妊娠初期に出血…腹痛を伴うときは?病院へ行くべき?

監修医師 産婦人科医 山本 範子
山本 範子 日本産科婦人科学会専門医。平成5年、日本大学医学部卒。日本大学附属病院および関連病院で産婦人科医として経験を積み、その間に日本大学総合健診センターで婦人科検診にも力を注いできました。現在は港区の日野原... 監修記事一覧へ

新しい命がお腹に宿ると、これまで以上に自分の体が気になるもの。妊娠すると生理がこなくなるはずなのに性器から出血があり、なおかつ赤ちゃんがいるお腹の周りに痛みがあると、「赤ちゃんに何かあったのでは…」と焦ってしまいますよね。今回は、妊娠初期に不正出血があり、腹痛も伴う場合に考えられる原因と、病院へ行くべきかどうかについてご説明します。

妊娠初期に出血や腹痛が起こるのはなぜ?

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妊娠初期には、生理的な現象として少量の不正出血や軽い腹痛が時々見られます。

妊娠中は体内の血液循環量が増えるので、ちょっとした刺激で性器から出血があったり、子宮が大きくなりホルモンバランスが変わることで、お腹がチクチクと痛んだりすることがあるのです(※1,2)。

ただし、妊娠初期に「不正出血があり、なおかつ腹痛もある」という場合は、異常妊娠や切迫流産・流産、婦人科系の病気などの可能性があるため、適切な対処が必要です。

妊娠初期に出血と腹痛があったときの原因や対処法は?

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妊娠がわかって間もない時期に不正出血と腹痛の両方が見られた場合、妊娠の進み具合によって下記のように原因が異なります。

対処法は、妊娠の進み具合にかかわらず、「そのまま放置せずすぐに産婦人科へ行くこと」です。

妊娠検査薬で陽性が出たあと

妊娠検査薬を試して陽性反応が出ると、「妊娠した」と思うかもしれませんが、病院の超音波(エコー)検査で「胎嚢(たいのう)」という赤ちゃんを包む袋が確認できるまでは、正常に妊娠しているかどうかがわかりません。

その前の段階で腹痛と出血があると、受精卵が子宮内膜以外の場所に着床してしまう「子宮外妊娠(異所性妊娠)」の可能性があります。

卵管に着床が起こる卵管妊娠をしている場合、放置しておくと卵管破裂などを起こす危険性もあります(※1)。

そのため、検査薬で妊娠がわかったあとに腹痛と出血があったら、すみやかに産婦人科で診てもらいましょう。

エコーで胎嚢が確認できたあと

エコーで胎嚢が確認でき、正常な場所で妊娠していることがわかったあとも、不正出血と腹痛があったら迷わず産婦人科へ行きましょう。

妊娠初期はだいたい4週間に1回のペースで妊婦健診がありますが、気になる症状がある場合は、次回の健診を待たずに受診してください。

詳しくは後述しますが、妊娠初期の出血と腹痛は、流産の兆候や婦人科系の病気など、さまざまな原因が考えられます。

ママと赤ちゃんの健康に関わることなので、仕事などで忙しくても、できるだけ早く病院で検査を受けましょう。

妊娠初期に出血!腹痛を伴うときは流産の可能性も?

疑問 はてな クエスチョン

妊娠初期の女性が、出血と腹痛があったときにまず心配するのは、切迫流産や流産ではないでしょうか。

不正出血と腹痛があったからといって、必ずしも切迫流産や流産というわけではありませんが、可能性としては考えられます。下記のような兆候が見られた場合、念のため産婦人科を受診しましょう。

切迫流産の兆候

  • わずかな性器出血
  • 軽い下腹部の張りや痛み
  • 腰痛

切迫流産は、「流産の一歩手前」の状態を指します。妊娠初期に切迫流産と診断された場合、自宅か病院で安静の指示が出ることもあります(※1)。

流産の兆候

  • 少量または大量の性器出血
  • 下腹部の痛み

流産にはいくつかの種類があります。

流産が進行している「進行流産」だと、大量の性器出血があり、腹痛を伴いますが、赤ちゃんの発育が止まった状態でママの子宮内にとどまる「稽留流産」の場合、出血は少量かほとんど見られず、腹痛もほとんどありません(※1)。

出血が見られたら、量の多い・少ないや、腹痛のある・ないを問わず、産婦人科を受診してください。

妊娠初期の出血・腹痛の原因はほかにもあるの?

疑問 答え アンサー クエスチョン

妊娠初期に不正出血と腹痛がある場合、切迫流産や流産のほかにも、下記のような原因が考えられます。

子宮筋腫

子宮筋腫は、女性にとって珍しい病気ではありません。日本産科婦人科学会の産科ガイドラインによると、「妊娠初期のエコー検査で、10%の妊婦さんに、0.5cm以上の大きさの子宮筋腫が見つかった」というアメリカの報告があるようです(※3)。

子宮筋腫があっても無事に出産できるケースも多いですが、流産や切迫早産、前期破水などが起こるリスクが高まるので、慎重な経過観察が必要です。

胞状奇胎

胞状奇胎とは、妊娠した子宮の中にブドウの房のようなつぶつぶができる、絨毛性疾患の一つです。自覚症状がないことも多いですが、不正出血や腹痛のほかに、吐き気などが現れることもあります(※5)。

妊娠初期のエコー検査やホルモン検査で胞状奇胎と診断された場合、ほとんどの場合は妊娠を継続することはできず、子宮内容除去術という手術で、子宮の中身を完全に取り除く必要があります(※5)。

絨毛膜下血腫

ママと「卵膜」という袋の中に包まれている赤ちゃんは、胎盤を通じてつながっています。何らかの原因で、この胎盤と卵膜との間に血腫ができてしまう状態を、絨毛膜下血腫といいます。

症状は切迫流産や流産の兆候と似ていて、妊娠初期の不正出血や腹痛によって発見されることがほとんどです。適切な対処をしなければ流産や早産につながってしまう恐れがあるので、注意が必要です。

妊娠初期の出血と腹痛が続くときはすぐに病院へ

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少量の不正出血や軽い腹痛は、妊娠による生理的な現象としてそれぞれよく起こるもの。しかし、その両方があわせて起こる場合は特に、流産など何らかの異常が起こっている恐れもあるので、すぐに産婦人科を受診してください。

妊娠初期は、つわりによる体調不良や、漠然とした不安も出てくるものです。出血や腹痛などの自覚症状がないとしても、気になることがあるときはそのままにせず、妊婦健診などで医師に相談してみましょう。

ママと赤ちゃんの健康を第一に考え、心身ともに無理のないマタニティライフを送ってくださいね。

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