妊娠を希望している人は、日々の体の変化が気になりますよね。妊娠検査薬で正確に判定できるのは、生理開始予定日の1週間後。それまでは「妊娠兆候が現れていないかな?」と考えてしまうものですが、その一つに「着床出血」という言葉をよく聞きます。今回は着床出血とはどういうものか、いつ現れるのか、生理とは違うのか、着床出血がないのに妊娠していることはあるのかなど、気になる点を詳しくご説明します。
着床出血とは?妊娠兆候なの?
いわゆる着床出血とは、受精卵が子宮内膜に着床したときに起こる微量の出血のことを指します。
着床出血のはっきりとした原因はわかっていませんが、着床時に子宮内膜がなんらかの変化を起こすことで出血すると考えられています。生理以外の出血を不正出血といい、着床出血も不正出血の一種ですが、着床に伴う生理的な出血なので心配はいりません。
「受精卵が子宮内膜に着床する」のは「妊娠が成立する」ことを意味しているので、着床出血は妊娠兆候の一つといわれることが多いのです。
ただし、「着床出血」は一般的に使用されている俗称であって、実は医学用語ではありません。
医学的には「妊娠初期の不正出血」の一つとして扱われ、病院などの医療現場では妊娠の診断基準にならないものなのです。
着床出血が起きる時期や期間は?
着床出血が起こる時期は、生理予定日の1週間くらい前です。仮に生理周期を28日とすると、排卵日は生理予定日の2週間前で、受精から着床までには約1週間かかるので、ちょうど生理予定日の1週間前に着床が起きていると考えられるからです。
着床出血が起こる場合は、着床のタイミングで出血しますが、それが腟から排出されるまでに時間がかかることもあるので、出血に気付くのが生理予定日の直前になることもあります。
また、出血の期間は個人差が大きく、1回だけの人もいれば、数日続く人もいます。
着床出血と生理の違いは?
着床出血が起こる場合、生理予定日と近いので「着床出血なのか生理なのかわからない」ということがあります。すぐに自分で判断することは難しいですが、基礎体温と出血の仕方に違いが見られます。
まず、着床出血であれば妊娠が成立しているので、基礎体温が下がらず、上のグラフのように高温期がずっと続きます。生理の場合は、高温期から低温期に移行します。
また、生理の場合は通常2~3日目にかけて出血量が多くなり、その後だんだんと量が減って1週間以内で出血が終わります。着床出血の場合、出血量や期間は人それぞれです。
しかし、違いがはっきりしないことも多く、この時期にどちらかを見分ける確実な方法はありません。着床出血か生理かを確実に判断するためには、生理予定日を1週間過ぎてから、妊娠検査薬で確認しましょう。
妊娠を望んでいると、生理予定日が近づくにつれて焦る気持ちになるかもしれませんが、妊娠検査薬の使用に適した時期まで、のんびり気長に規則正しい生活を送りましょう。
着床出血がないのに妊娠している可能性はある?
「妊娠すると着床出血が必ず起きる」というわけではありません。着床出血がないのに妊娠していることもよくあります。また、着床出血があっても、微量すぎて気がつかないうちに排出されていることも。
そのため、着床出血がないからといって「妊娠していない」と落ち込む必要はまったくありません。あくまでも「人によっては着床のときに少し出血することがある」という程度なので、着床出血を妊娠の兆候として重視する必要はありません。
着床出血があったら妊娠検査薬で判定できる?
着床出血のような出血があったら「妊娠しているかも!」と思って早く妊娠検査薬を使いたくなりますよね。しかし、着床出血が起きるのは生理予定日の1週間ほど前なので、いわゆるフライング検査になってしまいます。
妊娠検査薬は、着床後に分泌される「hCG」というホルモンを検知して妊娠判定を行いますが、フライングで検査をすると分泌量がまだ十分ではなく、正確に判定できません。
たとえ妊娠していたとしても、妊娠検査薬では陰性反応が現れてしまうこともあります。妊娠検査薬は、生理予定日の1週間後まで待って正しく使用してくださいね。
どうしても早く妊娠判定をしたいという人は、「早期妊娠検査薬」を使う方法もあります。これは一般的な妊娠検査薬に比べて半分のhCG分泌量で妊娠判定ができ、生理予定日当日から使えるので、1日でも早く知りたい人は試してみてください。
着床出血後の基礎体温の変化にも注目しよう
妊娠を望んでいる人にとって、生理予定日前に着床出血があるかどうかはとても気になります。しかし、着床出血がなくても妊娠している人も多く、また着床出血があったとしても、生理不順の人ほど生理と見分けがつきにくくなります。
そのため、着床出血があるかどうかを心配しすぎず、基礎体温の変化を見たり妊娠検査薬を正しく使ったりすることで、妊娠を判断するようにしてくださいね。