妊娠初期に葉酸が必要な理由は?摂取量はどれくらい?

記事監修 助産師 佐藤 裕子
佐藤 裕子 日本赤十字社助産師学校卒業後、大学病院総合周産期母子医療センターにて9年勤務。現在は神奈川県横浜市の助産院マタニティハウスSATOにて勤務しております。妊娠から出産、産後までトータルサポートのできる助... 続きを読む

妊娠15週までの妊娠初期は、赤ちゃんの大切な器官が作られる、重要な時期です。この時期の妊婦さんは葉酸の摂取が推奨されていますが、いつから、どのくらい必要なのか、また、どうして必要なのかを正確に知っている人は少ないのではないでしょうか。そこで今回は、妊娠初期に必要な葉酸の量や、葉酸が必要な理由、基準値の葉酸を摂らなかった場合に発症リスクが高まる病気についてご紹介します。

妊娠初期に葉酸が必要な理由は?

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葉酸はビタミンBの一種で、妊娠中、特に妊娠初期に重要な栄養素であるといわれています。その理由は、葉酸が、妊娠初期に行われる細胞増殖に必要なDNAを合成する材料になるからです。

妊娠初期に葉酸が不足し、細胞増殖に支障をきたすと、赤ちゃんが「神経管閉鎖障害」を発症するリスクが高まります。

神経管閉鎖障害とは、脳や脊髄など、中枢神経の元になる「神経管」の一部がふさがらず、脳や脊髄が正常に機能しなくなる障害です。神経管の下部がふさがらない「二分脊椎症」と、神経管の上部がふさがらない「無脳症」とにわけられます。

二分脊椎症

日本で発症する神経管閉鎖障害は、ほとんどが「二分脊椎症」です。1999~2003年に行われた調査では、1万人に5.12人がこの二分脊椎症で生まれていると報告されています(※1)。

二分脊椎症になると、歩行障害や運動障害、排尿・排便障害、性機能障害、知的障害などの症状が現れます。これらの症状は、子供が小さい頃はあまり見られず、小学校に入学する頃や、思春期頃から見られ始めます。

二分脊髄症は、妊娠前から葉酸サプリメントを十分に摂取することで、発生リスクを70~80%軽減できることがわかっています(※2)。

無脳症

無脳症とは、脳が形成されない病気です。

脳以外には問題がないので、赤ちゃんが無脳症になっても、お腹のなかでは成長することができます。しかし脳が作られないまま生まれると、お腹の外の世界では生きていくことができません。

無脳症の原因には様々なものがあるため、完全に予防することは難しいですが、葉酸の摂取が発症リスクの軽減につながります(※1)。

妊娠初期の葉酸はいつからいつまで必要?

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神経管閉鎖障害に関わる中枢神経系は、妊娠5週末までにふさがります。

ただ、妊娠してから5週の間は、妊娠に気づかず「もしかして妊娠しているかも」という状態の妊婦さんも多いのが現状です。妊娠に気づいてから葉酸の摂取を始めようと思っても、その頃には妊娠から5週以上過ぎていることもあります。

そのため葉酸は、妊娠する前から基準値を摂取しておくことが推奨されており、厚生労働省は、妊娠4週前から妊娠12週まで、葉酸サプリメントを1日400μg内服するよう勧告しています(※2)。

また、葉酸は妊娠12週以降も摂取が推奨されています。これは、妊娠中に起こりやすい「巨赤芽球性貧血」を防ぐためです。妊娠中期・妊娠後期も、しっかりと摂取するようにしましょう。

妊娠初期に必要な葉酸の摂取量は?

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厚生労働省が発表した「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によると、18~49歳の女性の葉酸推奨摂取量は、1日あたり240μgです。そして妊娠中は、これに加えて240μgの付加量が必要とされています。

つまり妊婦さんは、1日あたり480μgの葉酸摂取が推奨されています(※3)。これは妊娠初期から妊娠後期まで変わりません。

20~40代の女性の葉酸摂取量は、現状230μg前後/日ということがわかっています(※4)。1日480μgという量は、しっかりと意識しなければなかなか摂取できる量ではありません。

妊娠初期の葉酸摂取はサプリがおすすめ

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葉酸は食べ物にも含まれている栄養素ですが、妊娠中は、葉酸サプリメントで摂取するのがおすすめです。

妊娠中に葉酸サプリを使いたい理由には、下記のようなものがあります。

合成葉酸はサプリからしか摂れない

葉酸には合成葉酸(モノグルタミン酸型)と天然葉酸(ポリグルタミン酸型)の2種類があります。

合成・天然と聞くと、天然の方が効果がありそうに感じる人も多いかもしれませんが、世界中で行われている研究や調査では「妊娠中の合成葉酸の摂取が、胎児の神経管障害のリスクを低減する」ということがわかっています(※1)。

合成葉酸は食品にほとんど含まれておらず、サプリメントから摂取するのが効率的です。

葉酸は食事から摂りづらい

食事から摂取できる天然葉酸には「調理の過程で葉酸の栄養素を失いやすい」「体内に吸収しづらい」というデメリットもあります。

葉酸は、モロヘイヤ、ほうれん草、ブロッコリーなどの緑黄色野菜に豊富に含まれていますが、これだけで480μgを摂取しようと思うと大変です。食品とサプリメントを上手に組みあわせながら、効率よく摂取することが大切です。

妊娠初期は葉酸をしっかり摂取して

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「妊娠したら葉酸を摂ったほうがいい」という認知は広がってきていますが、「妊娠初期にこそ摂るべき」「サプリから合成葉酸を摂るべき」というところまではまだ知らなかった人も多いかもしれません。

赤ちゃんのスムーズな成長のためにも、妊娠初期は葉酸をしっかり摂っておきたい時期です。できれば妊活中から、サプリメントの服用を毎日の日課にし、葉酸が摂取できる食品にも意識をむけましょう。

ただし葉酸の耐容上限量は、18~29歳の女性で1日900μg、30~69歳の女性で1日1,000μgとされています(※3)。これを超えると過剰摂取となり、逆に体によくないので、摂りすぎには注意してくださいね。

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