赤ちゃんは、自分の顔をこすっったりかいたりして、赤くしてしまったり、傷つけてしまったりすることがあります。それでは、なぜ赤ちゃんは顔をこすることがあるのでしょうか?今回は赤ちゃんが顔をこすったりひっかいたりする原因や対処法についてご紹介します。
赤ちゃんが顔をこする、ひっかく原因は?
赤ちゃんが自分の顔をこするという行動そのものは、決して珍しいことではありません。顔をこする原因としては、主に以下のものが考えられます。
眠たいときの無意識の行動
人は眠くなると、眼球内の水分分泌量が減り、乾燥する傾向にあります。すると、人は無意識に目をこすって、涙が出るように刺激を与えるといわれています。
赤ちゃんの場合はまだ上手く手を動かせないため、目ではなく顔をこすることになってしまいます。これは生理現象として起きている行動なので、特に心配する必要はありません。
皮膚のかゆみ
乳児湿疹やアトピー性皮膚炎などの肌トラブルによって肌にかゆみが出ると、顔をこするようになります。爪が伸びていると、ひっかき傷ができてしまうので注意が必要です。
赤ちゃんが顔をこする、ひっかく原因になる肌トラブルは?
赤ちゃんの皮膚は薄くて柔らかく、敏感なので、傷つきや湿疹が起こりやすいのが特徴です。ここでは、赤ちゃんによく見られる肌トラブルをご紹介します。
乳児湿疹
乳児湿疹とは、新生児期から乳児期にかけて現れる湿疹の総称のことです。乳児湿疹は細かく分けると主に以下のような湿疹があります。
新生児ニキビ
新生児ニキビは、生後28日未満の新生児によく見られます。
新生児は皮脂の分泌が盛んになっているため、顔で分泌された皮脂が毛穴に詰まり、そこに細菌が感染することで、新生児ニキビが起きます。
乳児脂漏性湿疹
乳児脂漏性湿疹になると、おでこやまゆ毛、髪の生え際などにクリーム色のフケのようなものや、黄色味を帯びたかさぶたのようなものが現れます。
かゆみはあまりありませんが、治療しないで放っておくと細菌感染によって赤く腫れるなど炎症を起こすことがあります。乳児脂漏性湿疹も、ママからひきついだホルモンによって皮脂が多く分泌されることが原因です。
乾燥性湿疹
生後2~3ヶ月を過ぎると、皮脂の分泌が減っていき、肌が乾燥します。この乾燥が原因で起こるのが乾燥性湿疹です。
乾燥性湿疹は、頬や手首など露出する部分や、お腹や背中など面積が広い部分に現れます。
アレルギー反応
卵や小麦、そばなどアレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を食べて30分以内に、アレルギー反応として皮膚にミミズ腫れのような発疹が現れることがあります。
この他にも目の充血、ひどい場合には咳込みや喘鳴など呼吸の乱れた症状が起きることがあります。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、乳児期では2ヶ月以上、その他では6ヶ月以上湿疹を起こす病気です。アトピー性皮膚炎による乳児期の湿疹は頭や顔から始まって、体幹や四肢に下降してきます。
アトピー性皮膚炎の原因についてはまだはっきりしていませんが、アレルゲンを体内に取り込んだり、ストレスを感じたりと、さまざまな要因が重なって起こると考えられています(※1)。
あせも
赤ちゃんの体は大人よりも汗をかくため、あせもができやすくなっています。汗をかきやすい背中やお腹にできやすく、顔でいえば、おでこあたりによくできます。
あせもの症状としては、かゆみを伴なう赤い湿疹が挙げられますが、新生児では、かゆみがあまりない透明や白色の湿疹が現れます。
赤ちゃんが顔をこする!ひっかくときの対処法は?
