ハイリスク妊娠とは?母体や胎児への影響と妊娠中の注意点は?

妊娠をしたら、誰しもが「安全・健康に赤ちゃんを産みたい」と願うものですよね。しかし、最近では「ハイリスク妊娠」という言葉がよく聞かれるようになり、「自分も当てはまるのではないか」と不安になっている人もいるかもしれません。

今回は、ハイリスク妊娠の定義と、考えうる母体や胎児への影響についてまとめました。

ハイリスク妊娠の定義とは?

ハイリスク妊娠

「ハイリスク妊娠」の定義については、正式なものがあるわけではありません。一般的には、以下の条件を1つでも満たす場合をハイリスク妊娠としています(※1)。

● 母親または胎児が、病気になったり死亡したりする可能性が通常時よりも高い
● 分娩の前後に、合併症が発生する可能性が通常時よりも高い

また厚生労働省によると、診療報酬上は、以下のようなケースが「ハイリスク妊娠管理加算」の算定対象とされています(※2)。

● 妊娠22週から32週未満の早産
● 40歳以上の初産婦
● 分娩前のBMIが35以上の初産婦
● 妊娠高血圧症候群重症
● 前置胎盤(胎盤の位置異常)
● 妊娠30週未満の切迫早産
● 多胎妊娠
● 心疾患
● 糖尿病
● 白血病
● Rh 不適合   など

ハイリスク妊娠の要因と、母体や胎児への影響は?

なぜ 理由 原因

下記のような特定の状態や特徴(危険因子)が見られる場合、ハイリスク妊娠になりやすいといわれています(※3、4)。それぞれについて、母体や胎児への影響リスクをあわせてご紹介します。

なお、これらはあくまでも傾向であり、すべての妊婦さんに当てはまるわけではありません。

妊婦の身体的な特性

低年齢・高齢出産

15歳以下の少女が妊娠すると、子癇前症と呼ばれる妊娠高血圧症候群の一種が起こりやすくなります。また早産や貧血のリスク、胎児が貧血や低体重の状態で生まれる可能性も高くなります。

35歳以上の女性が妊娠すると、高血圧、妊娠糖尿病、胎児の染色体異常症、死産などのリスクが高くなります。さらに、子癇前症や常位早期胎盤剥離、前置胎盤などの分娩時の合併症が起きたり、難産となったりする可能性も高くなります。

低体重・肥満

体重が約45kg未満の女性が妊娠すると、2.5kg以下の低体重児を出産するリスクが高くなります。

逆に肥満の女性の場合、胎児が非常に大きくなる可能性があり、それにより難産となることもあります。肥満状態の妊婦さんは、妊娠糖尿病、妊娠高血圧、子癇前症を発症するリスクも高まります。また、妊娠期間が42週間以上長引く「過期妊娠」になりやすく、帝王切開が必要になる可能性が高くなります。

低身長

身長が150cm未満の女性は骨盤が小さいことが多く、胎児の肩が母親の恥骨に引っかかるなど、分娩時に胎児が産道を通過しにくくなる可能性があります。身長の低い妊婦さんは、早産や胎児の発育不良が起こる可能性も高くなります。

生殖器の異常

「重複子宮」や「子宮頸管無力症」など、妊婦さんの子宮または子宮頸部に構造的な異常があると、難産、流産および胎児の前置胎盤などのリスクが高まるほか、帝王切開が必要になるケースもあります。

妊婦の既存疾患

高血圧

妊娠前に高血圧だった、もしくは妊娠20週以前に高血圧が発症した場合、子宮胎盤の血流が低下するため、胎児発育遅延のリスクが増大することがわかっています。

糖尿病

既存または妊娠約10週までに起こる糖尿病の場合、先天奇形のリスクを増大させます。また妊娠中にはじまる糖尿病の場合、高血圧疾患および巨大児のリスクを伴います(※5)。

性感染症

子宮内における胎児の梅毒は、胎児死亡、先天奇形、および重度の障害を引き起こすリスクがあります。また、子宮内または周産期において、妊婦から胎児へのHIV感染のリスクは、6ヶ月以内で30〜50%といわれています。妊娠中のクラミジア感染症は、早期陣痛および前期破水のリスクを増大させます。

