妊娠したいと考えている女性は、生理前のちょっとした体調変化にドキドキしてしまうものですよね。妊娠検査薬で陽性反応が出る前に「この症状ってもしかして妊娠かも?」と気になることもあるのではないでしょうか。今回は、妊娠検査薬が使える前の時期である「妊娠超初期」に現れやすい15個の妊娠初期症状についてご説明します。
妊娠初期症状はいつから現れるの?
妊娠初期症状が現れる時期には個人差がありますが、早い人だと生理予定日の1週間前くらいから現れます。これは、性交渉などで受精が起きてからおよそ1週間~10日後にあたります。
生理開始予定日の約2週間前に排卵が起こり、そのあと精子と卵子が受精すると受精卵が誕生します。受精卵は1週間ほどかけて卵管を通って子宮に到着し、子宮内膜に着床すると妊娠が成立します。
妊娠が成立するとすぐに妊娠初期症状(妊娠兆候)を自覚する人もいますが、一般的には生理予定日を過ぎたあと(妊娠5~6週頃)から症状が現れはじめます(※1)。
妊娠初期症状はなぜ現れるの?
「つわりを感じてはじめて、妊娠したかも…と思った」という話を聞いたことがあるかもしれませんね。吐き気などを感じるつわりは、よく知られた妊娠初期症状ですが、妊娠することによって、どうして体はそのような反応を示すのでしょうか?
妊娠初期症状が現れる原因は、はっきりとわかっていませんが、受精卵が子宮内膜に着床したあとに分泌されはじめる「hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)」や、「プロゲステロン」と「エストロゲン」などのホルモンの量が増えることが関係していると考えられています(※1)。
これらは、妊娠を継続させるために重要な役割を果たすホルモンです。
つわりなどの妊娠初期症状が起こるのは、これから約10ヶ月間、赤ちゃんをしっかりと育てるために体が変化している証拠といえますね。
「妊娠超初期」とはいつの時期?
妊娠初期症状のうち、早い時期に見られるものは俗に「妊娠超初期症状」と呼ばれることもあります。この「妊娠超初期」について医学的な定義はありませんが、一般的には「妊娠0~4週頃」を指します。
妊娠週数は、最後に生理がきた初日を「妊娠0週0日」と数えるため、まだ妊娠していない(受精卵が着床していない)時期も妊娠超初期に含まれます。
生理周期には個人差があるため、一概にはいえませんが、だいたい「前回の生理開始日から、次の生理予定日直前まで」が妊娠超初期にあたります。
妊娠初期症状で現れる15個の特徴
妊娠初期症状のうち、主な15個の症状をご紹介します。
こそだてハックで行ったアンケート(※)によると、妊娠初期に何らかの体調の変化を感じた人は約96%。ほとんどの人が妊娠初期症状を体験していることがわかりました。
続いて、どのような症状を感じたかを聞いたところ、次のような結果になりました。
ひとつひとつの症状について、以下で詳しくみていきましょう。「妊娠したかも?」と気になっている人は、参考にしてみてくださいね。
妊娠初期症状1. だるさ、眠気
アンケートによると、妊娠初期症状を体験した妊婦さんのうち、70.7%の人が体のだるさや眠気を感じていました。
妊娠すると基礎体温が高い状態が続くことによって、体のほてりやだるさ、眠気を感じることがあります。また、ホルモンバランスが大きく変化することで、情緒不安定になり、やる気が出ないことも。
鼻水や咳などの風邪症状があるわけではないのに、体がだるくて仕事や家事に身が入らない、少しでも横になりたい、などと感じることもあります。
体験談
生理予定日の1週間前から、急激に体力が落ちたような感覚に。無気力になり、日中の眠気がひどかったです。
きりんさん(30歳)
妊娠初期症状2. 気持ち悪さ・吐き気
妊娠初期症状を体験した人の67.5%の人が感じた「吐き気」。性交渉から1週間くらい経ってから、何も食べていないのに吐き気がして、生理開始予定日を過ぎても気持ち悪さが続く場合、いわゆる「つわり」の可能性があります。
つわりには様々なタイプがあり、症状にも個人差があります。
よく知られている症状は、吐き気や嘔吐がある「吐きつわり」ですが、自分のよだれで気持ち悪くなってしまう「よだれつわり」、何か食べていないと気持ち悪くなる「食べつわり」、特定の匂いを嗅ぐと気持ち悪くなる「匂いつわり」などもあります。
気持ち悪さを感じるきっかけや症状が続く長さ、症状の重さも人それぞれです。なかには、妊娠期間中一度もつわりがない妊婦さんもいます。
