妊娠について知っておきたい基本のこと!仕組みや兆候、不妊とは?

監修専門家 助産師 佐藤 裕子
佐藤 裕子 日本赤十字社助産師学校卒業後、大学病院総合周産期母子医療センターにて9年勤務。現在は神奈川県横浜市の助産院マタニティハウスSATOにて勤務しております。妊娠から出産、産後までトータルサポートのできる助... 監修記事一覧へ

妊娠・出産は、本当に神秘的で不思議なことです。妊娠したいと思ってすぐにできるわけでもなく、妊娠したとしても何ごともなく赤ちゃんが生まれてくるわけではありません。「ママになりたいな」と思ったら、まずは妊娠について基本的なことは知っておきたいですね。今回は、妊娠するまでの流れや妊娠兆候、不妊の原因など、妊娠について知っておきたいことについてご説明します。

妊娠までの流れについて

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「性交渉を行うと、妊娠する可能性がある」というのは、大人の女性であれば知っていることだと思いますが、具体的にはどのような流れで妊娠に至るのでしょうか?

1. 卵子が体内で育つ

卵巣 卵胞 子宮

女性の卵巣のなかでは毎月20~30個ほどの原子卵胞が育ち、そのうちの1つが成熟します。

2. 卵子が排卵される

排卵 卵巣 卵子 卵管 卵管采

成熟した卵胞の膜が破れ、中から卵子が飛び出て卵巣の外に出ます。排卵された卵子は卵管へと送られ、精子との出会いを待ちます。

3. 卵子と精子が受精する

受精 卵子 精子

性交により女性の腟内に射精された数億個の精子のうち、200個以下の精子だけが卵管までたどり着きます。

卵管にたどり着いた精子のうち、1個だけが卵子と受精し、受精卵が作られます。

5. 受精卵が着床する=妊娠成立!

着床 受精卵 卵管 子宮

受精卵は細胞分裂をしながら、卵管から子宮へと移動していきます。子宮にたどり着いた受精卵は、子宮内膜に根を張り、着床の準備を始めます。

着床が完了してはじめて「妊娠」が成立します。

妊娠しやすいタイミングについて

【740px】基礎体温表(低温期・高温期のみ)

妊娠したい人も、今はまだ妊娠を希望しない人も、「妊娠しやすい日」は気になりますよね。

卵子と精子の寿命や、受精までの時間を考えると、「排卵の3日前からの約3日間」が妊娠しやすいタイミングといえます。つまり、排卵日よりも少し前に性交渉をすることで、妊娠する可能性が高まるというわけです。

排卵は、次回生理予定日の約14日前、基礎体温でいうと低温期から高温期へと移り変わる数日間のうちで起こっていると推測されます。

排卵のタイミングをより正確に知るためには、排卵検査薬を使ったり、基礎体温表を2~3ヶ月つけたりしてみましょう。

妊娠しやすい体づくりについて

野菜 新鮮

妊娠する可能性を高めるには、先述のとおり妊娠しやすいタイミングを見極め、性交渉を行うことが大切です。

しかし、乱れた食生活や睡眠不足、過度なストレスなどによって、体に備わっている生殖機能が低下してしまうと、妊娠しづらくなる恐れもあります。

妊活中の人は、栄養バランスのとれた食事や十分な睡眠、適度な運動を心がけることで、赤ちゃんを授かりやすい体づくりがしたいですね。

また、胎児の「神経管閉鎖障害」という先天性の障害の発症リスクを下げるためにも、妊活中は適量の葉酸サプリメントを摂取しておきましょう(※1)。

妊娠兆候(妊娠初期症状)について

女性 吐き気 つわり

妊娠すると、個人差はありますが、様々な妊娠兆候が見られます。「妊娠したかも?」と気づく初期症状として吐き気(つわり)がよく知られていますが、そのほかにも次のような症状があります。

● 基礎体温の高温期が続く
● わずかな不正出血(着床出血)
● 胸の張りや痛み
● 体のだるさや眠気
● 味覚や嗅覚の変化
● 情緒不安定
● 下腹部痛や腰痛

妊娠検査薬を使う時期について

排卵検査薬 女性

妊娠しやすいタイミングに性交があり、妊娠初期症状らしき体の変化が見られると、妊娠したのかどうかすぐに確かめたくなるかもしれません。

しかし、正確に妊娠判定をするなら、生理予定日を1週間ほど過ぎてから妊娠検査薬を使いましょう。検査薬を試すタイミングが早すぎると、間違った判定結果に振り回されてしまうこともあります。

妊娠検査薬で陽性が出たら、できるだけ早く産婦人科を受診し、赤ちゃんを包む「胎嚢(たいのう)」や心拍が確認できるかどうか診てもらいましょう。

ただし、赤ちゃんの心拍がほぼ確実に確認できるのは、妊娠6週以降です。生理予定日1週間後の時点ではまだ妊娠4~5週頃なので、胎嚢が確認できたとしても、妊娠確定には時間がかかる場合もあります。

妊娠できない…不妊の可能性について

夫婦 喧嘩

妊娠しやすいタイミングで性交渉をしても、なかなか妊娠できないというケースもあります。その場合、男性か女性、もしくは両方に不妊となる原因がある可能性もあります。

男性の場合、精子を作る機能に問題がある「造精機能障害」や、精子の通り道に問題がある「精路通過障害」、性交渉がうまくできない「性機能障害」などが不妊の原因として考えられます。

女性の場合は、排卵がうまくされない「排卵障害」や、子宮や卵巣の病気・機能不全、精子を異物として攻撃してしまう「抗精子抗体」などによって、妊娠しづらくなっていることがあります。

また、男女ともに、年齢による精子・卵子の老化が妊娠を妨げていることも。半年~1年ほど避妊をせず性交を行っても妊娠しない場合、夫婦そろって不妊検査を検討してみるのも一つの方法です。

妊娠についてパートナーと話し合う機会を

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妊娠は、排卵や射精、受精のタイミングなど、いくつもの奇跡が重なって叶うもの。実際にお腹に赤ちゃんを授かるのは女性ですが、パパとなる男性パートナーにも、妊娠について基本的なことは知っておいてもらいたいところです。

子供を産みたいのかどうか、産むのならいつがいいのかなど、2人で事前に話し合っておくのはとても大切なことです。なかなか切り出しにくいと感じる人もいるかもしれませんが、お互いの考えを共有したうえで、納得のいく家族計画を練ることができるといいですね。

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