妊婦の生活習慣

喫煙

煙草に含まれる一酸化炭素およびニコチンは、低酸素症や血管収縮を引き起こします。その影響で、自然流産、胎児発育遅延、胎盤早期剥離、前置胎盤、前期破水、早産および死産のリスクが増大するということがわかっています。

また、流産や早産にならずに生まれてきたとしても、赤ちゃんに先天性心疾患や身体的成長・知的発達の欠陥が見られることもあります。

飲酒

妊娠中のアルコール摂取は、「胎児性アルコール症候群」を引き起こすリスクがあります。主な症状として、胎児の発達の遅れ、中枢神経系の異常、小頭症など容姿への影響が挙げられます。

過去の妊娠時の問題

過去に妊娠したときに、以下のような問題が発生したことのある妊婦さんの場合、ハイリスク妊娠となる可能性が高まります。

死産

過去に死産を経験していると、その後の妊娠における胎児死亡のリスクは増大すると言われています。ただし、慢性高血圧や糖尿病など、母体疾患の治療により、現在の妊娠における死産のリスクは低下しうるということがわかっています。

早産

以前の早産で新生児の体重が1.5kg未満だった場合、次の妊娠での早産のリスクは50%といわれています。

遺伝子異常児または先天異常児の出産

染色体異常の胎児や新生児を持った経験があると、次の妊娠で胎児に染色体異常が伴うリスクが高くなります。

現在の妊娠状況

羊水過多・羊水過少

羊水が過剰にあることにより、重度の息切れや早期陣痛が生じる可能性があります。逆に、羊水が不足していると、胎児尿路の先天奇形や、重度の胎児発育遅延がみられることもあります。

どちらも子宮の大きさが妊娠期間に相当していない場合に疑われますが、診察時の超音波検査によって偶然発見されることもあります。

多胎妊娠

双子以上の多胎妊娠の場合、早期陣痛や前置胎盤、出産後の出血のリスクが増大するといわれています。

ハイリスク妊娠の場合、気をつけたいことは?

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それでは、「ハイリスク妊娠の可能性がある」、もしくは「ハイリスク妊娠である」と判断された場合、どのようなことに留意すればよいのでしょうか?

リスクを把握する

高齢出産や既存疾患がある場合、また先ほどご紹介したようなハイリスク妊娠の危険因子がある場合、早めに産科医に相談してみましょう。遺伝性疾患や先天異常のある赤ちゃんの出産経験がある妊婦さんの場合、妊婦健診でスクリーニング検査を行い、安全な妊娠分娩管理を行うことが重要です。

生活習慣や体調を整える

妊娠前に飲酒や喫煙の習慣がある場合、ただちにやめましょう。また、高血圧や糖尿病など、先述のような既存疾患がある場合、医師と相談のうえ出産に臨む必要があります。

ハイリスク妊娠に対応した病院を探す

ハイリスク妊娠と判断された場合には、医師と相談のうえ、母体と新生児の管理体制が整ったいわゆる「ハイリスク妊娠管理」のできる病院への転院も視野に入れましょう。

特に、胎児への影響が考えられる場合には「NICU(新生児集中治療管理室)」のある総合病院を選ぶと安心です。

いつでも入院できる準備をしておく

ハイリスク妊娠と判断された妊婦さんの場合、「いつ入院してもいいように準備しておいてください」と医師から言われることもあります。

妊娠初期の段階から、入院に必要な持ち物をまとめておいたり、すでに子供がいる場合には保育園や幼稚園の送り迎えについて家族と話し合っておいたりと、入院準備を万全にしておきたいですね。

ハイリスク妊娠と判断されても、焦らないで

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近年では、高齢出産する女性も増えていることから、「ハイリスク妊娠」という言葉をよく聞くようになりました。いざ自分がハイリスク妊婦と判断されると、不安になってしまうこともあるかもしれませんが、むやみに焦る必要はありません。

医師や助産師と相談しながら、なるべく母体と胎児にリスクの少ないお産になるよう、準備を整えていってくださいね。

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