葉酸が不足するとどうなる?妊婦は貧血に?原因や症状は?

監修医師 産婦人科医 藤東 淳也
藤東 淳也 日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長... 監修記事一覧へ

妊活を始めたり、妊娠したりしてから栄養に気をつけ始めたという人も多いですよね。特に「葉酸」は不足しがちな栄養素としてよく耳にしますよね。

今回は、妊娠中に葉酸が不足する原因と症状、胎児への影響についてご説明します。

葉酸が不足する原因は?

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厚生労働省の調べによると、現在30歳未満の妊娠をしていない女性の葉酸摂取量は推奨量を下回っているのが現実です(※1)。

葉酸が不足する主な原因として考えられるのは、次の3つです(※2)。

食品からの摂取不足

生の野菜や柑橘類のフルーツを十分に食べていないと、葉酸が欠乏しやすくなります。

吸収力の低下

大量の飲酒と喫煙、てんかんの薬などは、葉酸の吸収と代謝を妨げます。

妊娠による必要量の増加

妊娠中や授乳中は、体内における葉酸の必要量が増加するため、意識して葉酸を摂取しないと不足しやすくなります。

葉酸欠乏の症状は?妊婦は貧血になるの?

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葉酸が欠乏してしまうと、次のような症状が起きます。

粘膜の炎症

葉酸は、たんぱく質や細胞が新しく作られるために必要となります。

そのため、葉酸が不足すると、口内炎や胃潰瘍といった粘膜系のトラブルや、肌荒れなどが起きやすくなります(※2)。

貧血

葉酸は、ビタミンB12と協力して、赤血球を作り出す働きもあります。赤血球は4ヶ月ほどで死滅してしまうため、葉酸が不足すると正常な赤血球を新しく作り出すことができず、「葉酸欠乏性貧血(巨赤芽球性貧血)」に陥ることがあります(※3)。

貧血がひどくなると、疲れやすくなったり、めまいや息切れがするようになったりします。

葉酸欠乏による貧血は妊娠中に起きやすく、特に30歳以上の経産婦に見られ、双子や三つ子がお腹にいる場合はさらに頻度が増えるので、体調管理に気をつける必要があります(※3)。

葉酸不足による胎児への影響は?

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葉酸は、妊婦さんが健康に過ごすためだけでなく、胎児の神経管閉鎖障害のリスクを低減するためにも必要不可欠な栄養素です(※1,4)。

神経管閉鎖障害とは、胎児の神経管がうまくつながらない先天性異常のことをいい、無脳症・二分脊椎・髄膜瘤などがみられます。

胎児の神経管ができるのは受胎後およそ28日とされているため、妊娠する1ヶ月以上前から妊娠初期までは意識的に葉酸を摂取することが推奨されています。

神経管閉鎖障害は葉酸不足だけが原因ではありませんが、葉酸を摂ることでリスクを低減することがわかっています。妊娠前から葉酸を含む食材を使った食習慣をつけたり、サプリメントを活用したりしながら、葉酸を摂取するようにしましょう。

葉酸不足を妊娠中に予防するには?

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厚生労働省の「日本人食事摂取量(2020年)」によると、20~40代の妊娠前・妊娠している女性に対して、1日の葉酸摂取量を以下のように推奨しています(※1,4)。

● 妊娠前:食事から摂る葉酸240μg+食品以外に含まれる葉酸400μg
● 妊娠初期:食事から摂る葉酸240μg+食品以外に含まれる葉酸400μg
● 妊娠中期〜後期:食事から摂る葉酸480μg

食事からだけではなく、サプリメントなどによる合成葉酸(プテロイルモノグルタミン酸)からも摂取が推奨されています。

妊婦さん自身のためにも、お腹の赤ちゃんのためにも、下記を参考に意識して接種するようにしてくださいね。

食品から摂取する

葉酸は、菜の花や枝豆、モロヘイヤ、ホウレン草などの野菜類、ひよこ豆やそら豆などの豆類、ライチやアボカドなどのフルーツに多く含まれています(※2)。

妊娠中は食事全体の栄養バランスを考えたうえで、このような食品を積極的に献立に入れてみましょう。

葉酸は熱に弱い栄養素なので、熱を加える場合は加熱時間を短くするなどして、調理方法を工夫してみてくださいね。

サプリメントで摂取する

妊娠前や妊娠初期は、食品から摂取する葉酸のほかに、吸収率の高い合成葉酸(プテロイルモノグルタミン酸)のサプリメントを活用しながら葉酸を摂るのがおすすめです(※1)。

ただし、1日あたりの葉酸摂取量の上限は1,000µgなので、くれぐれも葉酸の摂りすぎには気をつけてくださいね。

妊婦さんは葉酸不足に気をつけよう

葉酸は、妊活をスタートした時点で葉酸を摂取しておくことが理想ですが、妊娠してから知った場合も、食事やサプリメントでできるだけ早く対策を始めましょう。

なお、妊娠中は葉酸と鉄分の両方が不足することによる貧血が多く見られます(※3)。葉酸だけでなく、鉄分も意識的に摂取するように心がけてくださいね。

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