妊娠後期や臨月に入ると、出産に向けてホルモンバランスが変化し、体調が変わってしまう妊婦さんも多くいます。その体調変化の一つに、「吐き気」があります。妊娠後期・臨月に吐き気があると、出産が近いのかと思うかもしれませんが、実際はどうなのでしょうか?そこで今回は、妊娠後期から臨月にかけて吐き気をもよおす原因と、気持ち悪いときの対処法をご紹介します。
臨月の吐き気は出産兆候?妊娠後期から現れる原因は?
妊娠後期や臨月の吐き気は、別名「後期つわり」とも呼ばれていて、場合によっては、妊娠初期のつわりで感じた吐き気と似たような症状になります。また、妊娠初期はつわり症状がなかったのに、妊娠後期になったら吐き気を感じたという人もいます。
妊娠後期から臨月にかけて吐き気を引き起こす原因は、主に2つあります。どちらも、以下のような妊娠後期・臨月に起きる母体の変化に由来しています。
ホルモンバランスの変化
妊娠後期になると、女性ホルモンの分泌が大きく変化します。関係するのは、子宮の血流量を増加させ、出産後は母乳が出るように妊娠中に乳腺を発達させる作用のある卵胞ホルモン(エストロゲン)と、妊娠を維持する働きがある黄体ホルモン(プロゲステロン)の2つです。
これらの血中濃度が、出産を迎えるまで増加し続けます。
このホルモンバランスの変化により、お腹の中で赤ちゃんが育ちやすくなります。しかし同時に、胃腸内や胃の周りの筋肉を弛緩させてしまうため、胃酸が逆流してしまい、吐き気を催しやすくなります。
子宮の増大
赤ちゃんは、妊娠後期・臨月に入っても、子宮内でぐんぐん大きくなります。すると、子宮も拡大し、周りにある腸や胃を圧迫するため、妊娠後期から臨月にかけて吐き気に悩まされる妊婦さんが増えるのです。
妊娠週数が進むにつれて子宮内の胎児が骨盤内に下がってくるため、妊娠8~9ヶ月に吐き気が現れ、臨月に入ったら胃の圧迫感がなくなり吐き気が治まったという人もいます。しかし、症状には個人差があります。
妊娠後期から臨月に吐き気がひどい…気持ち悪いときの対処法は?
吐き気がひどく、気持ち悪いのが続くときは「食べられるものを、食べられるときに食べる」を基本にして過ごしてください。このほかにも、妊娠後期の吐き気対策として、以下のようなものがあります。
温かくて消化のいい食べ物を食べる
吐き気があるときは、のどごしがいい、冷たいものをついつい食べがちになります。それしか食べられないのであれば、何も食べないよりはいいので、食べ続けてかまいません。
ただし余裕があれば、吐き気があるときは胃腸への負担が少ない、温かくて消化のいいものを選んで食べるようにしてください。例えば、おかゆ、雑炊、うどん、にゅうめんがおすすめです。
少しずつ食事をとる
吐いてしまうからといって、一度にたくさん食べようとすると、胃に負担がかかってしまいます。回数は1日5~6回になってしまってもいいので、少しずつ食事をとるように心がけましょう。
調理したものを小分けにして冷凍保存しておくと、吐き気が落ち着いたときに少しずつ食べることができますよ。
食後はすぐに寝ない
吐き気や気持ち悪さがあると、つらくて、食べた後すぐに横になりたくなってしまうかもしれません。しかし、食後すぐは胃が活動的なので、すぐに寝てしまうと胃酸が逆流し、逆流性胃腸炎を引き起こすこともあります。
食後2時間ほどは、リラックスできることや自分が集中できることをして、できるだけ横にならないようにしましょう。臨月は椅子に座り続けるのが難しいですが、上半身だけでも起こして置くといいですね。
ストレス発散をする
精神的なストレスにより、吐き気がひどくなることがあります。出産を間近に控えた妊娠後期や臨月は、「無事に赤ちゃんを産めるかな?」「産んだ後にきちんと育てられるかな?」と不安が募り、ストレスを感じやすい時期です。
ストレスを発散できるよう、好きな映画を観たり、友人と出かけたりと、自分の好きなことをする時間を意識的に作っていきましょう。
妊娠後期の散歩は、外の景色が楽しめてリラックス効果があるだけではなく、子宮口が開きやすくなったり、股関節が柔軟になったりと安産効果も期待できて一石二鳥です。
体を締めつける服は避ける
妊娠後期に入る頃にはお腹も大きいので、ゆったりしたマタニティウェアを着ているかと思います。しかしお腹は思っている以上に、日々少しずつせりだしていくので、安定期にゆったり着ていた服でも、いつの間にか締めつけがきつくなっていることもあります。
体を締めつける服を着ないようにするのも、吐き気を和らげるのに有効です。もし少しでも体への締めつけを感じたら、着ている服を見直してみてくださいね。
産後に向けて胸のサイズも大きくなっているので、ブラジャーがきつくなっている人も多くいます。授乳中も使えるサイズのブラジャーやワンピースを購入しておけば、長く利用できますよ。
妊娠後期・臨月の吐き気で病院へ行くべきケースは?
妊娠後期・臨月の吐き気が、ホルモンバランスの変化や子宮の拡大によって起こっているのであれば、出産後に自然と治まります。
しかし、吐き気は体の異変を知らせるサインとして現れることもあるので、その症状の現れ方には注意が必要です。特に、吐き気と一緒に次のような症状が現れたら、病院で診てもらいましょう。
激しい下痢を伴うとき
嘔吐だけではなく、激しい下痢を伴う場合は、嘔吐下痢症という感染性の疑いがあります。臨月に下痢になることはありますが、水便や下痢の頻度が高い場合は、病院を受診しましょう。
脱水症状になったとき
吐き気の他に「尿の量が減った」「口が渇く」「激しい頭痛がある」などの症状が現れている場合は、繰り返される嘔吐により、脱水症状になっている可能性があります。ひどい脱水症状になると、赤ちゃんへの栄養が十分に送られないこともあるので、すぐに医師に診てもらってください。
妊娠後期・臨月の吐き気は、赤ちゃんとあと少しで会える合図
妊娠後期・臨月は、大きくなったお腹で体を動かすのも億劫になり、さらに出産を控えて神経質になりがちな時期です。この時期に、吐き気が続くとつらいですよね。特に臨月は、吐き気以外にも恥骨痛や腰痛、お腹の張りなど、様々なマイナートラブルが起きやすい時期です。
こういった吐き気などのマイナートラブルは、赤ちゃんが大きく成長している証です。「臨月の吐き気は、赤ちゃんとあと少しで会える合図」と前向きに考えて、残りの妊娠生活も落ち着いた気持ちで過ごせるといいですね。