妊娠後期の腹痛の原因と対処法は?病院へ行く目安は?

監修医師 産婦人科医 間瀬 徳光
間瀬 徳光 2005年 山梨医科大学(現 山梨大学)医学部卒。板橋中央総合病院、沖縄県立中部病院などを経て、現在は医療法人工藤医院院長。産婦人科専門医、周産期専門医として、産科・婦人科のいずれも幅広く診療を行って... 監修記事一覧へ

妊娠すると、赤ちゃんがいるお腹の痛みには敏感になりますよね。妊娠後期に腹痛を感じると、「陣痛かな?」「何か問題があるのかな?」と不安になることもあるかと思います。

今回は妊娠後期の腹痛について、原因や対処法、病院へ行く目安などをご紹介します。

妊娠後期は腹痛が起きやすい?

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妊娠後期になって子宮が大きくなると、お腹の張りを感じやすくなります。お腹の張りには、痛みを伴うこともあれば、全く痛みを感じない場合もあります。

また、妊娠37週以降の正期産に入れば、陣痛がいつ来てもおかしくない状態になります。陣痛が来る前に、生理痛のような腹痛が起こることがある前駆陣痛を感じる人もいます。

これらの腹痛は出産までの経過において起こるものなので、過度に心配する必要はありません。

しかし、不正出血が伴う場合や腹痛があまりにも激しい場合などは、赤ちゃんやママの体に何らかのトラブルが起きている可能性があるので、速やかにかかりつけの産婦人科を受診してください。

妊娠後期の腹痛の原因は?病院を受診する目安は?

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妊娠後期に腹痛が起こる原因として、以下のようなものが考えられます。

お腹への刺激

内診を受けたり、ウォーキングをしたりしてお腹に刺激が加わると、子宮が収縮することでお腹が張って腹痛を感じることがあります。

まずは安静にして落ち着くかどうか様子を見てみましょう。

しばらく安静にしても腹痛が治まらず、痛みが強い場合や、痛みがどんどん強くなる場合は、何かトラブルが起きている可能性があるため、かかりつけの産婦人科に相談してください。

胎動

妊娠後期になると赤ちゃんが大きくなって力も強くなることから、痛いほどの胎動を感じる人も多くいます。基本的に、胎動による痛みの場合は病院を受診する必要はありません。

逆に、胎動が急に弱くなった、極端に少なくなったと感じるときは赤ちゃんに何かトラブルが起きている可能性があるため、速やかにかかりつけの産婦人科を受診しましょう。

また、胎動がいつもと違う様子で違和感を感じた場合も、かかりつけの産婦人科へ相談することをおすすめします。

便秘

妊娠後期になると、大きくなった子宮が腸を圧迫するため、便秘になりやすくなります。便秘が続いてしまうと、腹痛が起きることも。

妊娠中の便秘は、しっかりと水分補給を行い、食物繊維が多い食べ物を摂取することで和らぐこともありますよ。

ただし、食事や水分補給でも便秘がよくならないときは、かかりつけの産婦人科を受診しましょう。硬くなった便を出そうといきんで腹圧がかかると、早産を引き起こす要因にもなりうるので、早めに対処するようにしてくださいね(※1)。

切迫早産

切迫早産とは、早産になる一歩手前の状態です。子宮収縮が規則的かつ頻繫に起こり、子宮口が開いて赤ちゃんが出て来やすくなってしまいます(※2)

切迫早産の症状としては、腹痛の他に不正出血や破水が挙げられます。また、水っぽいおりものや少量の血が混ざったおりものが出ることもあります(※3)。

切迫早産の疑いがあるときは、速やかにかかりつけの産婦人科を受診しましょう。

前駆陣痛

前駆陣痛とは、本陣痛の前に起こる予行練習のようなもので、不規則な間隔で子宮収縮が起きてお腹が張り、腹痛を感じます。前駆陣痛であれば生理的なもので、出産が近づいている証です。

ほとんどの場合、じきに治まりますが、激しい腹痛を感じたり、腹痛が治まらなかったりしたときはかかりつけの産婦人科に連絡してください。

本陣痛

本陣痛とは、分娩前に起こる陣痛のことで、規則的な間隔で腹痛が起こります。間隔は徐々に短くなっていき、感じる痛みは強くなっていきます。

予定日が近づいていなくても、規則的に陣痛を感じるようになったときは出産が近づいている可能性があります。

陣痛の場合は、痛みの間隔が10〜15分くらいになったら病院に連絡をしますが、予定よりも早く陣痛が来ていると思われるときは、早めに出産する施設へ連絡をして指示を仰ぎましょう。

常位胎盤早期剥離

常位胎盤早期剥離とは、赤ちゃんが生まれる前に胎盤が子宮の壁から剥がれてしまうことです。

常位胎盤早期剥離では、急に激しい腹痛を感じ、お腹が板のようにカチカチに張って硬くなります(※3)。

軽症の場合は、出血量は少ないことが多いですが、中等〜重症になると、出血量が多くなり、赤ちゃんとママの命に影響が及ぶ可能性があります。

常位胎盤早期剥離は早期対処が肝心です。何か異変を感じたら、すぐにかかりつけの産婦人科へ連絡してください。

子宮筋腫

子宮筋腫とは、子宮内外にできる良性の腫瘍です。子宮筋腫ができた人の約半数が無症状ですが、子宮筋腫の大きさやできる場所によっては、お腹の痛みなどの症状が現れます(※4)。

特に妊娠中は筋腫の細胞に変化が生じることで、筋腫のある位置に痛みが出ることがあります(※5)。

痛みが強いときは、痛み止めの薬などを処方してもらえることもあるので、早めにかかりつけの産婦人科に相談しましょう。

妊娠後期の腹痛には慎重な判断を

妊娠後期の腹痛には、陣痛以外にもさまざまな原因が考えられます。母体や赤ちゃんの命にかかわることもあるので、いつもと違う腹痛を感じたときは速やかにかかりつけの産婦人科に相談するようにしてください。

また、妊婦健診へ行くと、子宮頸管の長さや子宮口の開き具合、胎児が子宮内で下りてきているかを調べ、出産が近づいているかどうかを確認してもらえます。切迫早産に近い状態の場合は生活指導を受けることもあるので、引き続き妊婦健診をしっかりと受けるようにしましょう。

妊娠後期に入れば、赤ちゃんと対面できるまでもう少しです。体調の変化に注意を払いながら、出産までの残りの日々をリラックスして過ごしてくださいね。

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