体験談
軽い車酔い状態がずっと続いている感覚で、一日中スッキリしませんでした。
すももさん(29歳)
妊娠初期症状3. 胸の張り・痛み
妊娠初期症状があった人のうち、胸の張りや痛みを感じた人は60.1%。妊娠していない時でも、排卵直後、つまり生理予定日のおよそ2週間前から胸の張りを感じる人は多くいます。
ただし、生理開始予定日を数日~1週間過ぎても胸の張りが続いている場合や、より強く張りを感じる場合は、妊娠初期症状かもしれません。また、乳首にチリチリとした痛みを感じる人もいます。
なお、胸の張りや痛みは、妊娠期間を通じて継続することがあります。これは、妊娠したことでホルモンバランスが変化し、産後に必要な母乳をつくるために、乳腺や乳管が発達するためです(※2)。
体験談
生理予定日を過ぎたのに胸の張りが消えず、少しの揺れでも痛みを感じました。そのため、ワイヤー入りのブラジャーできっちり固定して、胸ができるだけ動かないようにしていました。
さえままさん(35歳)
妊娠初期症状4. 頻尿・便秘・下痢
妊娠すると、プロゲステロンというホルモンの分泌量が増えます。このプロゲステロンの作用で胃腸の動きが弱くなるため、妊娠後は便秘や下痢になりやすくなります(※2)。アンケートでも、55.9%の人が体験したと答えています。
また、妊娠によって、血液中の水分量(血漿量)が増えるため、尿の量も多くなります。そのうえ、プロゲステロンの働きで尿管や膀胱の筋肉もゆるくなるため、頻尿にもなりやすくなります(※2)。
体験談
生理予定日を過ぎてから急に便秘に。普段は快便なほうなので、出ないことが不快で仕方ありませんでした。
るりさん(30歳)
妊娠初期症状5. 腹痛、下腹部痛
妊娠初期症状があった妊婦さんの50.9%が感じたという、子宮のあたりのチクチクとした痛みやキュッとした痛みや、下腹部が引っ張られるような痛み。これは、ホルモンバランスの変化による妊娠兆候の可能性があります。
また、生理開始予定日の1週間前くらいに、子宮周辺に「着床痛」を感じる人もいます。これは、受精卵が子宮内膜に根を張るときに生じる痛みと考えられていますが、医学的な根拠はありません。参考程度に捉えてくださいね。
体験談
生理予定日ごろから、いつもの生理とは違うチクチクした痛みと、締め付けるような痛みがありました。
ありさん(23歳)
妊娠初期症状6. 味覚、嗅覚の変化
「味覚・嗅覚の変化」は、妊娠初期症状を感じた妊婦さんのうち、45.2%の人が体験した症状です。
「今まで大好物だったコーヒーが美味しく感じられない」「スーパーのお惣菜コーナーの匂いで気持ち悪くなる」「これまで気にならなかったが、パートナーの臭いが不快」など、妊娠超初期には味覚や嗅覚が少し変化することがあります。
普段使っていた香水の匂いで気持ち悪くなったり、電車の匂いが我慢できなくなって途中下車してしまうという人も。特に、普段心地よいと感じていた匂いが突然あわなくなったら、妊娠によって体内で何か変化が起きているのかもしれません。
体験談
いい香りも嫌な臭いも関係なくダメに。自宅の匂いが無理で窓全開にしていました。また、好きだったお肉が一切食べれなくなり、野菜や豆腐がメインになりました。
ちーさん(26歳)
妊娠初期症状7. 肌荒れ
妊娠によるホルモンバランスの乱れにより、ニキビや吹き出物が増える、カサカサに乾燥する、かゆみが出るなどの肌荒れが現れる人もいます。アンケートによると、その割合は、妊娠初期症状を感じた妊婦さんの40.3%。
肌が敏感な人だと、今まで使っていた化粧品が肌に合わなくなった、ということもあるかもしれません。
体験談
私の場合、1番最初に現れた妊娠初期症状。顎ラインににきびがブツブツできてなかなか治りませんでした。
yk*さん(33歳)
妊娠初期症状8. 基礎体温が高い状態が続く
妊娠していないときの基礎体温は、排卵後に「高温期」が2週間程度続いたあと、生理がくる頃に低くなり、しばらく「低温期」が続きます。
しかし、妊娠が成立すると、プロゲステロンが大量に分泌され続け、高温期のまま体温が維持されます。目安として、高温期が17日以上続いた場合、妊娠している可能性が高いといえます(※4)。
この妊娠初期症状は、妊娠すると全ての人に現れるものですが、普段から基礎体温をつけていないと見逃してしまうこともあります。
体験談
生理予定日の次の日から37度オーバーが連日続きました。もしかして… と思い一週間後に検査をしてみたら陽性反応が!
