子宮内胎児死亡とは?原因と確率、症状は?臨月でも起こる?

監修医師 産婦人科医 間瀬 徳光
間瀬 徳光 2005年 山梨医科大学(現 山梨大学)医学部卒。板橋中央総合病院、沖縄県立中部病院などを経て、現在は医療法人工藤医院院長。産婦人科専門医、周産期専門医として、産科・婦人科のいずれも幅広く診療を行って... 監修記事一覧へ

子宮内胎児死亡という言葉を聞いたことはありますか?文字通り、赤ちゃんがママの胎内で亡くなってしまうことをいいます。今回は、子宮内胎児死亡について、原因や起きる確率、症状はあるのかどうかなどについてご説明します。

子宮内胎児死亡とは?原因は?

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子宮内胎児死亡とは死産の一種で、分娩前にママのお腹のなかで胎児が亡くなることをさします。死産は、妊娠満12週(妊娠12週0日)以降と定義されています(※1)。

お腹の中で大切に育ててきた赤ちゃんが突然亡くなってしまうので、自分を責めてしまう人が多いかもしれません。

しかし、子宮内胎児死亡の原因はさまざまで、原因を特定できないこともあります。また、原因はひとつではなく、いくつかの原因が重なりあって引き起こされることもあります(※1)。

子宮内胎児死亡の原因として考えられていることは、以下が主なものです(※2)。

母体側の何らかの異常

● 妊娠高血圧症候群
● 常位胎盤早期剝離(胎児が子宮内にいるうちに、胎盤が子宮から剥がれてしまう状態)
● 妊娠42週を超えていた(過期妊娠)
● 自然流産を複数回くり返した経験がある
● 血液型が胎児と適合していなかった
● 合併症を併発した(糖尿病、腎疾患、膠原病、抗リン脂質抗体症候群など)
● 子宮になんらかの異常があった

胎児側の何らかの異常

● 奇形
● 染色体の異常
● 感染症(梅毒、トキソプラズマ、パルボウイルス、サイトメガロウイルス、風疹など)
● 胎盤の異常
● 卵膜の異常
● 臍帯辺縁付着(胎盤の中央に着くはずの臍帯が、胎盤の端についてしまうこと)
● 臍帯脱出(破水後に胎児よりも先に臍帯が脱出し、子宮口を通過して腟などにぶら下がってしまうこと)
● 胎児母体間輸血(胎児の血液が母体に流入すること)
● 双胎間輸血症候群(一絨毛膜双胎に起こる特殊な病気。片方の胎児にのみ血液が過剰に送り込まれること)

子宮内胎児死亡は処置や手術をする?

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超音波検査などで子宮内胎児死亡が確認されたら、すみやかに胎児や胎盤などを子宮外へと取り除く処置が必要になります。処置の方法は、妊娠週数や子宮の大きさ、胎児の大きさなどで異なります(※1)。

その後、死産証明書を作成し、両親あるいは家族などが届け出ることが義務付けられています。

届け出る先は、両親が住んでいる市区町村か、子宮内胎児死亡後の処置を行った場所を管轄する市区町村です。届け出ても、死産は出生ではないため、戸籍上に記録されることはありません。

死産証明書が受理された後は火葬許可申請書を提出し、火葬・埋葬を行うことになります。

子宮内胎児死亡が起きるときに症状はある?

子宮内胎児死亡が起こると、妊娠初期と中期に、下記のような症状が現れることがあります(※2)。

ただ、症状はあまり感じず、妊婦健診などで超音波検査をして初めて子宮内胎児死亡が起こっていたと判明することもあります(※1)。

妊娠初期の子宮内胎児死亡の症状

下腹部や腰が痛い、つわり症状が軽くなる、不正性器出血がある

妊娠中期の子宮内胎児死亡の症状

赤ちゃんの胎動を感じなくなる、強い腹痛がある

これらの症状が見られたからといって必ずしも子宮内胎児死亡が起こっているとは限りませんが、すみやかにかかりつけの産婦人科を受診し、医師に相談するようにしてください。

子宮内胎児死亡が起きる確率は?臨月でも?

確率
子宮内胎児死亡が起きる確率は、わかっていません。

ただ、ある大学病院の関連施設での分娩のうち、0.44%に子宮内胎児死亡が見られたという報告があります(※3)。臨月でも、子宮内胎児死亡は起きています。

臨月に子宮内胎児死亡が起きた場合、その74%が胎児母体間輸血(母児間輸血症候群)が原因という報告があります(※1)。

胎児母体間輸血は、下記のあとに起こる可能性もあるとされています。しかし、80%は原因がわかっていないのが現状です(※4)。

● 母体が何からの外傷を負った
● 前置胎盤や前置血管に併発して発生した
● 羊水検査や逆子を直すための外回転術をした

子宮内胎児死亡につながる異変を感じたらすみやかに受診を

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だれもが、赤ちゃんが無事に生まれてきてくれることを願っています。しかし、わずかな確率ではなりますが、子宮内胎児死亡が起こる可能性もあります。

妊娠中に今回ご紹介したような異変を感じたら、すぐにかかりつけの産婦人科を受診するようにしてください。ちょっとしたことでも、気になることや不安なことがあれば、医師や助産師に相談すると安心ですよ。

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