赤ちゃんは咳をすることがよくあります。しかし、咳が止まらなかったり、長く続いていたり、痰が絡んだような重たい咳をしていると、何かの病気ではないかと心配になりますよね。咳は体力も奪うので、できるだけ早く対処してあげたいもの。今回は、咳がひどいときの対処法とともに、咳が止まらないときや、長く続くときに考えられる病気についてご紹介します。
赤ちゃんの咳の原因は?
赤ちゃんの咳の原因の一つとしては、風邪などが考えられます。
生後6ヶ月未満の赤ちゃんは風邪を引かないといわれることがありますが、そもそもママからは免疫を受け継ぐことができない細菌やウイルスであれば、感染する可能性があります。
その他に赤ちゃんの咳の原因としては、部屋のホコリや空気の乾燥、寒暖差ということも考えられます。
咳は喉や鼻に入った異物を外に出そうとする反射的な行動の一つです(※1)。赤ちゃんの場合は空気の通り道が狭く、小さな異物にも反応しやすいために、大人よりもホコリや空気の乾燥などが原因で咳をしやすいと考えられます。
特に病気の症状がみられないのに咳が続くときは、部屋の掃除や換気をしたり、空気清浄機を使ったり、加湿器で部屋の湿度を高く保ったりするなど、部屋の環境を整えてあげましょう。ホコリや乾燥はアレルギー症状やぜんそくなどの長引く咳にもつながりやすいので注意が必要です。
赤ちゃんの咳が止まらない!ひどいときの対処法は?
赤ちゃんが風邪で咳をしているときは、まずウイルス性の風邪が考えられます。高熱もなく、元気で食欲もあるようなら自宅で様子をみましょう。
しかし、1度咳をするとなかなか止まらないときや、咳の状態がひどいときは、それが咳を悪化させる原因にもなるので、対処してあげる必要があります。
以下の方法を参考に対処してあげましょう。
鼻水をこまめに取る
鼻水が出ている場合、鼻水が喉に落ちて気管をふさいでしまい、咳が出ることもあります。電動鼻水吸引器や口で吸うなどして、こまめに鼻水をとってあげましょう。咳が続いたり、ひどくなったりした場合は小児科や耳鼻科でしっかり取ってもらってください。
湿度を上げる
空気が乾燥すると、咳が乾き、痰が出にくくなったり、絡みやすくなったりします。加湿器を使ったり、濡れたタオルを干したりして、部屋の湿度を高めましょう。
水分を多く摂る
咳が止まらないときや、長く続くときは、湿度を上げるだけでなく、喉を直接潤すことも大切です。できるだけ常温の水やお茶、母乳やミルクなどで水分を多く摂るようにしましょう。冷えすぎた水は喉を刺激してしまう恐れもあるので、常温の水がおすすめです。
上半身を高くして寝かせる
鼻水や痰が詰まっているせいで咳が続いてうまく寝られないときは、枕を少し高くして気道を確保してあげましょう。そうすると、呼吸が楽になって、咳も治ることがあります。
赤ちゃんの咳が止まらない・長く続くときに考えられる病気とは?
赤ちゃんの咳が長く続くときや、対処してもなかなか止まらない場合、発熱や鼻水など他の症状を伴う場合は、他の病気が隠れているかもしれません。放っておくと、重症化することもあるので注意が必要です。
赤ちゃんの咳が長く続く場合は、以下のような病気が考えられます。前述の対処法を行いつつ様子をみて、悪化するようであれば小児科を受診してくださいね。
肺炎
咳と高熱が続く場合は、肺に炎症が起きている可能性もあります(※1)。原因は主にウイルスですが、マイコプラズマや細菌による感染症が合併していることもあり、胸部レントゲンで診断されます。
気管支炎
急性気管支炎と細気管支炎があり、ウイルスや細菌による感染が原因で気管支に炎症が起きます。発熱・咳・鼻水をともない、風邪が悪化してかかることがあります。
細気管支炎は主に1歳未満の赤ちゃんに発生し、多くの原因はRSウイルス感染症です(※2)。母乳やミルクを飲む力が低下したり、呼吸困難になることもあるので注意しましょう(※1)。
小児ぜんそく
「ゼーゼー」「ヒューヒュー」と、いわゆる喘鳴(ぜんめい)が聞こえるような状態のときは、小児ぜんそくの可能性があります。
小児ぜんそくの約60〜70%は2〜3歳くらいまでに発症するといわれます。また原因の70~90%はダニ、カビ、ペットなどのアレルギーによるものです(※3)。また寒暖差が激しい環境やストレスを避けるようにしましょう。
百日咳
百日咳は、咳、鼻水、くしゃみから始まり、顔を赤くして咳き込む発作が3ヶ月近く続くこともあります(※1)。四種混合ワクチンを接種する前の赤ちゃんには百日咳の免疫がないので、新生児でもかかることがあります。なお、発熱は見られません。
初期症状が風邪と似ていて気づきにくいので、症状をよく観察する必要があります。
副鼻腔炎
鼻水・鼻づまりが起きている状態で、痰が絡んだような湿った咳をしていたら、ウイルスにより副鼻腔に炎症がおきていることも考えられます。基本は鼻水を吸引して自然に治まっていきますが、悪化していると抗菌薬を使うこともあります。
鼻水が治まっても、咳が続くこともあります(※2)。
クループ症候群(喉頭炎)
「ケンケン」と犬が吠えるような咳が出るときは、のど(喉頭)の少し奥にある声帯あたりが炎症するクループ症候群かもしれません。ひどくなると、息を吸い込むときに音が聞こえるようになります。
また、気道が狭くなることで呼吸困難になる恐れもあります(※2)。夜間や早朝に悪化することがあるので、症状が現れた場合は救急外来で診てもらいましょう。
赤ちゃんの咳が止まらないときの注意点は?
赤ちゃんが風邪で咳をしているときは、症状をよく観察することが大切です。一般的な風邪であっても、寝苦しくて夜中に何度も目が覚めてしまう、咳き込んで母乳やミルクが飲めないといった場合は、早めに受診してください。
咳が長く続くだけでなく、赤ちゃんの様子に次のような症状が見られたときは、夜間救急外来など時間外でも診察してくれる病院か、子ども医療電話相談(#8000)に電話で相談しましょう。
時間外でも受診が必要な状態
● 「ゼーゼー」「ヒューヒュー」など、喘鳴のある発作がある
● 「ケン、ケン」と、犬の遠吠えのような異常な咳が出ている
● 咳のたびに肋骨の間や鎖骨がへこむような呼吸困難をおこしている
● 酸素不足で顔面やくちびるが青くなっている
● ぐったりして意識障害が見られる
● 水分が摂れず、おしっこが出ていない
赤ちゃんの咳が止まらないときはすぐ対応を
赤ちゃんの咳が止まらないときは、部屋の環境などを再度確認し、悪化させないためにできるだけ早く対処してあげることが大切です。赤ちゃんは免疫機能が弱いので、ちょっとした咳でもこじらせてしまい、長く続くことも珍しくありません。
赤ちゃんの咳が1週間以上続く場合は、風邪や病気の可能性があります。赤ちゃんの様子をこまめにチェックして、少しでもいつもと様子が違うようなことがあれば、早めにかかりつけの病院を受診してくださいね。