妊婦の冷え対策まとめ!お腹が冷たいと胎児に影響がある?

監修医師 産婦人科医 間瀬 徳光
間瀬 徳光 2005年 山梨医科大学(現 山梨大学)医学部卒。板橋中央総合病院、沖縄県立中部病院などを経て、現在は医療法人工藤医院院長。産婦人科専門医、周産期専門医として、産科・婦人科のいずれも幅広く診療を行って... 監修記事一覧へ

妊婦さんが抱える悩みの一つが「冷え」。妊娠期間が冬の場合はもちろんですが、夏でも冷房で身体が冷えるという声をよく聞きます。妊娠中に体が冷えてしまうと、母体や胎児に悪影響があるのではないかと心配になりますよね。

今回は妊娠中の冷えについて、原因や対策、胎児に与える影響をご紹介します。

妊娠中に冷えやすいのはどうして?

冷え性 女性 日本人

女性はもともと冷えやすい体質の人が多のですが、妊娠するとホルモンバランスの変化などから、さらに冷えやすい体質に変わるとされています。妊婦さんが冷えやすい主な原因には、次のようなものが挙げられます。

ホルモンバランスや自律神経の乱れ

睡眠不足や体調不良、ホルモンバランスの変化などで、妊娠中はストレスが溜まって自律神経が乱れやすくなります。

自律神経が乱れると、全身の筋肉が無意識にこわばって血管が縮みやすくなり、血の巡りが悪くなって冷えにつながるといわれています。

血行不良

妊娠中は大きなお腹を支えるために、お腹を突き出すような姿勢を取っています。この姿勢が骨盤に負担をかけ、全身に血液が巡るのを妨げてしまい、冷えにつながることがあります。

また、大きなお腹で思うように動けずずっと同じ姿勢でいることや、妊娠中の体型にあっていない下着で体を締め付けることも、血流を妨げる原因になります。

運動不足による筋肉量の低下

妊婦さんは運動不足になりがちです。運動不足になると全身の筋肉量が減ってしまうので、妊娠していないときと比べて筋肉運動による発熱や血流が機能しなり、冷えやすい状態になります。

環境

妊娠中に限ったことではありませんが、冬の寒い日に体が冷えやすくなるのはもちろんのこと、夏場も冷房の効いた部屋で過ごすことで、知らない間に体が冷えがちです。

妊娠中の冷えは赤ちゃんに影響するの?

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妊娠中の冷えがお腹の赤ちゃんに与える影響については、医学的な根拠ははっきりしていません。

ただ、妊娠中に体が冷えると、ママの体には次のような影響が出る可能性があります。

  • お腹が張りやすくなる
  • 腰痛や便秘になりやすくなる
  • 足がむくみやすくなる
  • 足がつりやすくなる

これらの症状は妊娠中に起こりやすいものなので全ての原因が冷えというわけではありませんが、いずれかの症状が見られたら、体が冷えていないかチエックしてみましょう。

また妊娠中の冷えは、出産にも影響する可能性があります。

体が冷えると筋肉が硬くなり、血行が悪化します。そのため子宮がうまく収縮できず、本来お産が進むに連れて強くなるはずの陣痛が、強くならない可能性があります。

陣痛が弱いと子宮口が順調に開かず、出産に時間が掛かってしまうなどの影響が出る可能性が示唆されています(※1)。

妊娠中の冷え対策は?

部屋 温まる ミルク

赤ちゃんに直接影響がないとはいえ、快適な妊娠生活を送るために、冷えはできるだけ改善していきたいものですね。そのためには、普段の生活のなかで次のことを心がけるのがおすすめです。

服装を見直す

体を締め付ける下着や靴は血流を悪くして冷えに繋がるので、妊娠中はゆったりとした服装を心がけましょう。特に下着は、早めにマタニティ用に切り替えることをおすすめします。

素足で過ごすと体の末端が冷えてしまうため、靴下やタイツ、レギンスなどを着用しましょう。タイツやレギンスは、妊婦さん用のものが多く販売されていますよ。

夏場の冷房に注意する

冷房の効いた室内は、妊婦さんの体から徐々に熱を奪っていきます。冷房の温度には気をつけ、薄手の腹巻などで冷え対策を行いましょう。戌の日の安産祈願でも使う腹帯を着用するのもいいですね。

軽い運動をする

軽い運動は血行を促進するほか、ストレスの発散にもなります。安定期に入って医師の許可が出たら、少しずつ実践するようにしましょう。

室内でできるマタニティヨガやストレッチなどは、時間を選ばずに行えるのでおすすめです。

体を温める食事を摂る

冷たい食べ物や飲み物を摂取すると、体の冷えにつながります。食材にはできるだけ火を通し、飲み物は常温かあたたかいものにしましょう。

根菜、生姜、発酵食品などは、体を温める効果があるので、毎日の食事に積極的に取り入れたいですね。

湯船につかる

冷えの解消には、体を芯から温めることが効果的です。シャワーで済ませている人は、できるだけお風呂につかるようにしましょう。

お湯の温度は熱くなりすぎないように気をつけて、ぬるめのお湯でゆっくりと温まりましょう。つかりすぎてのぼせないように注意してくださいね。

妊婦は普段の生活から冷え対策を!

妊娠中の冷えがすぐに何か大きな病気に発展する、ということはありませんが、妊婦さんやお腹の赤ちゃんにとって、あまり良い状態とはいえません。赤ちゃんがお腹で健やかに育つためにも、妊娠中の冷えは早めに解消したいですね。

普段の生活から冷え対策を意識して、服装や食生活を見直してみてください。生活習慣を正すことで、健康的なマタニティライフにもつながりますよ。

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