赤ちゃんが顔をこする原因が肌トラブルのときは、その肌トラブルに合わせたケアを行う必要があります。原因別の対処方法は、以下の通りです。
新生児ニキビ・乳児脂漏性湿疹はオイルでケア
新生児ニキビと乳児脂漏性湿疹の原因は皮脂の過剰分泌なので、対処法も基本的に同じです。入浴時に赤ちゃん用の石けんをしっかり泡立て、皮膚の赤や黄色い部分を優しく、丁寧に洗いましょう。
洗っても乳児脂漏性湿疹のかさぶたが取れない場合は、ベビーオイルやオリーブオイルをつけたコットンを5〜10分ほど患部に当ててください。ふやけてきたら、ベビー用シャンプーで優しく洗うと、かさぶたが取れやすくなります。
また、シーツや枕カバーなどの寝具はできるだけ毎日交換して、清潔な環境を作りましょう。
新生児ニキビと乳児脂漏性湿疹は、症状が軽ければ自宅でも対処することができます。ただし、新生児ニキビが膿んだ状態になったり、乳児脂漏性湿疹のかさぶた状の湿疹が厚くなり、赤みやかゆみが出てきたりしたら、小児科もしくは皮膚科を受診しましょう。
乾燥性湿疹はしっかり保湿を
入浴中に洗いすぎると肌の乾燥が悪化してしまうので、赤ちゃん用石鹸でしっかり泡を立て、優しく洗います。
お風呂あがりは特に乾燥しやすいので、入浴後はできるだけ早くベビー用ローションやクリームを塗って保湿してあげましょう。きちんと保湿ケアをすれば、乾燥性湿疹は自然と治りますが、炎症がひどかったり、かゆみがひどかったりした場合は病院を受診してください。
アトピー性皮膚炎は「低刺激」がポイント
アトピー性皮膚炎は乳児湿疹と見分けがつきにくいです。保湿のケアをしても一向に症状がよくならないときは、アトピー性皮膚炎の可能性があるので、小児科か皮膚科を受診してください。
刺激によってアトピー性皮膚炎を誘発することがあるので、体を優しく洗い、低刺激のシャンプーや石鹸を使いましょう。お風呂あがりに、ベビーローションや保湿クリームを塗って乾燥を防ぎます。
唾液や汗が肌に触れることが刺激になって、アトピー性皮膚炎が悪化することがあるので、唾液や汗で肌が汚れていたら、濡らしたガーゼで優しく拭き取ってあげましょう。
あせもは汗を残さないように
散歩やお昼寝をして汗をかいたときは、シャワーで流してあげましょう。通気性と吸湿性のよい服を着せるのもおすすめです。
夏の部屋の温度は、外の気温よりマイナス5度を目安に設定します。赤ちゃんに冷風が直接当たらないように風向きを調整してください。
ケアしてもあせものかゆみが続く場合や、とびひになってしまった場合は、医師に診てもらいましょう。
赤ちゃんが顔をこする、ひっかくときに役立つアイテムは?
上記のような対処を行っても、赤ちゃんが顔をこすったりひっかくのを止められないこともあります。その場合は、顔をこすったりひっかいて傷をつけないように、以下のようなアイテムを使って対策してみてください。
爪切り
赤ちゃんの爪は小さく柔らかいので、大人用ではなく赤ちゃん用の爪切りを使ってください。はさみ型と爪切り型がありますよ。
爪やすり
「爪切りは赤ちゃんの指まで切ってしまいそうで不安…」というママやパパは、爪やすりで定期的に爪をお手入れするのもおすすめです。安価でコンパクトな手動タイプと、簡単に行える電動タイプがありますよ。
ベビーミトン
手をカバーするミトンをつければ、顔をこすっても傷がつくことはありません。赤ちゃんの肌に優しい素材のものを選び、よだれで濡れたら交換することを忘れないでくださいね。
赤ちゃんが顔をこすらずに済むようケアを
赤ちゃんが顔をずっとこすっていると、気になってしまいますよね。前述のケア方法を行っても症状がよくならない場合は、小児科か皮膚科を受診しましょう。
赤ちゃんの肌トラブルは、肌を清潔に保つことで基本的に予防することができます。赤ちゃんが顔のかゆみでつらい思いをしないように、赤ちゃんの肌ケアを日々きちんと行っていけるといいですね。