甘い香りが気持ちを癒してくれるシナモン。普段から料理や飲み物に入れるくらいシナモンが大好きという人も多いですよね。しかし、「妊娠中のシナモンは控えるように」という意見もあります。今回は、妊娠中にシナモンを摂取してもいいのか、シナモンが妊婦や赤ちゃんに与える影響、妊娠中にシナモンを摂取するときの注意点をご紹介します。
シナモンとは?効果・効能は?

シナモンは、数千年以上も昔から使われているスパイスです。主な成分は、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ナトリウム、カルシウム(※1)。さらに、マグネシウム、鉄、亜鉛、マンガンといったミネラル類も含まれます。
生薬としてシナモンが用いられるときには、「桂皮」と呼ばれ、発汗作用や温補といった効能があります(※2)。そのため、冷え症で悩んでいる女性におすすめのスパイスともいわれています。
シナモンは糖尿病や鼓腸、筋肉・胃腸の痙攣の改善に効果がある、という説も唱えられていますが、医学的な根拠はありません(※3)。
妊婦はシナモンを食べてもいい?赤ちゃんへの影響は?

ドイツ連邦リスク評価研究所は、サプリメントとして販売されているシナモンパウダーカプセルに含まれるシナモンアルデヒドを妊娠中に摂取すると、胎児に危害を与える恐れがあると発表しています(※4)。具体的にどのような危害があるかは述べられていませんが、妊娠中はシナモンを含むサプリメントを摂取するのは避けたほうがよいでしょう。
シナモンは子宮の収縮を促すという説もありますが、これについては医学的なデータはありません。
しかし、国立健康・栄養研究所の「健康食品」の素材情報データベースには、シナモンについて、「妊娠中・授乳中における医療目的での大量使用に関する安全性については、十分なデータがないため使用を避ける。ただし、香辛料として使用されている量の摂取はおそらく安全である」と述べられています(※3)。
また、妊娠中に限ったことではありませんが、カッシアと呼ばれる樹木から作られるシナモンは、クマリンという芳香成分を多く含むため、過剰に摂取すると肝臓障害を引き起こすリスクがあります(※4)。シナモンの原料となる樹木には、セイロンニッケイもありますが、こちらはほとんどクマリンを含みません。
妊婦はシナモンをどれぐらい食べてもいい?

前述のように、妊娠中は、シナモンをサプリメントから摂取するのは避け、香辛料として使用するようにしましょう。また、肝障害を起こす可能性を考えると、妊娠していなくとも、カッシアから作られるシナモンは多量に摂取しないようにしましょう。
妊娠中に、シナモンを香りづけ程度で使ったお菓子やパン、飲み物を週に数回ほど食べたり飲んだりするぶんには、大きな問題はないと考えられます。
ただし、毎日シナモン入りの食べ物を食べているという人は、妊娠中は、たまに食べる程度におさえておいたほうが無難です。シナモンを使ったお菓子やチャイなどには砂糖が多く含まれていることが多いため、シナモンのリスクよりもカロリーや糖分の摂り過ぎに注意が必要です。
妊娠中のシナモンはリラックスのための香りづけ程度に

シナモンは、その独特な香りと体を温める効果で女性に人気のスパイスである一方で、妊娠中は避けたほうがいいといわれることもあります。
妊娠中にシナモンを絶対に摂取してはいけないわけではありませんが、確実に安全だという量が決められているわけでもないため、一度に多量に摂らないようにしましょう。
妊娠中は、それまで何気なく口にしていたものを控えなくてはいけなくなるため、ストレスが溜まることもありますが、赤ちゃんが生まれるまでの辛抱です。シナモンも適量を守れば問題はないので、妊娠中の時々の楽しみとして、香りづけに使ってみてくださいね。