妊婦の逆流性食道炎の症状は?妊娠初期のつわりと違う?臨月も出る?

記事監修 助産師 佐藤 裕子
佐藤 裕子 日本赤十字社助産師学校卒業後、大学病院総合周産期母子医療センターにて9年勤務。現在は神奈川県横浜市の助産院マタニティハウスSATOにて勤務しております。妊娠から出産、産後までトータルサポートのできる助... 続きを読む

胃酸が胃から逆流して食道に炎症を起こす病気を「逆流性食道炎」といいます。高齢者や肥満の人が発症しやすい病気ですが、実は妊婦さんも逆流性食道炎になりやすいのです。妊娠中に逆流性食道炎が起きやすいのはなぜでしょうか?また、どんな症状が現れるのでしょうか?今回は、妊婦の逆流性食道炎について、妊娠初期のつわりとの違いや臨月に起こりやすい理由などもご説明します。

逆流性食道炎が起こる仕組みは?

逆流性食道炎

胃液や消化中の食べ物が食道に逆流し、食道が炎症を起こすのが「逆流性食道炎」です。

普段は、胃液で食道が傷つくのを防ぐため、食道と胃をつなぐ「下部食道括約筋」という筋肉が食道を締めて、胃の内容物が逆流しないよう機能しています。

しかし、肥満や便秘、加齢、妊娠などが原因で下部食道括約筋がゆるんでしまうと、胃のなかの圧力が高くなり、逆流を起こしやすくなります(※1)。

胃の内容物の逆流によって逆流性食道炎を起こすと、食道の粘膜がただれたり潰瘍ができたりします。

妊婦は逆流性食道炎になりやすい?臨月にも起こる?

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では、妊娠中にはどうして逆流性食道炎が起きやすくなるのでしょうか?

これには、主に「ホルモンバランスの変化」と「子宮の大きさの変化」という2つの要因が影響していると考えられています(※2)。

ホルモンバランスの変化

妊婦さんの体内では、妊娠を維持するために「プロゲステロン(黄体ホルモン)」という女性ホルモンの分泌量が増えます。

プロゲステロンの働きで、胃腸の筋肉(平滑筋)がゆるみ、食べたものを直腸へ運ぶために消化管の筋肉が収縮する「蠕動(ぜんどう)運動」が低下します。そのため、食べたものが消化されにくくなり、逆流してしまうことがあります。

また、ホルモンバランスの変化により、胃腸の動きが鈍くなるため、逆流性食道炎だけでなく便秘にもなりやすくなります。

子宮の大きさの変化

ホルモンの作用で胃腸の働きが弱くなっているうえに、胎児が成長して子宮が大きくなってくると、胃は下から突き上げられるように圧迫されます。

その結果、食道と胃をつなぐ下部食道括約筋の圧力が下がり、胃の内容物や胃酸が食道の方へ逆流しやすくなってしまうのです。

このように、妊婦さんの逆流性食道炎は妊娠によるホルモンバランスや子宮の大きさの変化が引き金となるため、お腹が大きくなる妊娠中期以降、特に臨月に症状がひどくなる人が多いようです。

妊婦の逆流性食道炎の症状は?妊娠初期のつわりと違う?

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逆流性食道炎の症状で現れるのは、胸やけや嘔吐、げっぷ、胃のムカつき、お腹の張りなどです。

症状が強いと食べ物を食べられなくなったり、不快感のせいで眠れなくなったり人もいます。また、逆流した胃液で喉にも炎症が起こり、声が枯れたり、咳が出やすくなったりすることもあります。

先述のとおり、逆流性食道炎の症状のピークは妊娠中期であることが多いですが、人によっては妊娠初期から現れます。妊娠初期にはつわりによる吐き気や胃のむかつき、げっぷなどがあるので見分けがつきにくいかもしれません。

一般的に、妊娠12〜16週頃にはつわりが治まってくるので、それ以降も吐き気や胸焼けが続いているときは逆流性食道炎の可能性があります。

妊娠中の逆流性食道炎は病院に行くべき?

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妊娠中に胸焼けや吐き気、胃のムカつきなどがひどく、日常生活に支障が出るようであれば、一度かかりつけの産婦人科で相談しましょう。

逆流性食道炎が悪化すると、食道が狭くなり、食べ物が喉を通りにくくなったり、炎症を起こした部分から出血して吐血や貧血を起こしたりする恐れもあります(※1)。

妊娠初期につわり、妊娠中期以降に逆流性食道炎と続いてしまうと、なかなか思うように食事が摂れないかもしれません。脱水症状に陥らないように、氷を舐めるなどして水分をこまめに摂るよう心がけましょう。

妊婦は逆流性食道炎の薬を飲んでもいい?

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逆流性食道炎が原因で、妊娠中にずっと吐き気や不快感があるのはつらいですよね。少しでも症状を軽くしたいところですが、胎児に影響を与える可能性もあるため、自己判断で胃薬などを服用することはおすすめできません。

逆流性食道炎の治療薬には、胃酸の分泌を抑えるもの、胃酸を中和するもの、胃の機能を整えるものなど様々な種類があります。かかりつけの医師に相談して、妊婦さんでも比較的安全に飲める薬を処方してもらいましょう。

市販薬のなかにも、妊娠中でも服用できるとされるものはいくつかありますが、飲む前に念のため医師や薬剤師に相談しておくと安心です。

妊娠中の逆流性食道炎を予防するには?

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先述のとおり、妊娠中はどうしても逆流性食道炎になりやすい状態ですが、普段の過ごし方として以下のようなポイントを意識すると、症状の予防・緩和につながりますよ。

食べ物・飲み物に気をつける

脂肪分やタンパク質の摂りすぎは、下部食道括約筋をゆるめ、逆流性食道炎を起こしやすくします(※1)。脂肪分・タンパク質の多い食事は控えましょう。

また、チョコレートなどの甘いものや、唐辛子などの香辛料、レモンなどの酸味が強い食べ物、コーヒーや緑茶などカフェインが入った飲み物は胃酸を増やしたり、胸やけを悪化させたりする恐れがあるので、食べすぎ・飲みすぎに注意してください。

食べる量に注意する

食事は少量に分けて、よく噛んでゆっくり食べると、胃の負担を減らせます。つわりが終わると食欲が増す妊婦さんも多いですが、腹八分目に抑えるようにしてくださいね。

また、就寝の2~3時間前に食べ物を摂らないようにしましょう。

姿勢を意識する

胃からの逆流を防ぐために、普段から前かがみの姿勢は避けるといいでしょう。眠るときは少し上体を高くして眠ると胃酸の逆流を抑えられますよ。クッションや抱き枕などを使って楽な姿勢を見つけてくださいね。

食後2~3時間は胃の中身が逆流しやすいので、食べたあとすぐに寝転んだりせず、ソファーや座椅子に座り、クッションなどで傾斜をつけた体勢で休みましょう。

妊婦の逆流性食道炎につながる生活習慣を見直そう

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妊娠中は、ホルモンバランスが変わったり子宮が大きくなったりすることが原因で、逆流性食道炎が起こりやすくなります。

ある程度は仕方ないことですが、食事内容や姿勢など生活習慣を見直すことで少しでも症状を改善できるといいですね。できるだけ胃に負担をかけないよう意識して、快適なマタニティライフを過ごしましょう。

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