生まれたばかりの赤ちゃんの皮膚は、薄くて繊細。ちょっとしたことで、かぶれやひび割れが起きるものです。赤ちゃんの肌トラブルにはさまざまなタイプがあり、肌の乾燥により起こるものを「乾燥性湿疹」といいます。今回は赤ちゃんの乾燥性湿疹について、原因や症状、治療法、ホームケアの方法などをご紹介します。
赤ちゃんの乾燥性湿疹とは?原因は?
ママのお腹のなかで守られていた赤ちゃんは、外の世界に出ると、さまざまな刺激を受けます。乾燥や寒さもその刺激のうちのひとつです。
赤ちゃんは生後2ヶ月頃までは皮脂が大量に分泌されているので、肌は乾燥から守られています(※1)。しかし、その時期を過ぎると皮脂の分泌が低下するため、肌が乾燥しやすくなります。
この乾燥に耐え切れずに肌が炎症を起こしてしまうのが、乾燥性湿疹です。皮脂欠乏性湿疹と呼ばれることもあります。
ちなみに、生後に過剰分泌された皮脂が原因で起こる湿疹は「乳児脂漏性湿疹」といい、新生児のおでこや頬には「新生児ニキビ」が現れることもあります。こうした新生児期から乳児期にかけて現れる湿疹をひと括りにして「乳児湿疹」と呼びます。
赤ちゃんの乾燥性湿疹の症状は?
肌が乾燥することで、肌の表面にある角質層の水分が不足して、ひび割れしたり、粉をふいたような状態になったりします。肌は乾燥すると、バリア機能が弱まってしまうので、ちょっとした刺激でもかぶれやかゆみ、赤みが現れるのです。
乾燥性湿疹は乾燥した外気に触れると起こりやすくなるので、お腹や背中など面積が広い部分、首、頬や手足(膝・肘)など露出している部分に多く見られます。
赤ちゃんの乾燥性湿疹の診断方法は?
乾燥性湿疹は、基本的に視診によって診断されます。
しかし、皮膚の湿疹(特に赤い部分)がひじ・首・耳・膝などに強い場合などは、アトピー性湿疹・皮膚炎の可能性があります(※2)。
赤ちゃんの乾燥性湿疹の治療法は?病院へ行く目安は?
肌を保湿して乾燥を防げば、乾燥性湿疹は自然に治まっていくのが一般的です。肌全体、特に乾燥がひどい部分に赤ちゃん用の保湿クリームや乳液などを塗ってあげてください。
赤み、あるいはかゆみがひどい場合には、小児科もしくは皮膚科を受診しましょう。乾燥性湿疹と診断され、赤みがあり炎症が強ければ、炎症を鎮める弱いステロイド外用薬が処方されることもあります。
外用薬の効果が出てくるには、3日から1週間ほどかかるので、かゆみがひどくて赤ちゃんが患部をかいてしまいそうなときは、抗ヒスタミン薬の内服薬が処方されることもあります(※3)。
かゆみが強い場合に放置しておくと、赤ちゃんが無意識にかき壊して、とびひを引き起こしてしまうことがあるので、できるだけ早めに対処するようにしましょう。爪で患部を引っかいて悪化するのを防ぐために、定期的に爪を切ることも大切です。
赤ちゃんの乾燥性湿疹のホームケアは?
乾燥性湿疹を予防するには、普段から赤ちゃんの乾燥に気を配ることが大切です。乾燥しやすい生後2~3ヶ月以降の赤ちゃんは、着替えるときやおむつ替えのときなどに、赤ちゃん用の保湿クリームやローションを使って、こまめに保湿ケアをしてあげましょう。
入浴中にタオルでゴシゴシこすって肌を洗いすぎると、乾燥がひどくなってしまいます。赤ちゃんの体を洗うときは低刺激の石けんをしっかり泡立て、泡で触るようなイメージで優しく洗ってあげてください。また、シャワーで洗い流すのもよいでしょう。
熱いお湯に長時間浸かると皮脂がとれてしまうので、38~39度のぬるま湯に最長5分程度浸かるのが目安です。入浴後は体の水分が減って乾燥がひどくなるので、お風呂あがりは、できるだけ早く保湿ケアを行うようにしましょう。また、タオルで拭くときはこすらず、やさしく拭いてください。
また、加湿器を使ったり、洗濯物を部屋干ししたりして、室内の乾燥を防ぐことも大切です。暖房を使うと、湿度が下がりやすくなるので注意が必要です。
赤ちゃんの乾燥性湿疹の予防は普段の保湿ケアから
赤ちゃんの肌で乾燥性湿疹が起きると、かゆみや痛みが生じて、赤ちゃんがつらい思いをすることになります。また、それが原因で赤ちゃんがぐずったり、機嫌を悪くしたりすると、ママやパパの負担も大きくなってしまいます。
赤ちゃんの肌が乾燥しないための工夫を普段からしっかり行い、乾燥性湿疹を予防することが肝心です。面倒だと感じることもあるかもしれませんが、赤ちゃんの肌を守るためにも、根気強く保湿ケアを続けていきましょう。