妊娠中の飲酒は、流産や死産、胎児性アルコール症候群などを引き起こすリスクが高まるため、控えるべきだといわれています。ただ、妊娠に気がつきにくい妊娠超初期には、知らずに飲酒をしてしまった人もいるかもしれません。その場合にも赤ちゃんに影響があるのか、心配になりますよね。そこで今回は、妊娠超初期に妊婦さんが飲酒をしてしまった場合、赤ちゃんに影響があるのかどうかをご説明します。
妊娠超初期の飲酒・アルコール、赤ちゃんへの影響は?

妊娠超初期とは、一般的に妊娠0週〜4週頃までの期間を指します。妊娠超初期は妊娠に気がつかず、妊婦さんが飲酒してしまうこともあるかもしれません。
妊娠が分かったあと、飲酒したことを心配する人も多いかと思いますが、妊娠超初期にアルコールを摂取したからといって、妊娠を諦めなければいけないわけではありません(※1)。
妊娠中の飲酒については、その量や時期に関して明確な影響範囲が分かっておらず、妊娠超初期の飲酒で胎児に必ず影響が出るとは言い切れないのが事実です。
妊娠中に摂取したアルコールは、胎盤を通じて胎児の体に入るので、胎盤がまだ作られていない妊娠超初期であれば、比較的影響が少ないと考えることもできます。
妊娠に気がつかない間にアルコールを摂取してしまうのは仕方がないことですが、妊娠がわかったらすぐにアルコールを控えるようにしましょう。
妊活中であれば、できれば妊娠前からお酒を控えるのが赤ちゃんのためには安心です。
妊娠初期に飲酒すると、赤ちゃんに影響はある?

妊娠超初期を過ぎ、妊娠初期に飲酒をすると、アルコールによる影響が強く出始めます。
妊娠中に飲酒をすると、母体からの血管と胎盤を通じてアルコールが赤ちゃんへと渡ってしまいます。
赤ちゃんの体は大人とは比べものにならないほど小さく、アルコールに対する免疫もありません。アルコールを摂取してしまった赤ちゃんは、長い間、酔っぱらっているような状態になります。
また、妊娠後期より初期の飲酒のほうが、胎児に影響を与えるリスクが高いと考えられています。ただし、胎児の成長や脳の障害には、妊娠中期から後期の飲酒が影響するとされています。
妊娠初期だけでなく、妊娠全期間を通して妊婦さんがアルコールを摂取すると、何らかの影響が出る可能性があると考えましょう。
妊娠中に飲酒すると、必ず胎児性アルコール症候群になるの?
母体が摂取したアルコールによって赤ちゃんが患う先天性疾患のことを「胎児性アルコール症候群」といいます。
胎児性アルコール症候群になると、お腹のなかでの成長が遅くなってしまい、低体重・低身長の赤ちゃんが生まれてくる場合があります。
また、無事に生まれてきても、小さな眼球や平らな顔、低い鼻といった外見の奇形や、学習、記憶、注意力、コミュニケーション能力の遅れ、ADHDやうつ病などの精神科的な問題、難聴・直線歩行困難といった脳の障害など、さまざまな問題が生じることもあります(※1,2)。
しかし、飲酒したからといって必ず胎児性アルコール症候群になるわけではなく、日本では、1~2万人に1人ほどの割合で発症しているといわれています(※3)。
妊娠超初期のアルコール摂取量の上限は?

妊娠超初期に限らず、妊娠全期間を通してのアルコール摂取については、妊婦さんの体型や体質によるところもあるので、「この量であれば大丈夫」といった明確な指標はありません。
欧米では、胎児性アルコール症候群の危険はないとされる飲酒量を「1日1ドリンク、週に7ドリンク以下(1ドリンク:純アルコール10g、ビール250ml程度)」としています。
しかし、厚生労働省は、体格が小さめの日本人にはこの基準を当てはめて考えないほうが良いとしています(※4)。
胎児性アルコール症候群は、妊娠中に飲酒をしなければ予防できる疾患です。「ストレス解消のために少しくらいの飲酒くらいなら」と考えるよりは、出産して授乳を終えるまでは飲酒をしないと決めた方が、余計な心配をせずに済みます。
妊娠超初期は妊娠に気がついていないことがほとんどですが、妊娠の可能性があるときや、妊娠を望む人は、アルコールの摂取を控えることをおすすめします。
妊娠超初期の飲酒・アルコールは考えすぎないように
妊娠中に飲酒をするのは禁忌とご説明しましたが、妊娠が判明する前の妊娠超初期に飲酒してしまうことはあるかもしれません。
「妊娠に気がつかないまま、お酒を飲んでしまっていた」という妊婦さんでも、健康な赤ちゃんを産んだという人は多くいます。
気にしすぎてストレスが溜まっても胎児に悪影響があるため、気がつかなかったときの飲酒は仕方がないと前向きに考えたほうがいいでしょう。自分を責めず、以後は飲酒しないように気をつけていきたいですね。
また、妊娠初期の飲酒による胎児への影響がどうしても気になる人は、出生前診断などで胎児に異常がないか調べるという手もあります。夫婦でよく話し合い、検討してみてもいいかもしれません。