妊娠中期は、お腹の大きさが少しずつ目立ってきて、赤ちゃんの成長を実感できる時期です。妊娠初期に悩まされていたつわりがおさまる人が多く、精神的にも安定してきます。この時期は、バランスの良い食事を心がけ、くれぐれも食べ過ぎには気をつけましょう。今回は、妊娠中期の食事のポイントや、おすすめの食べ物・栄養素をご紹介します。
妊娠中期とは?

妊娠中期とは、妊娠16週~27週(5~7ヶ月)のことをさし、「安定期」と呼ばれる時期です。この時期の母体と胎児の状態は、主に以下の通りです。
妊娠16週~23週
お腹のふくらみが目立つようになり、胎動を感じられる時期です。乳房がふっくらし、母乳がうっすらと出始める妊婦さんもいます。
胎児には皮下脂肪がついて、次第にバランスのとれた体つきになり、顔立ちもはっきりとしてきます。身長は、妊娠23週末で30cmほどまでに成長します(※1)。ただし胎児の成長スピードには個人差があります。
妊娠24週~27週
お腹が突き出て、姿勢がそり気味になってきます。腸がだんだん圧迫されてくるため、便秘になりやすい時期です。
胎児には、毛細血管ができ、聴覚・味覚・嗅覚も発達してきます。手のひらをぎゅっと握ったり、足を活発に動かしたりします。
妊娠中期の食事のポイントは?

妊娠初期につわりの症状がひどく、食事がほとんどできなかった人や、特定のものしか食べられなかった人は、妊娠中期に入って体調が落ち着いたら、バランスの良い食事を心がけましょう。
食欲が増す時期なので、食べ過ぎには注意が必要です。妊娠中の肥満は、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病、出産時の難産といったリスクにつながります(※1)。妊娠中期に入ったら、適正体重を意識するようにしましょう。
妊娠中の適切な体重増加量は、妊娠前のBMI値により判断できます。日本産婦人科学会によると、妊娠中の体重増加量の推奨値は以下の通りです(※2)。

体重が急激に増えたり、過度に増えたりした場合は、医師や助産師に相談してくださいね。
妊娠中期に摂取したい栄養素は?

妊娠中期は栄養素バランスの良い食事を心がけましょう。妊娠中期に特に意識して摂りたい栄養素をご紹介します(※3)。
カルシウム
カルシウムは、胎児の歯や骨の発達に必要な栄養素です。妊娠中だからといって、妊娠前よりもカルシウムを多く摂取する必要はないといわれていますが、日常の食生活でカルシウムが不足しがちな人は、意識的に摂取しましょう。
鉄分
妊娠中期を過ぎると、貧血に悩まされる人が増えるので、鉄分を摂取して妊娠中の貧血を予防しましょう。厚生労働省によると、鉄は非妊娠時と比べて、妊娠初期で+2.5mg、妊娠中期以降は+9.5mgを摂取することが推奨されています(※4)。
葉酸
妊娠前から妊娠初期にかけて葉酸を積極的に摂取していたものの、妊娠中期になると意識しなくなってしまう妊婦さんも多いですよね。葉酸は鉄分と同じように、貧血予防も期待できるので、妊娠中期以降もしっかりと摂るようにしましょう。
食物繊維
妊娠中期の後半に入ると、お腹がどんどんせり出すので、便秘や腰痛、痔といったマイナートラブルに悩まされる妊婦さんも。便秘を予防するためには、食物繊維を積極的に摂るようにしましょう。
上記以外の栄養素も含めながら、様々な栄養素をバランスよく摂取することが大切です。
妊娠中期におすすめの食べ物は?

ここでは、妊娠中期の妊婦さんにおすすめの食材をご紹介します。
ほうれん草・小松菜
ほうれん草や小松菜は、妊娠中期に積極的に摂りたいカルシウムと鉄の含有量が多く、体内の余分なナトリウムを排出し、高血圧予防に効果があるカリウムも含んでいます。カロテン、ビタミンC、食物繊維の含有量が多いのもポイントです。
鮭
鮭は良質なたんぱく質のほか、ビタミンが豊富な魚です。カルシウムの吸収を助けるビタミンDが含まれているので、カルシウムを多く含む食品と一緒に摂るのがおすすめです。
また、赤ちゃんの脳の形成に不可欠なDHAや、血液の流れをよくし高血圧の予防にも役立つEPAも多く含んでいます。ただし、塩分の取り過ぎを控えるために、できるだけ生鮭を選び、塩鮭の食べ過ぎには注意してくださいね。
柑橘系フルーツ
グレープフルーツやオレンジといった柑橘系フルーツには、免疫力を高めるビタミンCがたっぷり詰まっています。ビタミンCには鉄の吸収を助ける働きもあるので、鉄を多く含む食材と合わせたメニューにするのもおすすめです。
妊娠中期の食事を楽しもう
妊娠中期は多くの妊婦さんがつわりから解放され、体調が安定するので、食事を美味しく食べられる時期です。どんどん大きくなるお腹の赤ちゃんのためにも、栄養バランスの良い食事を心がけるようにしましょう。
カロリーや脂肪分の過剰摂取には気をつけて、健康的なマタニティライフを送れるといいですね。