顕性から顕性へと移る前に早期発見できれば、早期治療につながり、妊娠を継続できる可能性があります。

定期的に妊婦健診を受け、日常生活で異変を感じたら、すぐに産婦人科を受診するようにしてください。

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