ゆのさん(30歳)
妊娠初期症状9. 腰痛
アンケートによると、妊娠超初期に腰に痛みを感じた人は、妊娠初期症状があった妊婦さんのなかで、36%いました。妊娠初期症状の腰痛には、排卵後に分泌される「リラキシン」というホルモンが影響しています。
リラキシンには、骨盤まわりの関節をゆるめて、出産時に赤ちゃんが産道を通り抜けやすくする一方、骨盤を支えている靭帯などもゆるみやすくなるため、腰への負担がかかり、腰痛を引き起こすこともあるのです(※3)。
ただし、リラキシンは排卵後から分泌されるホルモンなので、結果的に妊娠していなくても、生理予定日の2週間前~生理前の時期に腰の痛みを感じる人もいます。
体験談
生理予定日を過ぎたあたりから腰に痛みが…。立ち続けたり、歩き続けたりしたときに、ピキーンと刺すような痛みがありました。
みゆさん(25歳)
妊娠初期症状10. おりものが多く、水っぽくなる
通常、生理前のおりものは「量が多くてベタベタとしている」状態です。
妊娠が成立すると、ホルモンバランスが変わることにより「量が多く、水っぽい」おりものが見られることが多くなります。
妊婦さんのうち、35.3%が感じたこのようなおりものの変化も、妊娠初期症状のひとつです(※4)。
ただし、おりものの状態には個人差があり、よほど普段から意識していない限り、こうしたおりものの変化には気づきにくいかもしれません。
体験談
普段、生理前はおりものの量が減るのですが、妊娠したときには生理予定日が近づくにつれ、おりものの量が増えました。
Chloeさん(34歳)
妊娠初期症状11. 頭痛
妊娠すると、エストロゲンという女性ホルモンの分泌が増えます。エストロゲンには血管拡張作用があるため、全身の血管が広がりやすくなります(※5)。
これにより、脳の血管も広がるため、頭の片側がズキズキと痛む「偏頭痛」につながりやすくなります。痛み方や程度には個人差がありますが、吐き気や嘔吐を引き起こす場合もあります。
妊娠初期症状を体験した妊婦さんのうち、31.1%の人がこのような頭痛を感じたそうです。
体験談
妊娠超初期に頭痛が。生理予定日が近かったので、生理前の症状だと思って頭痛薬を飲んでしまいました。
ちはるさん(39歳)
妊娠初期症状12. 涙もろくなる
妊娠して「涙もろくなった」と感じた妊婦さんは、妊娠初期症状を感じた人の28.9%。
妊娠すると、ホルモンバランスの変化を受けて、情緒が不安定になることもあります。
まだ妊娠を自覚していない時期に、なんだか落ち着かなかったり、普段は泣かないテレビで涙を流したりと、いつもの自分と違う感じがしたという人もいます。
体に症状が現れるよりも早く、本能が変化を感じ取っているのかもしれませんね。人間も動物なので、こういう一種の「カン」のようなものは、案外当たることが多いのかもしれません。
体験談
生理予定日を過ぎた頃から、突然涙もろくなったことを覚えています。
かめりんさん(29歳)
妊娠初期症状13. 胃痛
妊娠してから分泌量が増えるプロゲステロンは、胃腸の筋肉をゆるめる働きがあります。そのため、胃腸の動きが鈍くなりやすく、消化不良や胃もたれが起こりやすくなります(※2)。
胃がムカムカする、キリキリする、何も食べられないほど痛いなど、症状や程度は人それぞれですが、いつもは感じることのない胃痛があれば、妊娠初期症状かもしれません。
実際に、妊娠初期症状を体験した妊婦さんの24.0%が、このような胃痛の症状を感じています。
体験談
生理予定日の2週間後くらいにひどい胃痛が。おかゆしか食べられない日もありました。
きりんさん(30歳)
妊娠初期症状14. 微量の出血
生理予定日より少し前に微量の不正出血が見られることがあります。これは「着床出血」と呼ばれるもので、受精卵が着床するときに、子宮壁を傷つけることで出血するものです。
茶色っぽいものからピンク、真っ赤な鮮血まで様々で、量もおりものに色がついている程度であることがほとんどです。
着床出血と生理による出血は、時期が近いので自分では判断がつかないことが多いですが、わずかに不正出血が見られたあと基礎体温が下がらなければ、生理ではなく妊娠兆候の可能性があります。
今回のアンケートで出血があったと答えた人は23.7%です。
体験談
生理予定日の3日前に、少量だけど茶色いおりものが。茶色いおりものは、その日から3日ほど続きました。
あいのりさん(35歳)
妊娠初期症状15. 基礎体温が一瞬下がる
先ほど、「妊娠すると高温期が長く続く」といいましたが、妊娠初期症状のひとつとして、一時的に基礎体温がガクンと下がることがあります。妊娠していれば、またすぐに基礎体温が上がります。
これは「インプランテーションディップ」と呼ばれる現象で、海外ではよく知られていますが、医学的根拠ははっきりしていません。また、妊娠したすべての女性に見られるわけではなく、今回の調査でもインプランテーションディップが現れた人は、18.4%に留まりました。
体験談
高温期のはずなのに、突然基礎体温が0.3度くらいダウン。その日は不安に思いましたが、次の日には何事もなかったかのように体温は戻っていました。
のんすけさん(34歳)
妊娠初期症状がないこともある?
