自閉症の赤ちゃんの症状や特徴は?いつわかるの?診断基準は?

監修医師 小児科医 黒木 春郎
黒木 春郎 日本小児科学会専門医、子どもの心相談医。1984年千葉大学医学部卒。現在はこどもとおとなのクリニック パウルームの院長として診療を行っております。公認心理師や発達臨床心理士の資格も取り、お子さんとご両... 監修記事一覧へ

赤ちゃんの成長は個人差が大きいものですが、一般的な目安と比べて少しでも遅れや違いがあると、心配になることもありますよね。なかでも、「自閉症」は耳にする機会も多いですが、どのような特性(症状)があるのか詳しく知っている人は少ないのではないでしょうか。

今回は、自閉症の赤ちゃんの特性や診断基準、どのようにサポートしたら良いのかについてご紹介します。

自閉症とは?どんな原因があるの?

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自閉症とは正しくは「自閉スペクトラム症(ASD)」といい、生まれつきの脳の働き方の特性によって起こる発達障害(神経発達症)のひとつです(※1)。

人口の約1%に見られ、女の子に比べて男の子のほうが約4倍起こりやすいといわれています(※1,2)。

自閉症の子どもは、一般的に以下のような特性を持っています。

● 人との関わりが苦手
● 言葉の発達が遅い
● 特定の行動や興味に強くこだわる
● 感覚が過敏

ただし、特性の現れ方や程度は人それぞれです。

自閉症の原因はまだはっきりと特定されていませんが、あくまでも「生まれつきの特性」なので、ママやパパの育て方やしつけ方、本人の性格が原因で起こることはありません。

さまざまな遺伝的な要因によって起こる生まれつきの脳の機能障害が関係しているのではないかと考えられています(※2)。

また、妊娠中の胎内環境や周産期のトラブルも関係している可能性があるとされています(※2)。

赤ちゃんの自閉症は、いつ分かるの?どんな兆候がある?

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自閉症の可能性がある赤ちゃんは、月齢や年齢によって次のような特性があらわれます。ただし、特性が現れたからといって、すぐに自閉症であると断定できるわけではありません。

特性の程度や現れ方によっては、6歳頃まで診断できないケースもあるので、あくまで参考程度としてくださいね(※1)。

なにか気になる点がある場合は、小児科や保健センターなどで相談しましょう。

生後3ヶ月頃

● ママやパパと目を合わせようとしない
● 抱っこを嫌がる
● 笑わない

赤ちゃんは本来、親に対して絶対的な安心感があるので、ママやパパの目を見つめたり抱っこされたら泣き止んだりするのが一般的です。

しかし自閉症の疑いのある赤ちゃんは、おっぱいやミルクをあげているときに視線が合わなかったり、抱っこを嫌がって泣いたりする傾向があります。

生後6ヶ月前後

● 落ち着きがない
● 抱っこされていても常に周囲を見回している
● 抱っこを求めない
● 後追いをすることが少ない

この時期は、一般的に人見知りが始まりママやパパから離れることを嫌がる赤ちゃんが多いですが、自閉症の可能性がある赤ちゃんは、ほとんど人見知りをしない傾向があります。

1歳頃

● 指さしをしない
● クレーン現象をする
● 呼びかけに応じない
● ママやパパの真似をしない

自閉症の赤ちゃんは指さしをせず、ママやパパなど他の人の手を使って、ものを取らせたり指したりする「クレーン現象」と呼ばれる行為をすることがあります。

また、言葉の理解、発語が遅いという特徴がみられ始めます。周囲への関心が薄いため、呼びかけても応じない、親や人の真似をしないという特性が目立ちます。

2歳頃

● 言葉の遅れが目立つ
● 偏食が目立つ
● 特定のものへのこだわりが強い

2歳になると、通常は言葉の発達が加速度的に起こるため、自閉症の子どもは言葉の遅れが目立つようになります。

発言だけでなくママやパパの声かけへの理解ができず、生活では同じ食べものばかり食べる、特定の遊びしかしない、好きな柄の服しか着ないなど、こだわりが強くなりマイペースに過ごすことがみられることもあります。

赤ちゃんの自閉症はどうやって診断されるの?

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自閉症は、問診や行動観察、心理検査、知能検査などの結果とあわせて、以下のような特性がみられる場合に診断されます(※2)。

● さまざまな状況(家庭や保育園・幼稚園)において、人とコミュニケーションをとることや他人の気持ちや感覚を読み取る能力が乏しい

● 行動や興味の強いこだわりがあり、同じ動きや会話を繰り返したり、ひとつのことに固執したりする

● 感覚に過敏または鈍く、大きな声で話しかけられても気づかなかったり、特定の音にだけ過剰に反応したりといったことがある

● こういった特性によって家庭や保育園・幼稚園、学校での生活に支障が起きている など

自閉症の赤ちゃんにはどう対応したらいい?

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自閉症は生まれつきの脳の機能障害で、はっきりとした原因はわかっていません。

本人にあった発達支援や教育的な対応、症状に対する治療を早めに行うことで、他の子たちとほとんど変わりなく成長できる子もいます。強いこだわりやかんしゃくなどは、薬によって軽くできるケースもあります。

ママやパパだけで問題を抱え込んだり、赤ちゃんや子どもの行動を無理にやめさせたりするのではなく、医師や心理士、言語聴覚士、作業療法士といった専門家や、家族や知人の協力を受けながら、本人の特性を理解してサポートしていきましょう。

自閉症も赤ちゃんの個性のひとつ

赤ちゃんや子どもが自閉症と診断されると戸惑ってしまうかもしれませんが、本人の特性をよく理解して持っている力を伸ばしていけるように支えてあげましょう。

自閉症も個性のひとつと考えて、成長をあたたかく見守ってあげられるといいですね。

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