低出生体重児とは?どう成長する?原因や障害のリスクは?

記事監修 助産師 佐藤 裕子
日本赤十字社助産師学校卒業後、大学病院総合周産期母子医療センターにて9年勤務。現在は神奈川県横浜市の助産院マタニティハウスSATOにて勤務しております。妊娠から出産、産後までトータルサポートのできる助... 続きを読む
記事監修 小児科 武井 智昭
日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県横浜市のなごみクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担... 続きを読む

赤ちゃんが健康に生まれてきてくれるだけでうれしいとはいえ、少し小さめだとママやパパとしては気になるもの。特に低出生体重児と診断されるといろんな不安を感じると思います。今回は「低出生体重児」について原因や障害の影響、その後の成長についてご説明します。

低出生体重児とは?

本 ノート

生まれたときの体重が2,500g未満の赤ちゃんのことを「低出生体重児」といいます。その中でも1,500g未満の赤ちゃんを「極低出生体重児」、1,000g未満の赤ちゃんを「超低出生体重児」と呼びます。これまではさまざまな分類軸が混在した状態で「未熟児」という呼称が使われていましたが、誤解を生みやすいということから出生体重で呼び名が分けられました。

低出生体重児の多くは早産(妊娠22週〜37週未満)で生まれた赤ちゃんですが、中には妊娠期間は十分なのに子宮内胎児発育不全の影響で低体重になることもあります。日本国内の出生数は年々減少していますが、低出生体重児の割合は増加しています。

これは、不妊治療の影響で双子や三つ子の赤ちゃんが増えたこと、新生児医療のめざましい進歩によって超低出生体重児の赤ちゃんの命も救えるようになったことが主な要因だといわれています。全体の出生数に占める低出生体重児の割合は約1割弱とされています(※1)。

低出生体重児になる原因は?

ルーペ 本

低出生体重児として生まれる原因にはさまざまなものが考えられますが、ママの体質や妊娠中の生活習慣が影響している場合も多くあります。

妊娠高血圧症候群

もともと血圧が高いママや高齢初産のママが妊娠後期にかかる可能性が高い病気です。胎盤の血管に圧力がかかって赤ちゃんに十分な栄養が送れなくなるため、赤ちゃんの成長が妨げられることがあります。

妊娠中の喫煙や飲酒

赤ちゃんはへその緒の血管を通してママから栄養をもらって成長していますが、ママが喫煙や飲酒をすると母体の血管が収縮して赤ちゃんに十分な血液が送られなくなり、赤ちゃんは栄養不足になります。

特に喫煙は血液中の酸素を奪うため赤ちゃんが低酸素状態になり、脳の発育に影響が出る場合があるといわれています。

過度なダイエット

標準的な体重の女性だと、妊娠中は妊娠前の体重から7~10kgは増えてもいいとされています。ママが赤ちゃんに栄養を送ると思えば、自分自身もしっかり体力をつけておかないといけないですよね。

最近は痩せ願望が強いために妊娠中の体重増加を嫌がって、体重が増えないように食事制限をする方もいますが、ママにとっても赤ちゃんにとっても栄養不足になってしまうので、食事制限はしないようにしてくださいね。

歯周病

妊娠中はつわりなどで歯磨きをしづらいだけでなく、歯科でのデンタルケアもしにくいものです。そうすると虫歯ができやすく、歯周病をも引き起こしやすくなります。

歯周病菌が歯と歯茎の間の溝から体内に侵入して血中に入ると、血管を通して全身を回り、胎盤から赤ちゃんにも歯周病菌が届いてしまう可能性があります。

歯周病菌は絨毛膜羊膜炎や子宮収縮を引き起こすことがあり、切迫早産につながることで、低体重児を産むリスクが高いことが報告されています。

その他の原因として、多胎妊娠や前期破水による早産などで赤ちゃんの在胎週数が少ないため十分成長できないというものがあります。Ⅱ型糖尿病でも切迫早産の可能性があり、その結果、低出生体重児としての出産になることがあります。

低出生体重児のリスクは?出産後のサポート内容は?