妊娠によってホルモンバランスが変わるとはいえ、妊娠初期症状の現れ方には個人差があり、まったく自覚しない人もいます。
先に紹介したように今回のアンケートでも、4.4%の妊婦さんは「妊娠初期症状はなかった」と答えています。
また、腹痛やだるさ、情緒不安定など、月経前症候群(PMS)として現れる症状と似ているものも多いため、妊娠初期症状だと認識しないまま過ごし、あとで振り返って初めて妊娠初期症状だったと気づく人もいるかもしれません。
前述の15個の症状のうち、妊娠しているかどうかの判断を確実にできるものは、基礎体温の変化です。妊娠している場合、高温期が続き、生理が近づいている場合は体温が下がって低温期に入ります。
妊娠検査薬を使う前に、いち早く妊娠兆候をキャッチしたい、という人は、普段から基礎体温を記録しておくといいですね。
妊娠初期症状が出たら、妊娠検査薬を使える?
妊娠初期症状がいくつか現れると、早く結果を知りたくて妊娠検査薬を試したくなりますよね。
一般的な妊娠検査薬は「生理開始予定日の1週間後以降」に使用できるので、妊娠初期症状が出ても、もう少し辛抱する必要があります。
早期妊娠検査薬であれば、生理開始予定日の3日前頃から判定可能なものもあるので、早く知りたい方は試してみるのも手です。ただし、判定結果は確実とは言い切れないので、参考程度に使ってくださいね。
また、検査薬が有効な時期より前に「フライング検査」する人もいます。体に悪影響があるわけではありませんが、陽性と陰性の判定が正確に出ず、結果に振り回されてしまう可能性もあるので、あまりおすすめできません。
もしフライング検査をして陽性が出た場合も、陰性が出たのに生理が来なかった場合も、生理開始予定日の1週間後以降にもう一度検査薬を使ってみてくださいね。
妊娠初期症状が出たら、注意したいことは?
妊娠初期症状と思われる体調の変化があったら、お腹に新しい命が宿っている可能性を考えて、下記2つのことを守って生活しましょう。
お酒とタバコをやめる
妊娠初期症状が現れたら、アルコールとタバコはやめましょう。飲酒と喫煙は流産・早産のリスクを高めるだけでなく、胎児の成長と健康にも悪影響を及ぼす可能性があるからです(※6)。
妊活をしている人や、妊娠している可能性が少しでもある人は、妊娠初期症状の自覚がなくても、禁酒と禁煙をする方が安心です。
ただし、自分が妊娠していることに気づかず、妊娠超初期に飲酒や喫煙をしてしまったという人もいるかもしれません。少量であれば赤ちゃんに影響が出ることは少ないと考えられるため、あまり心配しすぎず、妊娠が分かった時点でお酒とタバコをやめてくださいね。
自己判断で薬を飲まない
頭痛や腹痛、胃痛などは、妊娠初期症状と気づかないこともあるかもしれません。ただし、少しでも妊娠している可能性があるときは、自己判断で市販薬を飲まないようにしましょう。
特に妊娠4週頃からは、心臓や中枢神経など、赤ちゃんの重要な器官が作られます。すべての薬が悪影響を及ぼすというわけではありませんが、慎重に服薬したい時期です。
薬を飲む前に、医師や薬剤師に相談し、お腹の赤ちゃんにとってより安全な薬を選びましょう。
また、アンケートでは、妊娠を機にやめたものとして、他にも「コーヒーなどのカフェイン飲料」や「激しい運動」、「自転車通勤」や「刺身などの生もの」という意見もありました。
妊娠初期症状は人それぞれ
今回は、15個の妊娠初期症状についてご説明しましたが、すべての症状が現れるわけではありませんし、症状の程度は人それぞれです。基礎体温の変化以外は、風邪や生理前の症状と似ていて判断が難しいので、参考程度に考えておきましょう。
また、妊娠検査薬が使用できるのは、生理予定日の1週間後です。生理が遅れている人や気になる症状がある人はぜひ調べてみてくださいね。お腹のなかに芽生えたかもしれない赤ちゃんの命のためにも、妊娠検査薬で陽性反応が出たら、できるだけ早く産婦人科を受診しましょう。
※アンケート概要
実施期間:2019年5月25日~5月29日
調査対象:妊娠11週目までの妊婦さん
有効回答数:296件
収集方法:Webアンケート