妊娠初期に現れる「つわり」は、妊婦さんにとって大きな悩みの種。できるなら早く終わってほしいというのが本音だと思います。しかし、妊娠初期に急につわりが消えてしまうと「赤ちゃんに何かあったのでは?」と不安になってしまうこともありますよね。今回は、妊娠初期につわりが急になくなる理由と流産の可能性についてご説明します。
そもそも、つわりはなぜ起こるの?

つわりとは、妊娠初期に起こる生理現象の一つです。主に吐き気や嘔吐などの「吐きつわり」が現れますが、何かを食べてないと気持ち悪くなる「食べつわり」や、いつも眠気に襲われる「眠りつわり」などが起きることもあります。
つわりを引き起こす原因はまだはっきりとわかっていませんが、妊娠による体内のホルモンバランスの変化が影響していると考えられています。そのため、妊娠とつわりは切っても切れない関係であり、妊婦さんの50〜80%がつわりを経験するといわれ、出産が初めての妊婦さんに特に多く見られます(※1)。
つわりはいつからいつまで続くものなの?

つわりは妊娠5〜6週頃に現れて、胎盤ができあがる妊娠12〜16週頃まで続くのが一般的です。妊娠8〜11週くらいが症状のピークといわれ、つわりが続く期間は平均的に6~8週間ほどです。
ただし、つわりがほとんど現れない人もいますし、始まる時期や終わる時期も人によって違うので、あくまでも目安と考えてください。
妊娠16週(妊娠5ヶ月)以降はいわゆる「安定期」に入り、体調が落ち着いてきます。
妊娠初期につわりが急になくなるのは流産?

妊娠初期(妊娠15週が終わるまで)につわりがなくなる原因の一つとして「流産」があります。つわりが消えると、妊娠が継続できなくなったのでは…と不安を感じるかもしれません。
しかし、妊娠初期につわりが消えたからといって必ず流産を起こしているとは限りません。前述のとおり、つわりは妊娠12〜16週頃を目安に徐々に消えていくので、単純につわりが治まっただけの可能性もあります。
また、妊娠12週に入るのを待たずにつわりがなくなることもあるので、「妊娠初期につわりが消える=流産」とは思いこまず、落ち着いて体調を見てくださいね。
つわりがなくなる以外に注意したい変化は?

「つわりがなくなる」というのは、流産の兆候の一つですが、一般的に、切迫流産や流産の症状として、「不正出血」や「下腹部痛」が現れます(※2)。つわりが急になくなっただけでなく、不正出血や下腹部痛が起きたときは、注意が必要です。
妊娠中は多少の不正出血が出たり、お腹の張りを感じやすいものですが、これらの症状がひどい、あるいは続くときは、すぐに産婦人科を受診してください。
流産でつわりがなくなるとは限らない?

妊娠初期につわりが消えるのは流産の兆候の一つではありますが、流産すると必ずつわりがなくなるというわけではありません。
「稽留流産」といって、胎児の発育がママの子宮内で止まってしまったにもかかわらず、そのまま子宮内にとどまることがあります。
赤ちゃんの心臓が止まっていても、胎盤や絨毛などの妊娠に必要な組織はまだ体内に残っているため、つわりなどの症状が続くこともあります。
稽留流産の場合、少しだけ不正出血が見られることはありますが、それ以外の変化はほとんどありません。妊婦健診のエコー検査ではじめて判明するケースがほとんどです。
そのため、つわりの有無にかかわらず、定期的に妊婦健診を受けて胎児の状態を確認することが大切です。
つわりが急になくなったとしても、不安に振り回されないで

妊娠初期は、誰でも「流産になったらどうしよう」という不安を抱えるものです。しかし、流産への不安が大きくなり、それがストレスになってしまうと、ママにとってもお腹の赤ちゃんにとっても良くありません。
1人で悩んで不安が大きくなってしまわないように、できるだけ旦那さんやかかりつけの医師に相談しましょう。つわりが急になくなっただけで、他に体調の変化が現れていなければ、次の妊婦健診までリラックスして過ごしてくださいね。