赤ちゃんが急にむせて咳こんだり、嘔吐したりするとびっくりしてしまいますよね。「もしかして何かの病気?」と不安も募ります。今回は、赤ちゃんや新生児がむせる、咳こんで吐くときの原因、対処法、病院を受診する目安についてご紹介します。
赤ちゃんや新生児はむせることが多い?咳こんで吐くこともある?
赤ちゃんや新生児がむせたり、咳こんで吐いたりすることは、実はよくあります。詳しくはこの後に説明しますが、大人に比べて赤ちゃんの胃は小さく、消化機能も未発達なので、むせたり、咳が刺激になって吐いたりするのです。
また、咳で唾液や母乳・ミルクなどが気管に入ってしまってむせることも珍しくありません。もし赤ちゃんや新生児がむせたり、咳をしたときに吐き戻したりしても、顔色の変化や明らかな呼吸困難がなければ、様子をみておきましょう。
赤ちゃんがむせる・咳こんで吐く原因は?
赤ちゃんや新生児がむせたり、咳をして吐いたりするのは、以下の3つの原因が考えられます。
胃の形がシンプルだから
赤ちゃんの胃は、大人のようにS字状に曲がっておらず、ストンとまっすぐな形をしています。さらに、胃の入口の筋肉がまだ発達していません。そのため、何かのきっかけで胃を圧迫されると、すぐに逆流を起こして胃の内容物が溢れ出し、むせたり、咳こんで吐いたりしてしまいます。
また、赤ちゃんは授乳中に空気も一緒に飲み込んでいますが、胃の筋肉が弱いせいで自力で空気を出すことができません。そのため、胃の中の空気が逆流してむせたり、吐き戻したりします。
鼻水が喉に流れ込むから
横になったときに鼻水が喉の奥へ流れ込むと、むせたり、咳こんで吐いたりします。
痰を上手く切れないから
喉に流れ込んだ鼻水が痰になってしまうと、喉の奥にからまってイガイガします。赤ちゃんによっては、不快感から痰を外に出そうとしますが、うまく切れないためにむせたり、咳とともに吐いたりすることもあります。
赤ちゃんが授乳後にむせる・咳こんで吐く原因は?
赤ちゃんは胃の形などの理由からむせたり、吐き戻したりしやすいのはすでに説明した通りですが、授乳中や授乳後にむせる、吐くということもよくあります。
母乳・ミルクの勢いが強いから
大人も飲み物を急に飲むと、むせて咳こんだり、吐き戻したりすることがありますよね。母乳やミルクも同様に、出すぎていると赤ちゃんがむせやすくなります。
すでに飲み過ぎているから
母乳は、基本的には赤ちゃんが欲しがるだけ飲ませてあげるのがよいとされています。しかし、授乳後にいつもむせる場合には、毎回飲み過ぎている可能性があります。
呼吸がうまくできていないから
新生児だと特に、母乳やミルクを飲むことに必死になって、呼吸がうまくできなくなり、むせる・咳こんで吐き戻す、ということも多くあります。
赤ちゃんがむせる・咳こんで吐くときの対処法は?
赤ちゃんがむせたり、咳こんで吐いたりしたときの対処法には、次のような方法があります。「病気かな!?」と心配する前に、これらを試してみましょう。
縦抱きをして背中をさする
赤ちゃんが授乳のたびにむせたり、咳こんだりする場合は、無理に飲ませず、縦抱きにして背中をさすってあげましょう。気管が開いて咳が楽になるので、吐き戻しやむせるのを防げます。
「授乳後に背中をさすってげっぷをさせてくださいね」と産婦人科より指導がありますが、この方法は吐き戻しやむせの予防にもなりますよ。
鼻水を吸ってあげる
風邪をひいていたりして鼻水が多いときには、寝る前に鼻水を吸ってあげるといいですよ。こうすると、喉に流れる鼻水の量を減らすことができます。また、痰も出にくくなります。
母乳・ミルクの勢いを弱める
例えば、ミルクの勢いが強すぎるのであれば、哺乳瓶の乳首の穴を小さいものに取り換える、複数回に分けてあげるなどして対処しましょう。母乳の勢いが強い場合は、授乳の前に少し絞ってあげてから飲ませたり、授乳の間に休憩を挟んだりするといいでしょう。
授乳の量を調節する
赤ちゃんが母乳やミルクを飲みすぎているのであれば、お腹の張り具合や吸い方の様子を見ながら、与える量を調節してあげましょう。ミルクであれば見た目から赤ちゃんが飲んだ量がわかるので、少し減らして様子をみるといいですね。
呼吸するタイミングを作ってあげる
赤ちゃんが母乳やミルクを飲むことに一生懸命で呼吸ができないためにむせたり、咳こんで吐き戻しているのであれば、意識的に授乳の間隔を開けて、赤ちゃんが呼吸するタイミングを作りながら飲ませてあげるといいでしょう。
赤ちゃんがむせる・咳こんで吐くときに病気の可能性は?
単純に、胃が圧迫されたことでむせたり、咳こんで吐いたりしただけなら何の心配もありません。ただし咳の回数が多く、食欲がなかったり機嫌が悪かったりするなら、病気の可能性があります。咳の様子だけではなく、発熱や鼻水など他の症状が現れていないかを確認しましょう。
発熱や鼻水を伴う咳をしていれば、インフルエンザを含む風邪のウイルスなどの感染症が考えられます。また、ゴホゴホと痰のからんだ咳をしてゼーゼーという苦しそうな呼吸をしていれば喘息性気管支炎の可能性もあります。
ケンケンといった犬の遠吠えのような咳をしていて、呼吸が苦しそうなときは、クループ症候群が疑われます。ほかにもRSウイルスによる細気管支炎・気管支炎での咳など、治療が必要な病気の可能性もあります。
いつもと違う咳が見られる、咳が長期間続く、咳以外にも発熱や呼吸困難のような状況が見られるなどがあれば、一度小児科を受診するようにしましょう。
ほかにも、授乳後に吐くことが続く場合には、栄養状態も気になるので、産婦人科で母乳外来にかかるなど、授乳の方法についてアドバイスを受けてください。
赤ちゃん・新生児がむせる・吐くより咳の状態に注意して!
基本的にむせたり、咳こんで吐いたりすることは、赤ちゃんの体の特徴もあるので、それほど心配いりません。むしろ、咳と呼吸の状態に注意しましょう。
咳がひどければひどいほど、また、呼吸が早ければ早いほどその刺激で吐いたりむせたりすることが増えるので、咳の症状や原因を治療することが重要ですよ。