胎児の染色体異常の原因は?

監修医師 産婦人科医 浅川 恭行
浅川 恭行 1993年東邦大学医学部卒業。2001年同大学院医学研究科卒業後、東邦大学医学部助手、東邦大学医療センター大橋病院講師を経て、2010年より医療法人晧慈会浅川産婦人科へ。東邦大学医療センター大橋病院客... 監修記事一覧へ

高齢出産が増えてきたことで、胎児の「染色体異常」について耳にする機会も増えているかもしれません。染色体異常とは、具体的にどういう状態なのでしょうか?今回は、胎児の染色体異常の原因は何か、流産につながるのか、出生前診断でわかるのか、予防することができるのかなどをご紹介します。

染色体異常とは?

医療 染色体2

私たちの体を形づくる細胞のひとつひとつに、23対46本の染色体があります。染色体には両親からの遺伝情報が詰まっていて、23対のうち1~22番目までは「常染色体」、23番目は「性染色体」と呼ばれています。性染色体は、性別を決める役割を持っています。

父親と母親から受け継いだ染色体の数が通常と異なったり、構造に異常が出たりした場合に起こる症状を「染色体異常」と呼び、代表的な例として以下のようなものがあります。

ダウン症候群(21トリソミー)

ダウン症候群のほとんどは、21番目の染色体が1本多いために起こります(※1)。主な症状としては、成長するにしたがって顔全体が平坦な形になったり、精神発達の遅れや知能障害が見られたりすることが挙げられます。

全出生におけるダウン症児が生まれる確率は、約700分の1です(※1)。ただし、ダウン症児が生まれる確率は妊婦さんの年齢が上がるにつれて高まります。例えば、妊婦さんの年齢が20歳だとダウン症児が生まれる確率は約2000分の1であるのに対して、妊婦さんの年齢が40歳だと確率は約100分の1に上がります。

エドワーズ症候群(18トリソミー)

エドワーズ症候群は、18番目の染色体が1本多いために起こります(※2)。主な症状は成長障害や心疾患、臓器の異常、手足の変形などです。

エドワーズ症候群になる確率は、全出生において約6000分の1で、性別でみると「女児:男児=3:1」で女児の方が多いといわれています(※2)。また、エドワーズ症候群である赤ちゃんの50%以上が生後1週間以内に亡くなり、生後1年まで生存できる確率は10%未満だとされています。

パトー症候群(13トリソミー)

パトー症候群は、13番目の染色体が1本多いために起こります(※3)。パトー症候群の赤ちゃんには、口唇裂や口蓋裂などの顔面奇形、小眼球症、網膜異形成などの症状が見られます。

パトー症候群になる確率は、全出生において約10,000分の1です(※3)。そして、パトー症候群の赤ちゃんの約80%が生後1ヶ月以内に亡くなり、生後1年まで生存できる確率は10%未満だといわれています(※3)。

染色体異常は流産を引き起こす?

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染色体異常があると、赤ちゃんがお腹の中できちんと育たず流産に至ってしまうこともあります。特に妊娠初期の流産のほとんどは、染色体異常など胎児側に原因があります。

しかし、染色体異常があるからといって、必ず流産になるというわけではありません。

染色体異常が起こる原因は?

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染色体異常が起こる原因については、はっきりとしたことは分かっておらず、さまざまな可能性が考えられています。

ただ、出産する年齢が上がるにつれて染色体異常の発生率は上がる傾向にあります。

例えば30~36歳の女性の受精卵に染色体異常が見られる確率は19%ですが、37~41歳の女性の受精卵に染色体異常が見られる確率は46%です(※4)。

この確率には、着床する前の受精卵も含まれます。また前述の通り、受精卵に染色体異常があるからといって必ず流産になるというわけではありません。

妊娠中に胎児の染色体異常を知る方法はある?

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胎児の染色体異常は、妊娠中に出生前診断をすれば高い精度で知ることができます。

出生前診断には、妊婦さんの血液を採取する「母体血清マーカーテスト」や「新型出生前診断」、子宮から羊水を採取する「羊水検査」、絨毛(胎盤から子宮壁に伸びる突起)を採取する「絨毛検査」など種類が様々ありますが、保険が適応されないことが多く、受けられる時期やかかる費用が異なります。

また、出生前診断のための検査のうち、羊水検査や絨毛検査は、母親のお腹に針を刺す必要があるため、母体と胎児にわずかながら負担がかかります。

日本産科婦人科学会の産科ガイドラインによると、羊水検査に伴う流産リスクは約0.3~0.5%、絨毛検査の場合は約1%あるとされています(※5)。検査を受ける妊娠週数の違いを考慮すると、どちらの検査も同じ程度の流産リスクがあります。

出生前診断を受けたい場合は、どの検査が自分たちに一番適しているかを考え、リスクや費用についても理解したうえで、かかりつけの医師と話し合いながら決めましょう。

染色体異常について夫婦でよく考えよう

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染色体異常の原因については、はっきりしたことが分かっておらず、未然に防ぐことも難しいものです。出生前診断を行うこともできますが、リスクがあったり受けられる時期が限られていたりします。

染色体異常について気になることや不安がある場合は、医師に相談しましょう。また、出生前診断を受けるかどうかは、夫婦でよく話し合って決めていけるといいですね。

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