妊娠超初期に飲酒してしまった…アルコールで赤ちゃんに影響が出る?

監修医師 産婦人科医 藤東 淳也
藤東 淳也 日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長... 監修記事一覧へ

妊娠中の飲酒はNGとわかっていても、妊娠にまったく気づいていない妊娠超初期にお酒を飲んでしまった人もいるのではないでしょうか。その場合、赤ちゃんに影響があるのか心配になりますよね。

今回は、妊娠に気づく前の妊娠超初期に飲酒をしてしまった場合や、妊娠超初期を過ぎた後の飲酒の影響についてご説明します。

妊娠超初期の飲酒・アルコール、赤ちゃんへの影響は?

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妊娠超初期は医学的な用語ではありませんが、一般的に妊娠0〜3週頃までを指します。妊娠超初期は、まだ妊娠に気がつかないことがほとんどなので、飲酒をしてしまう場合もあるかもしれません。

妊娠が判明してから妊娠超初期に飲酒したことを心配する人は多いですが、妊娠超初期にアルコールを摂取しても必ずしも赤ちゃんに影響があるというわけではありません(※1)。

妊娠超初期にあたる0〜1週目は、そもそも赤ちゃんのもととなる受精卵ができていない状態です。2週目に受精卵ができ、3週目で受精卵が子宮に着床して妊娠が成立します。妊娠超初期は赤ちゃんの重要な器官が作られる前にあたるので、他の週に比べると影響が少ないと考えられています。

妊娠にまったく気がつかない時期に飲酒をしてしまったことは仕方がないことなので、妊娠がわかったらすぐに飲酒をやめるようにしてくださいね。

また、妊活中または妊娠の可能性が少しでもあるときは、お酒を控えるようにしておきましょう。

妊娠超初期を過ぎてから飲酒すると赤ちゃんに影響はある?

内蔵 腸

妊娠超初期を過ぎてから飲酒をした場合は、胎盤を通じてアルコールが赤ちゃんの体に入り、流産や死産が起こる頻度が高まるといわれています(※2)。

また、妊娠中の飲酒は「胎児性アルコール症候群」を引き起こす恐れがあるとされています(※3)。

その明確な理由はまだはっきりしていませんが、アルコールの代謝によって発生する物質が赤ちゃんの細胞を傷つけたり、アルコールが赤ちゃんの神経細胞の発育に必要な物質の作用を阻害したりと、いくつかの原因が重なって起こるではないかと考えられています(※4)。

胎児性アルコール症候群ってどんな症状が起きるの?

新生児 赤ちゃん 手

胎児性アルコール症候群になると、赤ちゃんに以下のような先天異常がみられます(※2,3)。

● 特異的な顔貌(平坦な顔面中央、薄い上口唇など)
● 低身長や低体重などの発育の遅れ
● 脳や脊髄の障害

特異的な顔貌や低体重は少しずつ目立たなくなりますが、脳や脊髄などの障害は不可逆的で治ることはありません。

また、成長にともなって、ADHD(注意欠如・多動性障害)やうつ病、依存症といった精神面に影響が現れることもあります(※3)。

なお、胎児性アルコール症候群の発生数は、1,000人あたり1.06〜113.22と調査によって大きな差があります(※3)。

妊娠中のアルコール摂取量の上限はあるの?

ビール お酒

日本では、妊娠中のアルコール摂取量については妊娠全期間を通して「この量までなら安全」といった明確な指標はありません(※4)。

アルコールの吸収や代謝の力には個人差が大きいため、たとえ少量であっても赤ちゃんに悪影響を与える恐れがあるからです。

厚生労働省や日本産科婦人科学会も、全妊娠期間を通して禁酒をすることを推奨しています。

胎児性アルコール症候群は飲酒さえしなければ予防できるため、妊娠がわかったらお酒を飲むのはやめましょう。

妊娠中の飲酒は控えよう

妊娠中の飲酒は禁忌ですが、妊娠に気づく前の妊娠超初期に飲酒してしまっても、あまり心配しすぎないようにしましょう。気にしすぎてストレスが溜まると、かえって妊娠中の体によくありません。

妊娠が判明したり、少しでも妊娠の可能性があったりするときは、飲酒はやめてくださいね。

妊娠中はアルコールの他にも禁忌とされているものがあり、我慢することが多くて大変と思うこともあるかもしれません。代用できるものでリフレッシュするなど工夫しながら、健康的なマタニティライフを過ごしていけるといいですね。

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