痰の絡みは大人でも不快なので、赤ちゃんや新生児が痰で苦しそうにしていると、痰を出してすっきりさせてあげたくなりますよね。大人は咳払いなどで痰を出すことができるものの、赤ちゃんは自分で痰を出すことができません。そこで今回は、赤ちゃんや新生児に痰が絡んだときの痰の出し方などの対処法、痰の絡んだ咳が出たときの注意点、病院を受診する目安などをご紹介します。
赤ちゃんは痰が絡みやすい?ゼロゼロするのはなぜ?

痰は、気道から出る分泌物です。健康な人も痰は常に分泌されていますが、気道の表面から再び吸収されたり、喉まで上がってきた痰を無意識に飲み込んだりしているため、痰を意識することはあまりありません(※1)。
ヒトが細菌やウイルスに感染すると、白血球などの免疫細胞は体を守ろうとして細菌やウイルスを攻撃します。痰は、ウイルスや細菌と戦った白血球の死骸を絡め取って、のどや気管などから排出する役目を果たします(※2)。
また、喉の奥から肺までの、空気の通り道の粘膜の表面に強い刺激が加わったり、炎症が長く続いたりすると、痰の量が増えます。痰が出るのは、人間の体を守るためには不可欠な生理現象なのです(※1)。
ただ、赤ちゃんや新生児は大人と違って、咳払いなどをして痰を出すことができないので、痰が喉の奥にとどまってしまいます。そうすると、呼吸するときに痰のせいでゼロゼロと息苦しそうにすることがよくあります。
赤ちゃんや新生児の痰の出し方や対処法とは?

赤ちゃんや新生児は気道が狭いため、少しの痰でも、喉の奥に絡んで咳き込んでしまいます。
赤ちゃんや新生児は自力で痰を出せないので、ママとパパが、痰が絡まないようにサポートしてあげる必要があります。ここでは、赤ちゃんに痰が絡んでしまったときの対処法をご説明します。
1. 部屋を加湿する
室内が乾燥していると、喉も乾燥します。喉が乾燥すると痰の量が増えて痰を出しにくくなるので、室内の湿度を高めに保つようにしましょう。加湿器を使ったり、洗濯物を室内に干したりして、湿度を保つ工夫をしましょう。
2. 水分で喉を潤す
喉が渇いているときに咳をしても痰は取れにくく、逆に水分で喉を潤すと痰の粘り気が弱くなって痰が出やすくなります。
赤ちゃんや新生児が痰が絡んで苦しそうなときは、常温の湯冷ましや麦茶、あるいは母乳などを飲ませましょう。冷たい飲み物は気管を収縮させて痰が絡みやすくなるので、控えてくださいね。
3. 背中を叩く(タッピング)
赤ちゃんや新生児が咳をしたときに背中を軽く叩くと、喉に張りついている痰が振動して出やすくなります。胸や背中をさすってあげるのも効果的です。
咳と一緒に痰が出せるように、赤ちゃんや新生児の咳のタイミングを見ながら叩いてあげてくださいね。
4. 姿勢を変える
赤ちゃんや新生児が痰が絡んで寝苦しそうにしているときは、寝る姿勢を変えてあげましょう。
いつもより多く枕やクッション、布団、バスタオルなどを赤ちゃんや新生児の上半身の下に敷き、上体が少し起きるようにします。吐き戻し防止枕でも構いません。
この姿勢にすると咳も軽減しますよ。
首が据わっている赤ちゃんであれば、横向きで寝かせてあげるのも有効です。
5. 鼻水を吸引する
赤ちゃんや新生児が鼻水が出していて、鼻水が喉に落ちているようであれば、鼻水を吸引してあげるのも良いでしょう。
家庭でできる鼻水吸引器も市販されているので、用意しておくと風邪を引いたときに重宝しますよ。あまりにもひどい場合は、病院に行って、医療用の本格的な機械で鼻水吸引をしてもらいましょう。
赤ちゃんや新生児の痰が絡む咳、ゼーゼーという呼吸には要注意!
前述のとおり、痰は呼吸器系に侵入してきた異物を体外へ出す働きがあるので、健康な状態でも分泌されています。ただ、赤ちゃんや新生児は喉が細いので、少しの痰でも絡んで咳き込みやすいのです。
咳をすると痰は喉元の上のほうに上がりますが、赤ちゃんや新生児は吐き出せないため、そのまま痰を飲み込んでしまいます。一時的に痰の絡みは取れますが、時間が経つとまた、ゴホゴボと湿った咳をし始めます。
赤ちゃんや新生児の痰の絡む咳の多くは風邪によるものです。風邪を引くとネバネバした鼻水が喉へ落ち、痰のように絡んでしまうためです。
赤ちゃんや新生児が痰の絡んだ咳をしていたら、発熱や喘鳴(ゼーゼー、ゼロゼロと音がする)がないか確認してください。発熱や呼吸が苦しい様子があればRSウイルス感染などによる細気管支炎や肺炎の可能性を考えて、小児科を受診しましょう(※1)。
赤ちゃんや新生児の痰がこれ以上ひどくならないように、病気の元を治療する必要があります。
赤ちゃんや新生児の痰が黄色い!これは治りかけ?

通常の痰の色は、無色透明です。
赤ちゃんや新生児が黄色い痰を出しているようなら、細菌に感染しているかもしれません。痰が黄色くなるのは、細菌と白血球が戦った後の死骸によるものだと考えられています。
また黄色から緑色の痰を出すこともあります。一般的に、細菌感染したときにこのような痰が出やすいと考えられています。息苦しい、熱がなかなか下がらない、食欲がないといった症状がある場合は、早めに小児科を受診するようにしましょう(※3)。
赤ちゃんや新生児の痰の絡みは病院で吸引できる?

赤ちゃんや新生児が痰を出しやすいように対処しても、ゼーゼー、ゼロゼロと息苦しそうに呼吸していたり、咳き込み過ぎて嘔吐したりするときは、早めに小児科を受診しましょう。
絡んだ痰を切る薬を処方してもらえば、赤ちゃんもかなり楽になるはずです。ただし、絡んだ痰を吸引するのは難しいので、病院に行ったからといってすぐに痰を除去できるわけではありません。
赤ちゃんや新生児の痰の症状がひどくなってからだと、治るのにも時間がかかります。痰の症状が気になったら、早めに受診しましょう。
赤ちゃんや新生児の痰が絡む咳は早めの対処を!
痰が絡むのは不快で、赤ちゃんも常にぐずっているような状態になります。夜もぐっすり眠れなくなり、元気がなくなってしまうこともあります。赤ちゃんや新生児に痰が絡む咳が現れたら、早期対処を心がけてくださいね。
赤ちゃんや新生児に痰を出しやすくする対処法をしてあげて、少しでも楽にしてあげましょう。必要があれば、病院で薬を処方してもらってくださいね。