リスク

低出生体重児といっても、正産期に入ってから生まれた場合は体の機能がほぼ完成していますから、その後の成長にはほぼ問題ありません。2,000g前後の体重があれば大きな心配はいらないとされています。心配なのは、正産期の前に生まれた赤ちゃんで、生まれた時期が早ければ早いほど体の機能は未熟です。

免疫力が弱いので黄疸が出やすく、重度の感染症や合併症を起こしやすいため、新生児集中治療室(NICU)や未熟児室(GCU)でサポートを受けながら乗り切っていきます。

体温調節へのサポート

体温保持機能が低いので、自分で体温調節ができるようになる約2,000gに体重が増えるまでは保育器に入ります。

授乳や栄養補給へのサポート

ミルクを飲む力が弱いため、乳量が少ない間はぶどう糖液や食塩水を点滴注射します。通常、約2,000gの体重に達すると自力で飲むことが可能です。

呼吸へのサポート

無呼吸発作が起こりやすくなるため、軽症なら酸素の吸入や呼吸中枢を刺激する薬を使いますが、重症だと人工呼吸器で呼吸管理をします。

低出生体重児の場合、障害のリスクは?

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在胎週数35~37週未満の早産児は、成長・発達が正期産児とほとんど変わらないことことが多いです。また34週未満の早産児では、6歳時点で約8割以上が普通学級に就学し、通常の学校生活を送っています。

ただし体の機能が完全にでき上がる前に生まれてくると、正期産児と比べて注意欠如多動性障害、学習障害、聴力障害などになりやすい傾向があるとされています。

特に、在胎週数が28週未満だった低出生体重児・早産児は脳性麻痺や精神発達遅滞、視力障害などのリスクが高く、長期のフォローアップが必要です。もし赤ちゃんに障害が残る可能性があると診断された場合、乳児の段階で的確に状態を掴むことは難しいので、定期的に検診を受けて経過を見守ります。

発達がゆっくりなだけの場合もあるので、自己診断せずに医師に相談しましょう。

低出生体重児の成長の過程はどうなるの?

芽 成長 若葉

低出生体重児は、平均体重以上で生まれた赤ちゃんに比べて、体重が少ないまま成長していきます。しかし、3歳過ぎ頃から追いつき始め、6歳頃にはほとんどが、遅くとも9歳頃までには身長や体重、機能の発達ともに追いつくとされています。

ただし、個人差は大きいため、定期的な検診で産婦人科や小児科の先生に成長の確認をしてくださいね。

低出生体重児だと届出が必要?

手 書類

低出生体重児を出産した際には、自治体の保健センターや役所への届出が必要になります。届出によって退院後の健康管理を保健センターが指導してくれるなど、サポートがあります。母子手帳についている出生連絡票の提出を忘れないようにしましょう。

届出の方法ですが、個別の低出生体重児届出書を提出するか、出生届に出生児の体重を記入するだけで申請が済む自治体もあります。低出生体重児の届出は医師や助産師でも可能なため、入院中に記入と届出が済んでいることもあるので、退院時には申請が完了しているのか確認しましょう。

他に、出生体重が2,000g以下で入院等での処置が必要な赤ちゃんには、未熟児養育医療制度の利用が可能です。指定した養育医療機関における入院費と治療費の補助を受けることができます。自治体によって所得制限の有無や補助金額も異なるため、申請方法も含めて自治体に確認しましょう。

低出生体重児の成長にも個人差がある

親子 赤ちゃん ママ 一緒

小さく生まれた赤ちゃんの発達や成長はどうしても気になって、同じ月齢の赤ちゃんと比べてしまいがちです。ですが、低出生体重児かどうかに関わらず、成長のスピードは個人差が大きいものです。

特に低出生体重児の赤ちゃんの場合には、身体発育曲線などの発育グラフに一喜一憂せず、お子さんの成長を長い目で見守ることが肝心です。焦らず見守ってあげてくださいね。

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