「そろそろ赤ちゃんが欲しいな」と思ったら、まずは自身の妊娠力を高めることが大切です。そのためには、腸内環境を整えたり、貧血を改善したりといったことも大切ですが、まずは卵子の質を上げて、排卵がスムーズにできる体づくりから始めてみましょう。それでは、どのようにすれば卵子の質を上げて妊娠力を向上させることができるのでしょうか。今回は、女性の食事に焦点を当てて、卵子の質を高める食べ物をご紹介します。
妊娠力を高めるには?

妊娠適齢期は、ホルモンバランスが良好で、心身や卵巣機能、卵細胞が元気な期間である20代のあいだ、遅くとも35歳までだといわれています。
それを過ぎると、残念ながら年齢を重ねるごとに妊娠力は落ちていき、45歳を超えると、体外受精や顕微授精などを行っても、ほとんどの場合、妊娠できません(※1)。
しかし、妊娠できない原因となるのは、加齢だけではありません。もともとの体質や環境などによって、個人差があるものです。そのため妊娠するためには、何歳であろうと、妊娠しやすい体を作り、妊娠力をアップさせることが重要です。
妊娠力を高めるためには、何よりも規則正しい生活を送って、健康な体を作ること。これまでの食生活や睡眠、生活習慣を見直す必要があります。
喫煙をしている人はできるだけ禁煙を心がけ、ストレスがたまらないようにリラックスできる環境を整えましょう。夜はゆっくり眠ることも大切です。
次からは、妊娠力を向上させる食材について詳しくご説明します。
妊娠力を高める食材は?

妊娠力を高めるためには、母体が健康である必要があるので、まずはバランスの良い食事をとることが大切です。下記のような栄養素をバランスよく摂取することで、妊娠しやすい体を作ってきましょう(※2)。
たんぱく質
たんぱく質は、筋肉や臓器、皮膚、髪の毛の材料となり、体を作るために重要な栄養素です。妊娠したら、胎児の成長にもたんぱく質は欠かせません。
肉、魚、卵、乳製品、大豆などに含まれています。
ビタミンE
ビタミンEは「トコフェロール」という化学名を持っていますが、これは「子供を産ませる」という意味があります。女性ホルモンの代謝に関与しており、不妊治療に使用されることもあります。
ナッツ類や、かぼちゃ・モロヘイヤなどの緑黄色野菜、あんこうのキモ、うなぎの蒲焼などに多く含まれます。
亜鉛
亜鉛は、女性ホルモンの分泌を仮性化させてくれます。男性の精子の形成にも必要とされているので、夫婦で一緒に摂りたい栄養素です。
牡蠣や豚レバー、レンズ豆、大豆などに多く含まれています。
鉄
女性は毎月の月経があるため、鉄不足になりがちです。そのうえ妊娠すると、鉄は赤ちゃんに優先的に運ばれるので、今のうちから蓄えておきましょう。
ひじきや岩のり、レバー、赤身の肉や魚、大豆などに多く含まれます。
葉酸
葉酸は、赤ちゃんの体や脳、神経などを作るのに欠かせない栄養素です。特に赤ちゃんの脳の元になる神経管は、受精後約1ヶ月で完成するため、妊活中から葉酸を摂っておくことが非常に重要です。
葉酸は、ブロッコリー、菜の花、モロヘイヤ、ほうれんそう、枝豆、ひよこ豆など、野菜や肉類全般に含まれるため、比較的摂りやすい栄養素です。
卵子の質が下がるって本当?妊娠力に影響がある?

女性は35歳を過ぎると妊娠力が下がるということは先に説明しましたが、それと同時に流産率が高くなります。これは、卵子が老化して染色体異常や、受精後の発育が悪いことによると考えられています(※1)。
また、女性は卵子を約200万個持って生まれてきますが、排卵が起こる思春期頃には30万個ほどまでに減少し、37歳頃を過ぎると、さらに急速に減少します(※1)。高齢になればなるほど、卵子の質が下がるだけでなく、量も減っていき、妊娠するのが難しくなるのです。
卵子の質が下がる原因ははっきりとわかっておらず、卵子の質が下がるのは生理的に当然のことですが、卵子の質が下がるスピードを遅くすることはできると考えられています。
そのためには、自分が健康でいることが第一です。規則正しい食生活を心がけ、アンチエイジングを行いましょう(※3)。
卵子の質を上げる食材とは?

卵子の質を上げるには、「抗酸化作用」という、酸化によるサビを防ぐ力、つまりアンチエイジングする力が高い食材を摂るのが効果的です。毎日の食事をとおして、卵子へのダメージを減らしましょう。
抗酸化物質の代表的なものは、ビタミン類を多く含む食品です。卵子の質を高めるだけでなく、全身の老化を防ぐことに役立ちますよ。
抗酸化作用のある食材(※2)
- ビタミンA:レバー、アンコウ肝、ウナギ肝
- ビタミンC:柑橘類、いちご、赤ピーマン
- ビタミンE:アボカド、かぼちゃ、アーモンド
- カロテノイド(βカロテン):モロヘイヤ、かぼちゃ、ニンジン
- カロテノイド(αカロテン):ニンジン、かぼちゃ、いも
- カロテノイド(リコピン):トマト、柿、すいか
- カロテノイド(アスタキサンチン):えび、かに、鮭(いくら)
- コエンザイムQ10:牛肉、いわし、落花生
- カテキン:緑茶
卵子の質を上げるサプリメントや漢方もあるの?

食べ物以外でも、体の内側から卵子の質の向上を助けるものもあります。直接的に作用するわけではありませんが、最近では妊活にサプリメントや漢方を取り入れる人も多くいますよ。
サプリメント
サプリメントであれば、上記でご紹介した栄養素を含むものが効果的です。また、不妊症の人に人気があるのが、南米原産の植物「マカ」のサプリメントです。マカには代謝を良くして生殖機能を高める効果が期待できるといわれています。
漢方薬
東洋医学では、血流を促し、冷えを改善し、精力を蓄えることで、卵子の質が高められると考えられています。
その代表的な漢方薬としては、体を温め、月経トラブルをはじめ女性特有のさまざまな症状を改善する「当帰芍薬散」がありますが、漢方薬は、それぞれの体質や症状にあわせたものを服用することが大切です。まずは、漢方薬局などで相談すると良いですね。
卵子の質と妊娠力を高めるために、食生活を見直そう

女性にとっての妊娠力とは、主に、卵子や卵巣の力と、子宮の力のことを指します。どこが欠けてもうまくいきませんが、まずは受精能力のある成熟した卵子を排卵することが大切です。
少しでも妊娠の確率を上げるために、食生活や生活習慣を整えることで体質を改善し、卵子の質を高める体づくりをしていきたいですね。
また、望んでいてもなかなか妊娠できないときは、一度婦人科や不妊治療を行っているクリニックなどで検査を受けることをおすすめします。もしかしたら、治療が必要な病気が不妊の原因に隠れているかもしれません。
自分で改善に取り組むことも大切ですが、必要なときは医療の力を借りることも検討してくださいね。